『THE W』吉住が優勝して本当によかったなあと思えるいい大会(てれびのスキマ)


昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、てれびのスキマによる2020年のテレビ鑑賞記録。


吉住「こんな明るいところにいれる人間じゃないんですよ……」と涙

『THE W』

どんなルールにしても順番というのは勝敗を左右するけれど、この大会の勝ち残り方式というルールはそれをより色濃くするので正直公平感はまったくない。制作者側もそんなことは百も承知だろうからそれよりも大事にしたいものがあるのだろう。

まずAブロック1組目のTEAM BANANAと2組目のオダウエダがジャッジされる。審査員の麒麟・川島はまったく違う方向性の2組のネタに「まず同じ競技なのか……」とひと言。接戦の末、4-3でTEAM BANANAが勝利。個人的に大好きなオダウエダの敗退は残念だったけど「目ン玉取れましたー!」で強烈なインパクトを残したはずなので『有吉の壁』をはじめとする番組で観られる日も近いのではないか。のちに哲夫も「99点」だったと高評価をつけていたことを明かす。

つづいて登場したにぼしいわし。漫才だけどどこかオダウエダに近い感じがするなあと思ったら敗退後、「お察しのとおりオダウエダと親友でございまして。全国テレビの画面を借りて、明日ライブしますんで来てください」とアピール。結局、Aブロックは紅しょうががファイナル進出に。

Bブロックは、Aマッソ、初代王者のゆりやん、吉住、前年準優勝のはなしょー、ぼる塾とすでにテレビでの実績があったり、ライブシーンで実力を認められていたりする芸人ばかりが集まる激戦。

Aマッソが「女性芸人ならば漫才、コント、どんな種類のネタでもOK」という『THE W』のルールを最大限に活かし、この大会でしかできないであろう超絶技巧の映像を使った漫才で驚かせれば、ゆりやんはカツオに扮し「姉さんは大きな間違いをしてるよー」とひたすら繰り返す狂気のネタ。まさに「まず同じ競技なのか……」という言葉を思い浮かべずにはいられない。事実上の優勝決定戦ではないかと思われるハイレベルな対戦は、4-3でゆりやんが競り勝つ。最後、アンガールズ田中の票が勝負を決するドラマチックな展開。同じ事務所で関係性の深いAマッソではなくゆりやんに票を投じた田中。今後あるであろう田中とAマッソの絡みが楽しみ。

ゆりやんのハチャメチャなネタで場が荒れまくった直後に登場したのが吉住。Bブロックの中では最も無名で地味な存在だと思われるので、正直いくら実力はあってもなかなかこのインパクトは超えられないかなと思ったけど、「女審判」という絶妙な設定でガラリと空気を変え、5-2で吉住がジャイアントキリングを果たす。「流れも吉住にプラスしたかなって。わーって荒れたあとにこんなきっちりしたの観たら(吉住に)押したくなる」と田中。そしてそのまま吉住がBブロックの勝者に。「優勝してないのに泣いちゃいました」と涙ぐむ吉住。「いやぁ、だってBブロック、死のグループだったんですもん……」。

そして紅しょうがvs吉住のファイナル。やり切ったという思いなのか、審査を待つときから涙を堪えられない吉住の表情が素敵だった。6-1で4代目王者に輝き「こんな明るいところにいれる人間じゃないんですよ……」と涙を落とす吉住。そのうしろでもらい泣きしてるオダウエダや爽やかに笑顔で拍手を贈るAマッソという光景を見て、吉住が優勝して本当によかったなあと思えるいい大会だった。

あと、SNS上で展開されていた紅しょうが・稲田に優勝したら金を借りる約束をしていたヒコロヒーと、吉住と借金の約束をした岡野陽一との「THE M」も白熱していておもしろかった。

『ストーリーズ』

ノーナレ「ちょっとだけ聞いて」。『THE W』終了直前から裏で放送されていたジェンダー問題を扱ったドキュメンタリーにヒコロヒーとみなみかわが登場。男芸人みたいな女芸人が、女芸人みたいな男芸人の股間を触り「ちんこ小さいな。サイズなんぼなん?」「男捨ててへんの?」などと言う男女入れ替え漫才を披露。

「女として生きてて嫌だなと思った、ある意味で公約数みたいな不満を言うと、フェミニストだって言われたりするんですよね。いや、女が生きてて嫌なことを言うだけでフェミニストになるのかなって。そういうところは男性にはまだわかってもらえない」とヒコロヒー。それを聞いて「いや、反省しながら……」と神妙に言うみなみかわにヒコロヒー「ウソだけやめてもらっていいですか? 何が『反省しながら』なんですか(笑)」。

今日観たい番組:『霜降りバラエティ』で「酔芸~酔えば酔うほど面白くなるか?~」など

『ロンドンハーツ』(テレ朝)は「もしも俺が女子だったら…この人と付き合いたい!」後半戦。

『霜降りバラエティ』(テレ朝)は「酔芸~酔えば酔うほど面白くなるか?~」。

『イグナッツ!!』(テレ朝)は「こいつこんなやつしりとり」。

『マツコの知らない世界』(TBS)は「ゲーム建築の世界」。

『チマタの噺』(テレ東)に森川葵。

『志村友達』(フジ)に壇蜜。

『あちこちオードリー』(テレ東)にキングコング。



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    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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