ぺこぱ独占インタビュー【後編】優しいからではない。受け入れるツッコミの原点

2020.2.6


積み重ねたブラッシュアップ、着物を脱ぐ恐怖

一方のシュウペイはどうなのか。横であれだけ長ゼリフの、最後は社会正義や人類愛のようなスケールに至る壮大な「ノリツッコまないボケ」が展開されているのに、彼は“無”と言っていい表情でただ見ているだけという……。
どうしても松陰寺に目が行きがちだが、シュウペイのなんとも言えないリアクションも重要なポイントではないだろうか。

ぺこぱ独占インタビュー【後編】優しいからではない。受け入れるツッコミの原点
遠くから狙う松陰寺、木陰から覗くシュウペイ

シュウペイ 僕はあまり難しい言葉とか知らないんで、基本的には「何言ってんだろう」って気持ちなんですよね。ただ、相方のキャラが濃いので、いかにそれを活かすかって考えたとき、僕は「消える」がいいんじゃないかと思って。横で相方がワーワー言ってるときにただ待ってるのは、一応そういう狙いもあったりします。

松陰寺 消えすぎて逆に目立ってるけどな(笑)。このネタをやり始めたとき、ネタ見せでえらい作家さんに「シュウペイをどうにかせな」とも言われたんですよ。「そこは処理せなあかんとちゃうの?」って指摘されたんですけど、そうなるとまたツッコミになっちゃうじゃないですか。

シュウペイ 「黙ってるけど何を思ってるの?」って聞かれたんですが、「別に何も思わないっすね」って返したら、「ああそうか」って(笑)。それでも最初のころは「え〜?」くらいの反応はしてたと思うんですが、ライブでお客さんの反応を見ながら微調整するうちに今の感じになったというか。

松陰寺 普通の芸人だったら何か入れたくなるんですよ、多分。「こういう言葉を足していい?」とか、「ツッコミをもうひとつ足したらどう?」とか。でもやっぱ、相方はお笑いに関する知識がゼロなので……。

シュウペイ 基礎とか知らないまま12年やってきちゃったんで。

松陰寺 だからあの表情ができたのかなって思いますね。

シュウペイ でもあまりに何もないのもアレなんで、それで考えたのが「シュウペイポーズ」です。今年はこれ1本でやっていきたいと思ってます。

ぺこぱ独占インタビュー【後編】優しいからではない。受け入れるツッコミの原点
唯一の持ちネタ、シュウペイポーズ

──清々しい(笑)。着物もローラーシューズも脱ぎ、どんどんブラッシュアップされて行き着いたのが今のスタイルというわけですね。

松陰寺 スーツ姿になったのは2019年M-1の1回戦からだったんですが、「大丈夫か、俺? 今まで頼ってた武器はなんもねえぞ」ってめちゃくちゃ緊張しました。

シュウペイ 松陰寺さんのインパクト勝負みたいなところはあったので、僕も正直不安でしたね。でも予選ですごくウケて。あ、スーツでも行けるじゃんって。

松陰寺 着物だとやっぱ、出てきた瞬間に「こういうの無理」って下向いちゃう人が一定数いるんですよ。それよりは見てくれるなって手応えは感じました。

シュウペイ ビジュアルが抑えめなぶん、ネタが届きやすかったのかもね。着物を着て頭振ってるだけの笑いというより、ちゃんとふたりで掛け合って、ネタで笑わせることができたなって。

──「ナスかと思った」のくだりも最高でした(笑)。

松陰寺 僕はもともとミュージシャン志望で、T-BOLANさんとかGLAYさんとかASKAさんとか、90年代に大活躍したアーティストに憧れがあって、その着こなしを意識してチョイスしたスーツだったんですが、なぜかナスになってしまった(笑)。

ぺこぱ独占インタビュー【後編】優しいからではない。受け入れるツッコミの原点
ナス風のスーツでキメる松陰寺

──なるほど! ということは、言葉を「ファ」とか「フィ」って発音するのも、90年代のミュージシャンを意識されたものだったんですね!

松陰寺 そうなんです。同じ景色を見ていたんですね、うれしいです。軽く声を裏返したりとか。だからキャラではあるんですけど、そういう自分のルーツと繋がってるものなので、完全にキャラモノって言われると「違います」って内心では思っています(笑)。

これまでの試行錯誤が走馬灯のように


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清田隆之

(きよた・たかゆき)1980年東京都生まれ。文筆業、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。早稲田大学第一文学部卒業。これまで1200人以上の恋バナを聞き集め、「恋愛とジェンダー」をテーマにコラムやラジオなどで発信している。 『cakes』『すばる』『現代思想』など幅広いメディアに寄稿するほか、朝日新聞..

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