考察コロナ禍ドラマ配信事情。スマホでゴロゴロ2分半、松重豊『きょうの猫村さん』最強説

2020.5.29

アフターコロナはミニドラマが増える?

コロナ禍をきっかけにバラエティタレントのYouTube進出が話題になっている。もちろん、YouTubeはスマホで楽しむことが多いのだが、その一方でテレビドラマをスマホで観る習慣も浸透しつつある。

ちょっと古いデータだが、2015年の調査によると、スマホからの「映画やドラマなどの動画」コンテンツの利用率は36%で、10代では55%にのぼっている(『ニールセン』2015年6月30日)。また、市場分析ツールを使った調査では、2020年3月にアクティブユーザー数を伸ばしたアプリの第5位に動画配信サービス『Paravi(パラビ)』がランクインした(『マナミナ』4月30日)。『Paravi』はTBSやテレビ東京を中心としたテレビドラマや映画などを配信するサービスで、今年3月には「長期春休み応援!」と題して若者に人気のドラマ22作品を期間限定無料公開するキャンペーンを行っていた。

『きょうの猫村さん』はまさしくこの「Paravi」で配信を行っている。スマホで長尺の映画やドラマを観るのに慣れない人でも、30分程度の深夜ドラマは観やすいだろうし、『きょうの猫村さん』のような2分半のミニドラマならサクッと気軽に観ることができる。プロデューサーの濱谷晃一氏も「もし見逃してしまっていたら、ぜひパラビを活用してほしいです。スマホでも気軽に見られるドラマですので」とアピールしていた(『PlusParavi』5月20日)。

コロナ禍のようなストレスが大きな状況の中では、感情のアップダウンが少ない癒やしドラマが人気になる。スマホでゴロゴロしながら簡単に観られる『きょうの猫村さん』は、コロナ禍において最強のドラマなのかもしれない。また、アフターコロナ、あるいはウィズコロナの時代には大規模なドラマよりも、このような小回りが利いてスマホで観やすいミニドラマが増えていく可能性もある。

では、最後に今日も大変だった人に、村田の奥さん(石田ひかり)のセリフを贈りたい。

「今日は大変だったかもしれないけどさ、今日も明日になれば昨日だよ? よーく寝て、明日になったら昨日のことは忘れちゃいな。いいね」

『きょうの猫村さん』イラスト/たけだあや
イラスト/たけだあや

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大山くまお

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大山くまお

1972年生まれ。名古屋出身、中日ドラゴンズファン。『エキレビ!』などでドラマレビューを執筆する。

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