「今でも許してない」インディアンス田渕への愛情を剥き出しにする、相方・きむの人間性が爆発(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『アメトーーク!』

「元々コンビ組んでた芸人」として、インディアンス田渕&ミキ昴生「やぶれかぶれ」(活動期間:4~5カ月)、アインシュタイン河井&アキナ山名「河井山名」(約5年)、錦鯉・渡辺&だーりんず小田「桜前線」(約5年)、モンスターエンジン西森&おいでやす小田「蛇腹」(1年半)が集結。

MC横には、現在の相方の面々。彼らがいることで「コンビ」という奇妙な関係性があぶり出されていておもしろかった。

兄の元コンビ「やぶれかぶれ」を学生時代に見ていた亜生は、「僕は応援してたんです」「絶対にこのふたりで天下獲ると思ってた」と言う。一方のきむは「マジで嫌だった」と苦悶の表情を浮かべる。

実は「やぶれかぶれ」は、インディアンス解散と同時に結成された(昴生は彼らにとって先輩のため、田渕は昴生を「三木さん」と呼んでいる)。田渕が解散を考えていたときに昴生のコンビも解散し、田渕を誘った「不倫」で、結成前も飲み会などで昴生が先にツッコミをして「色仕かけ」をしていたと、きむは主張する。

「今でも許してない」というきむは、解散の夜、昴生を河川敷に呼び出したそう。暗闇の中、きむが号泣する声でどこにいるかわかるほど。そのとき「一発だけ殴らせてくれ」と言ったという。

「やぶれかぶれ」の初舞台でも、きむは客席で昴生を睨みつけて、昴生の悪いところをメモ。田渕に対し“復縁”を迫るメールを毎日のように送っていたという。これに錦鯉・渡辺「気持ち悪い元彼だな!」。

その「やぶれかぶれ」の漫才を、「(昴生の)ツッコミの間が遅かったり声のトーンが悪かったりしたからウケない。田渕っちゃんは最高でした」と田渕への愛情を剥き出しにするきむと、「天才と天才のコンビなんでマジでそんなことない。マジでお前見る目ないわ!」と反論する亜生とで、小競り合いが勃発するのがおもしろい。

結局、「やぶれかぶれ」は「うるさ過ぎた」という理由で解散し、インディアンスは再結成。昴生に対し、「次に会うのがめっちゃ楽しみでした。『こいつひとりや』って」と思い出して不敵に笑うきむに、客席からは悲鳴が。

昴生と亜生が兄弟でコンビを組んだときも、ネタの練習をしている彼らに「ええ? 兄弟でやるの? ムリムリムリ」などと面と向かって言っていたそう。これには「田渕、解散しろ!」と渡辺。「きむ、今このスタジオにいる全員がお前のこと嫌いだぞ!(笑)」。

きむの人間性が爆発し盛り上がったため、このひと組だけで20分近くトーク。この調子で各組たっぷりトークした結果、当時のネタをやるコーナーなどは放送ではカットに。

「河井山名」は出会いもドラマチックで「売れる人のエピソード」を持ち、「バランスも完璧」だったという。

稲田も番組開始時には「めちゃくちゃ売れそう」と余裕な感じで話していたが、ふたりが楽しそうに息の合ったエピソードトークをしているうちに「妙に楽しそうでイライラしますね」と変わっていくのが興味深かった。

山名とコンビを組んだ直後に河井が送った手紙が公開される。びっしりと丁寧ないい字で書かれた手紙には「26期生、嵐おこします」などの文面。これに、手紙をもらったことのない稲田は嫉妬する。

恋愛関係に近いけど、それともやっぱり違う、そんな現コンビと元コンビの関係の微妙な機微がとてもおもしろかった。

『魔改造の夜 技術者養成学校』

今回の講師は、アンドロイド制作で有名なロボット工学の石黒浩。

『魔改造の夜』の「クマちゃん瓦割り」を観て、「もともと持っているものとか大事にしているものをより拡張するように作り直すのが改造。その目的があんまりわからなかった」「クマの顔とモーターさえ使えばなんでもいいっていうなら、改造じゃなくて部品提供」と忖度一切なしで番組そのものを否定するような発言をした石黒が、いかにも石黒らしくて最高。

授業のテーマが「『クマちゃん瓦割り』から学ぶ 生き物よりも生きているロボット」と発表されても、「『クマちゃん瓦割り』とは関係ないんですけどね」とまったくブレない。

進行の劇団ひとりから「関係あるってことにしてもらっていいですか?」と言われても、石黒「番組の時系列としては関係あるけども……」。

それでもやはり石黒の話はおもしろい。彼が授業の題材にしたのは「人工知能の父」マーヴィン・ミンスキーが考案した「ユースレスボックス」。

人がスイッチを入れると機械がスイッチを切るという役に立たない箱だが、生き物っぽく感じられる。そこに「生き物らしい要素」があるからだ。

モーター1個とスイッチと箱しかないシンプルなもので、何をもって生き物とするか、考えて作ってみる。「これこそが魔改造」だと石黒は言う。

生徒たちが作ってきた「ユースレスボックス」に対して、容赦なくダメ出ししていく石黒。ひとりが懸命にフォローするも「授業は褒めるためにやるものじゃない。授業だからコメントをもらって当たり前」とまったく動じない。

機械に感情を作るのはけっして難しくないと言う石黒は、生徒から「人間とロボットの境目は?」と聞かれ「境目はない」と即答。

義手や義足を使うようになって「生身の体」=「人間」という定義ではなくなった。だから機械にも命が宿る可能性がある、と。とても刺激的で哲学的な講義だった。

【関連】錦鯉、オズワルド、インディアンスがM-1最終決戦を語る「3組共そんなウケてない」


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    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。