加齢は「劣化」ではない。痴漢、不審者など、若い女性が“なめられる現実”からの救い(僕のマリ)

2021.10.12

文=僕のマリ 編集=佐々木 笑


29歳になった。若者というには歳を取っているし、中年というにはまだ早い、微妙な年齢になったと思う。

体感としては、徹夜ができなくなったし、食べ物もこってりしたものは受け付けなくなってきた。体調の面でも、あまり無理できなくなってきた。しかしこれからもっと、身をもって年齢と向き合うことになるのだろう。

【関連】「降りたら人生が終わる!」と叫ぶ痴漢加害者。では、被害者は?

僕のマリ
※画像はイメージです

「劣化」とは、生身の人間に向かって使う言葉ではない

わたしは女性だが、年齢を重ねることに悲観的な見方をする人をたまに見る。おばさんになりたくない、ずっと若いままでいたい、という意見だ。言わんとしていることはわかる。この国では、「おばさん」への風当たりが強い。悪口の一種のように、「おばさん」という言葉が使われているように感じる。「劣化」という言葉も、年齢を重ねた女性の外見を揶揄する言葉だ。女性は美しくなければ価値がないとでも言いたげな言葉たちを、わたしは徹底的に批判したい。

そもそも、年齢とは誰もが平等に重ねるものであり、皆がおじさん、おばさんになっていく。「劣化」とは、生身の人間に向かって使う言葉ではない。もし、「若さ」にしか価値を見出せない人がいるとしたら、それはどんなに虚しいことだろう。誰もが向かってゆく「老い」に否定的な人は、この先どうやって生きてゆくのだろう。そんなことを考えた。

若さゆえの生きづらさ。加齢は救いだ

そもそも、若いってそんなにいいことだろうか、と思う。わたしは、若いときに楽しい思いをしたことはもちろんあったけれど、悲しい、腹が立つ思いをしたことのほうが圧倒的にあった。若くて女というだけでなめられてしまうことが多かったので、加齢は救いだ。

不快な出来事は多々あった。道を歩いていて、ちょっとぶつかりそうになっただけで舌打ちされる。電車で並んでいても抜かされる(初老の人に多かった)。見知らぬ人にタメ口を利かれる。駅から自宅までの間、知らない人がついてくる。

枚挙に暇がないが、普通に暮らしているだけで不快な思いにさせられることは本当に多かった。これらのことはすべてひとりでいるときに起きる出来事で、複数人でいるときや、年上の男性と一緒にいるときはまったくと言っていいほどない。皆、相手を選んでいるのだろう。

痴漢や不審者案件も、若いときに多かった。電車で身体を触られたり、盗撮されたり、夜道であとをつけられたりした。抵抗しないと思って犯行に及んだのだろう。もう10年以上前のことをありありと思い出せるので、たぶんこれから中年になっても、高齢になっても覚えているのだと思う。

見知らぬ人に自分の身体を触られたショックは、到底忘れられるはずもない。これから年老いて、そんな危険にさらされることがないと思うと、心底ほっとする。

仕事の面でも、若くてよかったと思ったことは実はそんなになかった。むしろ、これから歳を取って信頼されることのほうが増えると思う。どこで生きていても、若い人特有の生きづらさというものは、絶対にあった。

歳を取るのは悪いことばかりじゃないと思う。前述したような不快な出来事に悩まされることは減るし、経験も知見も増えて生きやすくなるはずだ。楽しく生きるのは、自分次第だと思う。まわりがなんと言おうと、自分らしく健やかに生きていくことはできる。

わたしは、からっとした明るいおばちゃんになりたい。そして、「歳を取るのも悪くない」と若い人に勇気をあげられるくらい輝いた生き方をしたい。30代、40代の自分がとても楽しみになってきた。

この記事の画像(全1枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

関連記事

「生理の貧困」から考える。“生理用品は生活必需品ではない”という判断は、馬鹿げている(僕のマリ)

僕のマリ

「私奴隷じゃないです」弁当屋の“カスハラ”事件で見た、店員の勇気ある反論(僕のマリ)

僕のマリ

「わざとぶつかる」行為は“犯罪”だ(僕のマリ)

ツートライブ×アイロンヘッド

ツートライブ×アイロンヘッド「全力でぶつかりたいと思われる先輩に」変わらないファイトスタイルと先輩としての覚悟【よしもと漫才劇場10周年企画】

例えば炎×金魚番長

なにかとオーバーしがちな例えば炎×金魚番長が語る、尊敬とナメてる部分【よしもと漫才劇場10周年企画】

ミキ

ミキが見つけた一生かけて挑める芸「漫才だったら千鳥やかまいたちにも勝てる」【よしもと漫才劇場10周年企画】

よしもと芸人総勢50組が万博記念公園に集結!4時間半の『マンゲキ夏祭り2025』をレポート【よしもと漫才劇場10周年企画】

九条ジョー舞台『SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記

九条ジョー舞台『SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記「猛暑日のウルトラライトダウン」【前編】

九条ジョー舞台『SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記

九条ジョー舞台『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記「小さい傘の喩えがなくなるまで」【後編】

「“瞳の中のセンター”でありたい」SKE48西井美桜が明かす“私の切り札”【『SKE48の大富豪はおわらない!』特別企画】

「悔しい気持ちはガソリン」「特徴的すぎるからこそ、個性」SKE48熊崎晴香&坂本真凛が語る“私の切り札”【『SKE48の大富豪はおわらない!』特別企画】

「優しい姫」と「童顔だけど中身は大人」のふたり。SKE48野村実代&原 優寧の“私の切り札”【『SKE48の大富豪はおわらない!』特別企画】

話題沸騰のにじさんじ発バーチャル・バンド「2時だとか」表紙解禁!『Quick Japan』60ページ徹底特集

TBSアナウンサー・田村真子の1stフォトエッセイ発売決定!「20代までの私の人生の記録」