井之頭五郎より村崎ワカコに共感?『ワカコ酒Season5』は今季を生き残ったグルメ系深夜ドラマ

2020.5.8

Zoom飲みに疲れた人に『ワカコ酒』飲み

『ワカコ酒』のおかげで、堂々とひとり酒を楽しめるようになった女性も少なくないんじゃないだろうか。変な男が話しかけてきたら、彼女のように毅然とした態度で店を出てしまえばいいのだから。

ワカコが通い詰める「逢楽」のような、気取っていないけど何を食べてもうまくて、顔と名前は覚えてくれているけど適度な距離を保ってくれる、なじみの店を作りたいと思った人も多いと思う。大将役の野添義弘は『アンナチュラル』(TBS)の第1話で息子を亡くしたお父さん役を演じていた。

実は『ワカコ酒 Season5』を観るのに少しためらいがあった。お酒を飲みに行けないのに酒飲みのドラマを観るなんて、元巨匠の岡野陽一さんにパチンコもののVシネマを観せるようなものだ。自分の理性がどれだけ保てるかわからない。

「これが私の幸せな時間」「私にとってのアフター5は、大切な帰宅前の至福のご褒美なのだから」「この時間がとても好き」……これはいずれもワカコのセリフ。「お仕事が終わったらお酒を飲んでおいしいものを食べる。こういう日常って幸せだなって思えるドラマ」とは武田梨奈自身が語った『ワカコ酒』のコンセプトだ(テレ東プラス 4月3日)。

「幸せな時間」「幸せな日常」が根こそぎ奪われてしまったのが今、ということになる。うまい肴や酒を提供してくれていた人たちの苦しみは酒飲みの我々以上だろう。想像するだけでいたたまれない気持ちになる。

だけど、悲しんでばかりもいられない。それならば、テーブルに好きな酒とつまみをズラリと用意して『ワカコ酒』を観よう。自分でつまみを作るのもいいが、好きなお店がテイクアウトをやっていたら、ぜひ取り寄せて並べたい。Zoom飲みが流行っているらしいけど、どうにも疲れてしまう人は『ワカコ酒』を観ながら一献傾けてみてほしい。幸せな日常は再びやってくるはずだから。

ワカコ酒
イラスト/たけだあや


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大山くまお

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大山くまお

1972年生まれ。名古屋出身、中日ドラゴンズファン。『エキレビ!』などでドラマレビューを執筆する。

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