「生きづらい芸人」も「解散して再結成した芸人」も全部観たい『アメトーーク!』企画プレセン大会(てれびのスキマ)

sukima

昨日観た番組、そこで得た気づきを綴る連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日更新中の“てれびのスキマ”によるテレビ鑑賞記録です。


『アメトーーク!』

ひさびさの「企画プレゼン大会」。

ニューヨークは「今こそ立ち上がれ東京NSC15期」をプレゼン。ニューヨーク、デニス、おかずクラブ、マテンロウ、横澤夏子、西村ヒロチョ、鬼越トマホークと粒ぞろい。1期下の扱いには霜降り明星やハナコがいることから「6.9世代」。しかもほとんどが賞レースに関係なく売れ、それが少し早かったため「古い」芸人扱いされてしまっている、と。これはすぐにでも実現しそう。

吉住は「生きづらい芸人」をプレゼン。「あのとき、道を間違っていなければ……」というエピソードで、中学時代まではフワちゃんくらい明るかったと明かす吉住。高校時代に、『アメトーーク!』で又吉がセンスのあるひと言でオトしてウケているのに憧れて、暗い=カッコいいと思ってしまい暗くなったという。「もともとは明るい人間だからセンスあるひと言は言えないんですよ」と吉住。「コント以外のお笑いがあんまり得意じゃない」という言葉には、コント師としてのプライドと自信が伺えた。

囲碁将棋がプレゼンしたのは「文化系部活所属してた芸人」。根建が将棋でありえない伝説の負け方をしたとか、自作スタンガンをより小さくより軽くスティーブ・ジョブズのように進化させる後輩がいたとか、文化部ならではのエピソードがいちいち新鮮でおもしろい。これはいいメンツがそろえばかなりおもしろそうだし、新機軸になりそうな企画。

コウテイ、しずる、スーパーマラドーナ、見取り図、インディアンスらが候補にあがる「解散して再結成した芸人」もいいエピソードがたくさん出そうな企画でおもしろそう。

ランジャタイは「オフの日の高橋英樹」の写真ボケを繰り返しながらも、「地下脱出したい芸人」という今の時流に合った企画。今回、ほとんどが観たいし、実現性も高そうな企画だった。

『クセがスゴいGP』

前回登場時は「バス」でグランプリを獲得したスリムクラブ。今回は「電車」。

内間が電車に乗っていると、隣に乗ってきた真栄田がいきなり電話をかけ始め「お父さんお母さんごめんなさい、公務員になれませんでした」「私を諦めてください」とまくしたてる。その冒頭を見て「またチャンピオンになるかもよ」(大悟)、「出だしすごいねえ」(ノブ)と千鳥も一気に掴まれる。

電話を切った真栄田は内間に「あんた壊れてるよ」と言い放つ。電車で電話してるのに、なんで注意しないのか。「これが今の日本人です」と。そして「日本人が今最も言いたいこと」は何かわかるかと問いただし、自らが答える。「みんな、どっか無理してClubhouseしてる」。一連の真栄田の言葉をほぼセリフ無しで聞く内間の表情も抜群にいい。

個人的に今回一番好きだったのはCOWCOWのネタ。お笑い新人コンクール決勝に出場する芸人の紹介という設定で、ふたりが“いかにもいそう”な芸人たちに扮する。登場するのは、関西のしゃべくり漫才「たこ焼きお好み焼き」、高学歴コンビ「スイヘイリーベ」、ぽっちゃり女性コンビ「おかわり自由」、爽やか男女コンビ「友達以上恋人未満」、ドタバタコメディ「ガッツリ建設」、戦慄のギャグマシーン「アルゼンチンナイゼンチン」、おとぼけ話術(落語家)「桂かえる」、謎のピン芸人「四次元X」。

それを見ながら「1位にはならない」「いるわー、松竹や!」「特別賞もろうて10年後に出てくる」「いたぞ、こいつ!」と千鳥が言い合うのも併せておもしろかった。


今日観たい番組:『脱力タイムズ』にアンタ柴田など

『第44回 日本アカデミー賞 授賞式』(日テレ)司会は羽鳥慎一、シム・ウンギョン。

『金スマ』(TBS)は「芸人アカデミー賞」。

『ダウンタウンなう』(フジ)最終回。

『脱力タイムズ』(フジ)はアンタッチャブル柴田&新田真剣佑。

『タモリ倶楽部』(テレ朝)「令和のVR動画大賞」。

『久保みねヒャダこじらせナイト』(フジ)に阿佐ヶ谷姉妹。

『A-Studio+』(TBS)に岸井ゆきの。

『ドキュメント1DAY』(NHK)「緊急事態宣言下 横浜」。

第44回創作テレビドラマ大賞『星とレモンの部屋』(NHK)出演は夏帆、宮沢氷魚ら。



  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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