オードリー春日「爆笑されても“また呼ばれる”以外価値はなし」、インパルス板倉「爆笑のほうがいい」発言から見えた芸人観の違い(てれびのスキマ)
テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。
『あちこちオードリー』
若林不在で板倉を助っ人に、新企画「芸能界が生きやすくなる参考書を作ろう!」。ゲストは狩野英孝と銀シャリ。
若林不在のためか春日がいつも以上に饒舌。彼が挙げた教訓は「『また呼ばれる』以外価値はなし」という潔いもの。いつもは企画趣旨とちょっとズレた答えを出しがちな春日だが、今回ばかりはまっすぐ答えていたのがおもしろい。
いくら収録で手応えがあって「またお願いします」などとスタッフに言われても、次に呼ばれる以外はなんの意味もないと。これに「大爆笑で二度と呼ばれない」のと「ドンズベリして何回も呼ばれる」のとどちらがいいかを聞かれ、「何回も呼ばれるのが最高の評価」と即答する春日。
一方、板倉は「爆笑のほうがいい」と言い、芸人観・タレント観の違いが如実に表れていて興味深かった。
春日はほかにも「シミュレーション 若いスタッフ 意味はなし」ときれいな教訓。体を張る企画で若いスタッフがシミュレーションしても、実際にやるのは太ったおじさん芸人たちだから意味がないと。
逆に狩野は以前、命綱して綱渡りの挑戦をした際、「20代のADの子にやらせたんですけど怖くて行けませんでした」と言われ、「あぁ、やっぱり一般人はね」と逆に芸人魂が燃えたというエピソードを語る。
そして板倉は「そもそも何十年も居座れる場所じゃない」とすべてをひっくり返すような教訓を披露する。
「芸人だけ幻想を抱いている」が「芸能界っていうのはそのとき輝いている人が呼ばれるところ。それなのに勝手にお笑いの人だけ何十年もいようと思っているから苦しい」のだと。本来は「その人の養分吸い取ったらもう呼ばない」場所。十数年芸能界で活躍できたら「全員成功者」だと。
芸能界をその島の上での空中戦にたとえ「銀シャリみたいに空母(漫才)を持ってる人はそっちで燃料補給できる」「英孝ちゃんみたいにたまに無限燃料の人もいる」「俺も含めて凡人は給油が必要になってくる」などと語る板倉。「俺が一番ヤバい。振り返ったら空母がなかった(笑)」。
『お笑い実力刃』
ヒコロヒー、吉住をゲストに招いて、本音や自虐などの毒を混ぜ笑いを取る「ピリ辛」女性ピン芸人の歴史を辿る。
そのルーツのひとりだと紹介されたのが、2000年ごろ『オンエアバトル』などで活躍した田上よしえ。彼女はライブの客が9割以上女性だったため「女の子っぽいネタ」はウケないから「強い女にならざるを得なかった」と語り、その結果が毒舌だったという。
その話を聞いたスタジオの伊集院は、『ボキャブラ』や『オンエアバトル』の前は男性客が多かったが、それ以降は女性客が急激に増えたと振り返り「『“男社会のお笑い”が好きな女性のお客さん』が多かった。その人たちは女性芸人をなんぼのものって感じで観てた。だから女を武器に使って笑いを取ろうとしてもまったくウケない」などと分析する。これはとても実感としてよくわかる話。
2002年には『R-1』で優勝しただいたひかるが登場し、2003年に「どこ見てんのよ!」でブレイクした青木さやか、2006年ごろに柳原可奈子、自虐ネタのいとうあさこ、2011年に横澤夏子とつづいていく。
「憧れのセリフ」をネタにしていたという横澤の証言に、伊集院は「女性は“あるある”だと思って笑ってる。男性は毒舌だと思って笑ってる」のだと、初めて納得がいったと語る。女性芸人が置かれていた状況とその変化がよくわかる特集だった。
明日観たい番組:『まつもtoなかい』『さんまのお笑い向上委員会』『マツコ会議』ほか
『まつもtoなかい』(フジ)長渕剛×大悟、布袋寅泰×新庄剛志、山田孝之×菅田将暉、伊藤沙莉×伊藤俊介。
『さんまのお笑い向上委員会』(フジ)「予測不能ランジャタイ!とにかくピリつく安村VS鬼越」。
『マツコ会議』(日テレ)「世界で活躍する日本人ダンサー」。
『千鳥かまいたちアワー』(日テレ)「素人スターオーディション」後半戦。
『ゴッドタン』(テレ東)「事務所対抗ゴシップニュース」。
『霜降りバラエティX』(テレ朝)「せいやのモノマネ極」に原口あきまさ。
『人生最高レストラン』(TBS)に錦鯉。
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【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)
毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。
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