予測不可能な修羅の大会『THE SECOND 2024』ファイナリスト8組の魅力

2024.5.18
『THE SECOND』2024年ファイナリスト

文=かんそう 編集=鈴木 梢


結成16年を超えたコンビが1対1の漫才バトルを繰り広げ、王者を決める『THE SECOND ~漫才トーナメント~』第2回大会のグランプリファイナルが5月18日(土)19時からフジテレビで放送される。

今年、グランプリファイナルへの進出を果たした芸人は、ハンジロウ、金属バット、ラフ次元、ガクテンソク、ななまがり、タモンズ、タイムマシーン3号、ザ・パンチの8組。

昨年のファイナリストが金属バットのみという事実が、いかに『THE SECOND』が異常な大会なのかを表している。まさに修羅の大会。間違いなく昨年とはまるで違うものになるだろう。今回も各組の魅力を僭越ながら紹介させていただきたい。

ハンジロウ

ハンジロウ(左:たーにー、右:しゅうごパーク)(C)フジテレビ

2022年まで「しゃもじ」として活動していたコンビ。「ノックアウトステージ32→16」では芸歴52年のザ・ぼんちを倒したことでも話題になった。2009年は『ふくらむスクラム!!』(フジテレビ)に、かまいたちやニッチェなどとレギュラーメンバーとして出演しており、コントのイメージが強かったふたりだが、近年は漫才でも頭角を現しつつある。

ボケ・たーにーとツッコミ・しゅうごパークはともに沖縄県那覇市首里出身の幼なじみで、多くの沖縄芸人と同じく方言を武器とした漫才を得意とするが、唯一無二の武器は「毒」。そのゆるい雰囲気に油断していると、奥歯に隠しているハブのような鋭い牙で喉元を掻っ切られてしまうだろう。

金属バット

金属バット(左:小林圭輔、右:友保隼平)(C)フジテレビ

唯一の2年連続グランプリファイナル進出。前回大会ではマシンガンズにグランプリファイナル一回戦で敗れてしまったが、放送コードギリギリの漫才は今でも私の脳裏に焼きついている。今大会のノックアウトステージでもCOWCOW、母心といった実力者たちを撃破した。

特定の層の急所に突き刺さるような切れ味と、大衆を唸らせるポップさを兼ね備えた暴力&脱力の漫才は昨年からさらにパワーアップ。2年連続のファイナリスト、今年こそは優勝に期待したい。

ラフ次元

ラフ次元(左:梅村賢太郎、右:空道太郎)(C)フジテレビ

2020年に「関西演芸しゃべくり話芸大賞」でグランプリを獲得した関西の雄が、初の決勝進出を果たす。昨年の「ノックアウトステージ16→8」では初代チャンピオンであるギャロップに1点差まで迫るなど、その実力は折り紙つき。飛び道具やキャラクターの強さに頼らない、梅村賢太郎の切れ味鋭いツッコミと、「結婚したことを相方含め誰にも3年間教えていなかった」という空道太郎の無軌道なボケ、まさに理想ともいえるしゃべくり漫才を体現するコンビだ。

ガクテンソク

ガクテンソク(左:よじょう、右:奥田修二)(C)フジテレビ

2011年、2013年、2014年に『THE MANZAI』で決勝進出するなど、漫才の実力は折り紙付き。「ノックアウトステージ16→8」では歴代最高得点となる「293点」で昨年準優勝のマシンガンズを下した優勝候補の一角。よじょうの言葉遊び巧みなボケと、笑いどころを取りこぼさない奥田修二のきめ細やかなツッコミは年々おもしろさが増しており、ノックアウトステージの各戦で感じられる今大会の完成度は、恐ろしさすらある。

ななまがり

ななまがり(左:森下直人、右:初瀬悠太)(C)フジテレビ

昨年『M-1グランプリ』出場のラストイヤーを迎え、『THE SECOND』に初出場。そして即グランプリファイナル進出とたしかな実力の持ち主。今年はお笑いデスゲームバラエティ『お笑いエスポワール号』や『水曜日のダウンタウン』(いずれもTBS)の30秒ネタ賞レース企画「30-1グランプリ」で優勝するなど、最も勢いがあるといえる。森下直人の不審を極めたファンタスティックなボケと、初瀬悠太の魂を削るようなパワフルなツッコミは、ハマると二度と抜け出せない中毒性を秘めている。

タモンズ

タモンズ(左:大波康平、右:安部浩章)(C)フジテレビ

マヂカルラブリー、囲碁将棋、すゑひろがりずなどが所属する大宮ラクーンよしもと劇場のユニット「大宮セブン」の最終兵器。安部浩章のハイトーンボイスの屁理屈ボケと、大波康平の安倍の手綱を握りながら笑いの差し引きをコントロールする正確無比なツッコミは、見れば見るほどクセになる。大宮セブンから2組目のチャンピオン誕生に期待したい。

タイムマシーン3号

タイムマシーン3号(左:山本浩司、右:関太)(C)フジテレビ

「客ウケの鬼」がついに『THE SECOND』の舞台に降臨した。ともすれば時代遅れといわれかねない「デブネタ」を、他人を傷つけることなくどの角度からでも笑いを生み出すことができる絶対の武器として、極限まで洗練させたそのテクニックはまさに達人。「ノックアウトステージ16→8」では、前大会ベスト4の囲碁将棋を僅差で下し、その強さを見せつけた。

ザ・パンチ

ザ・パンチ(左:パンチ浜崎、右:ノーパンチ松尾)(C)フジテレビ

今大会のファイナリストの中では、27年目と最長芸歴のコンビ。『M-1グランプリ2008』では決勝進出を果たし、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)でブレイクするなど知名度は十分。

「チャッチャチャーッス」のあいさつでおなじみ、パンチ浜崎のインパクト抜群のキャラクター性と、ノーパンチ松尾の嘆きの叫びのような独特のツッコミが持ち味のコンビだったのだが、近年は円熟味と技術が桁違いに進化し「今が全盛期」との呼び声も高い。

「ノックアウトステージ16→8」では、『キングオブコント』チャンピオンのかもめんたるを「292点」という高得点で撃破するなど「今大会の顔」といえるひと組。

ファイナリストの紹介は以上。グランプリファイナルの一回戦から「ハンジロウvs金属バット」「ラフ次元vsガクテンソク」「ななまがりvsタモンズ」「タイムマシーン3号vsザ・パンチ」と、結果が一切予想ができない対戦カードが出そろった。

こんな最高の大会は見る側も最高のコンディションで楽しむのが礼儀。当日は心身ともに体調を整え、ゾーンの状態でテレビの前に座りたい。

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かんそう

1989年生まれ。ブログ「kansou」でお笑い、音楽、ドラマなど様々な「感想」を書いている。

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