VTuberとは「人形浄瑠璃」あるいは「枯山水」である説

2020.5.4

表現者側に一番都合のいい形を

基本的にトーク中心のエンタメが多いVTuberだが、知識情報系でもバーチャルを便利に使う人が増えている。懲役太郎は囚人アバターで現実の犯罪について語るVTuberだ。「魂」の人がもし本当にかつて犯罪を重ねてきた囚人経験者だったら、顔出しで語るのはリスクが大き過ぎただろう。しかしVTuberであれば、語っているのは新たに作られた「懲役太郎」という別人ということにでき、そのぶん踏み込んだリアルを語ることができる。このスタイルは堀江貴文も「頭いいな」と絶賛していた。

【事件解説】死体は山には埋められない、その理由/懲役太郎

性風俗関係だと吉原で働いている金美館通りの藤村さんや、性教育の本も出版している花魁由宇霧の活動がおもしろい。実際に性に関わる仕事に務めていたからこそできる生の話をする彼女たちは、顔出しすると生々しいからと敬遠する人もいるだろうし、顔バレでトラブルが起こってしまうかもしれない。特に由宇霧は、若い人から老人まで幅広く性について知ってほしいという思想を持って活動しているため、教養に長けた花魁アバターにすることで動画そのものが見やすい、話しかけやすいものになっている。

音楽方面でもアバターを通じてVTuber化することで、世界観を表現しやすくなる場合がある。ニコニコ動画で多かった「歌い手」の場合は、自分の似顔絵イラストをまとって「自身の存在」を表現していた。しかしVTuberの場合は、自分の表現したい活動に合わせて自由に身体を作ることができる。現実の自分である必要はまったくない。

ねこ活動 #177/バーチャルねこ

チルアウトミュージックで人気のバーチャルねこはねこのアバターで活動中。ねこの不思議な日々を撮影したショート動画を多数投稿し、音楽と合わせ浮遊感のある世界観を構築している。ほかにも朗読や声劇、バーチャル演劇などでアバターを活用しているVTuberもいる。

VTuberは表現者側に一番都合のいい形を、視聴者が想像力で補う形式で発表できる、自由な表現手法だ。表現者が技術的に、空間的に、身体的に限界を感じた場合、VTuberを新たな活動のスタイルとして考える価値はじゅうぶんにある。


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