ぺこぱ独占インタビュー【後編】優しいからではない。受け入れるツッコミの原点

2020.2.6
引っ張り合うシュウペイと松陰寺

文=清田隆之 写真=石垣星児
編集=田島太陽


お笑いの「次の10年」を考える、QJWebの「【総力特集】お笑い2020」
ミルクボーイにつづく独占インタビューは、M-1で衝撃的なインパクトを残したぺこぱ。

ギャル男だったシュウペイとミュージシャンを目指していた松陰寺が出会ってコンビを結成し、現在のネタができるまでを振り返った前編につづき、後編ではM-1決勝戦までの道のりを中心に話を聞いた。

M-1以降で初となるロングインタビューを、前後編でお届けする。


サンミュージックに誘ってくれた“師匠”のひと言

波瀾万丈の1年だった。
年始には“ブレイク芸人の登竜門”と言われる「ぐるナイ 新春おもしろ荘」で優勝。5月には所属していた芸能事務所のお笑い部門閉鎖という憂き目に遭い、その後サンミュージックに移籍。そして年末にM-1グランプリで3位になって一躍全国区に。
そんな2019年を、ぺこぱのふたりはどのような気持ちで過ごしていたのだろうか?

松陰寺 大きかったのは2018年のM-1予選で、シュウペイがボケて着物姿の僕がツッコむというスタイルで準々決勝まで進んだんですよ。正直ネタも粗いし、全然仕上がってなかったにもかかわらず、切り口だけで結構いいところまで行けてしまった。

ぺこぱ独占インタビュー【後編】優しいからではない。受け入れるツッコミの原点
松陰寺太勇(しょういんじ・たいゆう)1983年11月9日生まれ、山口県出身。@yutamatsui1109

シュウペイ そこで手応えを感じて、敗退した直後にはもう切り替わってたというか、来年のM-1に向けてネタをしっかり作り込む1年にしていこうってなって。(松陰寺に)はい、つづきどうぞー。

松陰寺 悪くないだろう。そんで、ネタ固めしてる途中で「おもしろ荘」の出演が決まって、しかも優勝までしてしまった。元旦の朝から生放送が入り、さすがに「これは来た!」と思ったんですが……その後はあまり仕事が入らなくて、テレビを見たら夢屋まさるが「パンケーキ食べたい♪」って出まくってて、うわ〜、こっちだったか!となって(笑)。

シュウペイ あっちのほうが明らかにテレビ向きだもんね。

松陰寺 でも不思議とヘコまなくて。というのも、すでにM-1モードになってたので、もう1回ちゃんと潜ってしっかりネタ作ろう、むしろ変に消費されないでよかったって思えたんです。それは前の事務所のお笑い部門が突然解散となったときもそうで、特に焦りはなかったんですよね。そしたらもともと同じ事務所に所属してたピン芸人のTAIGAさんが「サンミュージックに来たかったら話してやるぞ」って声かけてくれて。すぐネタができる環境に行きたかったので「お願いします」となって、わりとスムーズに移籍できたんです。

シュウペイ あ、でも公式には(カンニング)竹山さんがスカウトしてくれたことになってなかったっけ(笑)。

ぺこぱ独占インタビュー【後編】優しいからではない。受け入れるツッコミの原点
シュウペイ  1987年7月16日生まれ、神奈川県出身。@shupei0716

──おふたりは前事務所のお笑い部門が解散したあと、AbemaTV『カンニング竹山の土曜The NIGHT』の「行き場を失った芸人たち」特集に出演し、番組内で竹山さんから「ウチに入れ」と言われてそのままサンミュージック所属が決まったというニュースを見ました。

松陰寺 もちろん最後は竹山さんのひと言だったんですけど、きっかけを作ってくれたのは僕らの師匠であるTAIGAさんなんですよ。いろんなところでこの話をしてるんですが、なぜかいつもTAIGAさんの名前が消えてしまう(笑)。

──正しいぺこぱ史を記しておきましょう。

シュウペイ そんなこんなで大変な1年だったねって言われるんですけど、実際はすごく充実してて。ライブも一番出てたと思うし、ネタの話し合いや反省会もずっとやってたし、ひたすら笑いと向き合った1年間でした。

サッカーとバンド、夢をあっさり諦める


この記事の画像(全17枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

Written by

清田隆之

(きよた・たかゆき)1980年東京都生まれ。文筆業、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。早稲田大学第一文学部卒業。これまで1200人以上の恋バナを聞き集め、「恋愛とジェンダー」をテーマにコラムやラジオなどで発信している。 『cakes』『すばる』『現代思想』など幅広いメディアに寄稿するほか、朝日新聞..

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森田美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。