『花束みたいな恋をした』きのこ帝国、今村夏子、天竺鼠、下高井戸シネマ、白のジャックパーセル…“好き”の一致が“運命”に変わる恋愛映画
『東京ラブストーリー』『最高の離婚』『Woman』『カルテット』『anone』など、数々のテレビドラマを手がけてきた脚本家の坂元裕二が書き下ろした「共感度100%のラブストーリー」を、菅田将暉&有村架純のダブル主演で映画化した『花束みたいな恋をした』が2021年1月29日に公開された。
『ゼルダの伝説』、『ゴールデンカムイ』、『宝石の国』、穂村弘、タムくん……多くの“好き”を共有するふたりの物語は、カルチャー好きならまさに“共感度100%”で胸に迫ってくるはずだ。
文化系のための珠玉の恋愛映画が、ここに誕生した。
「運命」を信じたくなる“私たちの”物語
こんなにも気が合うなんて!
好きな映画、好きな音楽、好きな文学、好きなお笑い芸人、興味のある演劇や美術展、楽しみにしている新作ゲームにマンガの新刊──これらが一致する人を見つけるのは難しい。
SNS全盛期である今なら簡単に見つけられそうな気もするけれど、あらゆるものへの興味がピタリと重なり合う人と出会うのは、なかなか難しいことだろう。でも、もしもそんな人と出会うことができたなら……。こんなにも気が合うなんて!──思わずそう心の中で叫ばずにはいられない。そんな出会いを私たちの多くは「運命」と呼んだりする。
映画『花束みたいな恋をした』に登場する男女もまた、そのような「運命」めいたものを互いに感じ合い、すぐにそれは恋愛へと発展していくことになる。
物語のはじまりは、東京・京王線の明大前駅でのこと。それぞれに終電を逃した山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)はここで出会い、ひょんなことから一夜を共に過ごすことになる。この夜に、ふたりは互いの好きなものについて大いに語り合い、惹かれ合っていくのだ。
そんなふたりが過ごしていく、あっという間の5年間の歳月を綴ったものが本作である。2015年から2019年にかけての麦と絹の時間には、彼らふたりの多くの“好き”が登場する。『ゼルダの伝説』、『ゴールデンカムイ』、「押井守」、「きのこ帝国」、「今村夏子」、「天竺鼠」、「早稲田松竹」に「下高井戸シネマ」──いずれも今このページを開いている多くの方にとって、なじみ深いものなのではないだろうか。
筆者も麦と絹に対して、「やたらと気が合うなあ」と思ったくらいである。先述したものだけでなく、実際にはもっと多くのさまざまなカルチャーを指す固有名詞が本作には登場する。それらを耳にするたびに、そして、スクリーンに映し出される高揚した男女の表情を目にするたびに、頷かずにはいられない。彼らと同時代を生き、同じカルチャーに触れてきたのだ。
本作の謳い文句に、“これはきっと、私たちの物語。”というものがある。確かにこれは、私の、私たちの物語だ。かといって、ほかの世代や異なるカルチャーに惹かれる人々を突き放す物語でもない。
90年代には90年代の、70年代には70年代のムーブメントがあったわけだし、いくら同時代を過ごしていても、皆が同じカルチャーに熱狂するわけではない。ただ、“好き”を共有できる者同士が一緒にいられる尊さは、いつの時代でも変わらないだろう。そんなつながりは、やはり「運命」だと信じたい。
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