『あたらしいテレビ』でTVerの重要性、リアリティーショーの在り方に言及。テレ東佐久間P「この1年を無駄にしたくない」(てれびのスキマ)


昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、てれびのスキマによる2021年のテレビ鑑賞記録。


『あたらしいテレビ2021』

これまでの『新春TV放談』から、コロナ禍で放送した『あたらしいテレビ』に。その際、大活躍だったフワちゃんは裏番組との兼ね合いなのか、残念ながら今回は不参加。

『TV放談』では視聴者のランキングをもとに討論を行っていたが、今回はそれぞれの出演者が「心を動かされた映像コンテンツトップ10」を持ち寄り、それについて話すというかたちに。テレビに限らず「映像コンテンツ」としているのが今の時代を感じさせる。その内訳は以下のとおり。

テレビでも放送されたアニメ作品などがNetflixとしてカウントされてたりするけど、やはり特に若い人たちのテレビの少なさが目立つ。

テレビ関連で言うと、『MIU404』の菅田将暉サプライズの前日バレ事件の顛末などの話もとてもおもしろかった。あと、TVerのランキングが「1年前より全然違う注目度に」なったと佐久間P。「局によってはTVerの回転数とかランキングを貼り出しているところもある」「視聴率同様にデータが回ってくる。見逃し配信として定着した」と。僕らが思っている以上にTVerが局の評価指針のひとつとして重要になってきているよう。

リアリティーショーやワイドショーの在り方について今回もやり玉に挙がっていて、本当に首肯する部分が多いのだけど、今度は当事者である制作者にも話を聞きたいと思った。

そして最後に佐久間Pが言った言葉がすべてだなと思った。

「つらかった1年の中で、古い価値観だったり、やっちゃいけないことだったり、リテラシーとか、あぶり出されたものがあると思うんですよね。それはちゃんと学んでアップデートしていかないと。この1年を無駄にしたくないという気持ちがあるんですよ。この1年はつらかったけど、この1年があったからもっとよくなったねって言われるようなテレビでありたい」。

『脱力タイムズ』

こちらにはフワちゃんが登場。が、急遽、菅総理の出演が決まりアリタが迎えに行くということでフワちゃんがスーツに着替えキャスター席に。「ホントなの? ホントなの?」「持ち味出ないじゃん!」と困惑するフワちゃん。

総理を待っている間に2019年12月に収録したという2020年の予想を振り返る。が、明らかに最近撮ったものであることがわかると「はいはい、さっき撮った、さっき撮った」「茶番だわー」と素直なリアクションがとてもおもしろい。予想を次々に当てる岸博幸に白石麻衣が色目を使うという流れには「なんなの、この2軸目のやりとり? 2個軸を走らせるなよ!」と制作者目線のツッコミをするフワちゃん。

アリタが待つ局前には麻生太郎や安倍晋三らが次々とやってくる(もちろん全部ニセモノ)。ノッチがオバマではなくバイデンで登場すると「ネタの作り方がわからなくなってるじゃん」とフワちゃん。ついにはマッコイ&石橋貴明といった政治家でもない人たちまで登場。

そして、原田龍二、袴田吉彦、宮崎謙介(彼らはホンモノ)が登場。共通点はわからないが『ボクらの時代』に呼ばれたという彼らにフワちゃん「こいつらこういうコントやり過ぎて、めっちゃ顔うまくなってるじゃん!」。

いちいちコメントが的確だったフワちゃん。カットがかかると「マジでなんなんですか?」と抗議。「だから笑ったの? あたしの台本見て」と言うフワちゃんに、吹き出しながらアリタ「台本におもしろセリフいっぱい書き込んでた」。フワちゃん「いっぱい考えてきたのに!」


『ガキの使い!大晦日年越しSP 絶対に笑ってはいけない大貧民GoToラスベガス!』

今回特に印象に残ったのは、ホテルオーナー・菅野美穂&ホテルマン・鬼越トマホークとSP本部長・松平健。

菅野&鬼越は当然ケンカを止める流れに。まずは菅野がケンカを止め「うるせーな! お前、日本の女優の中で一番バカなイメージあるぞ」と菅野自身が洗礼を浴びると今度は方正が止めに行く。「大阪住んでんだからのこのこ東京に仕事しに来てんじゃねえよ!」につづき、菅野が「本当はそんなこと思ってないと思うんですけど」パートを担当し東京のテレビ局も制作費を切り詰めてるなか、わざわざ大阪から呼ぶ新幹線代もままならないし一度もちゃんと売れたことのないうすらハゲの方正がグリーン車とか意味わからんって思ってるだけだと思います」とディスる。

松本には「うるせーな、筋肉つければつけるほど笑いの量減ってきてるぞ」「本当は思ってないと思うんですけど、誰かがうちに来たときに守らなきゃいけないものが俺にはできたからと言ったかと思ったら照れて顔真っ赤にしてクソスベる始末ってカリスマ松本人志のお笑い筋肉死んだなって思ってるだけ」と。

菅野がマジでケンカを止めるも全然止まらないといったパターンや、ケンカをやめさすと本当にやめるだけというパターンも。浜田に対しては「うるせーな!」から菅野が言い出す。「芸人仲間は名字で呼び捨てのくせに、俳優・女優はなれなれしく下の名前で呼んで食い気味に距離感つめようとしてんじゃねーよ。下心丸見えなんだよ!」。

SP本部長・松平健はメンバーのボディチェック。方正に対し「お前、ハゲてるじゃねえか!」など、その言い方が抜群におもしろい。一度帰ったかと思うと、「夏といえば?」に「TUBE」と答えた松本に「なぁにぃ~!」と叫んで再登場。「愚か者! お前はこのワシがこの夏から始めたYouTubeチャンネルの『マツケンTube』の登録者数がいまいち伸び悩んでいるのを愚弄しておるのか! おのれ、成敗!」というようなやりとりを繰り返す。

そのあと、斬っても斬っても全然死なない3人を相手に殺陣を延々やったり、ものすごい仕事量。最後は「マツケンサンバ」のメロディで「ガキ ガキ マツケンなめてる ガキ ガキ 役者なめてる♪」などと歌い上げる。すべてハズレなしでスゴかった。

新しい地図の面々は今回も登場。

梅垣義明のあとに、同様の格好で稲垣吾郎。「ろくでなし」のメロディで「イチモツだ イチモツだ♪」と歌うと股間にミニ稲垣が現れる。伝説のディーラー・香取慎吾はロッチの『試着室』のコントを再現。

全裸監督で登場の草なぎは、イエスなら2回ほら貝を鳴らしてと質問。松本に「中居&草なぎ&松本の3人で飲みに行ってもいい?」と尋ねると、2回ほら貝が鳴る。「いいんだ! ナイスですねえ~」と素で喜ぶ草なぎがとてもチャーミング。その後、ホンモノの村西とおるが登場。その直前のパートで片岡鶴太郎が出てたからその流れにニヤッとした。

今回、過去の名場面クイズに時間を割いていたけど、そういう部分でも、今、感染予防をしながらこの手の大規模撮影をするのが難しかったのだろうなと感じる。最終的に罰を受けた回数が例年トップを独走していた松本を1回上回り浜田がトップに立っていたのが意外だった。

今日観たい番組:『さんまのお笑い向上委員会』で「新春から来たい人だけあつまれ明石家の森SP」など

『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)「ガンバレ人類!新春スペシャル」。

中村七之助主演『ライジング若冲』(NHK)。

『千鳥のクセがスゴいネタGP』(フジ)相葉雅紀、あべこうじ×高橋愛、加藤礼愛×盛山晋太郎、キャイ~ン、永野×高城れに、マヂカルラブリー×峯岸みなみ、水谷千重子×バッファロー吾郎A×丘みどりなど。

『第7キングダム 新春SP』(日テレ)に朝日奈央、Snow Manら。

『100分de萩尾望都』(Eテレ)司会はカズレーザー。出演は小谷真理、ヤマザキマリ、中条省平、夢枕獏。

『審査員長・松本人志』(TBS)第2弾。

『さんまのお笑い向上委員会』(フジ)「新春から来たい人だけあつまれ明石家の森SP」。

『太田伯山ウイカのはなつまみ』(テレ朝)に花澤香菜、内藤哲也。

『いきなり日本を笑わせろ!』(フジ)インポッシブル、カミナリ、くっきー!、庄司智春、ゾフィー、チョコレートプラネット、ニューヨーク、ネルソンズ、ハリウッドザコシショウ、みかん。

『ものまね芸人151人がガチで選んだ いま本当にスゴイ!ものまねランキング』(テレ東)。

『国民15万人がガチで投票!漫画総選挙』(テレ朝)。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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