放送作家たちが考える、「マンガ動画」と「専門特化型YouTuber」のおもしろさ【YouTube座談会(1)】

2020.1.30
放送作家たちが考える、「マンガ動画」と「専門特化型YouTuber」のおもしろさ【YouTube座談会(1)】

文=原 航平 文(注釈)=野坂 瞳
イラスト=はせがわあさ


2019年の年末に集まった、4名の放送作家たち。白武ときお、カツオ、山口トンボ、谷田彰吾。皆それぞれ、TV番組とYouTubeチャンネルそれぞれで活躍する放送作家だ。TVとYouTubeを横断して日々映像コンテンツのトレンドを考える彼らに、2019年のYouTube重大トピックを余すところなく語ってもらった。

2019年に注目されたYouTubeトレンドといえば、「マンガ動画」と「専門特化型YouTuber」だと話す彼ら。それぞれ一体どんな魅力があるのかを紐解いていく。

※本記事は、2019年12月26日に発売された『クイック・ジャパン』vol.147掲載の記事を転載したものです。(掲載のチャンネル登録者数は2019年12月11日調べ)

「今年と言えば!」なトレンド・アイデアとは?
―2019年のYouTubeを概観―

マンガ動画の隆盛に全テロップ時代の到来

――今日はお集まりいただいてありがとうございます。「YouTubeについて語らずに2019年を終えるわけにはいかない!」ということで、白武さんが発起人になって、皆さんを集めてくださったんです。

白武ときお(以下、白武) TVとYouTubeを行き来しているめずらしい放送作家のみなさんにお声がけさせていただきました。マジでベストメンバーです! ありがとうございます。

――早速2019年のYouTubeを振り返っていきましょう。「今年と言えば!」といった光るアイデアやトレンドはありますか?

カツオ 今年のトレンドと言えば、まずは“マンガ動画”じゃない?

谷田彰吾(以下、谷田) たしかに。ほとんど急上昇ランキングそれじゃねぇかってときあるよね。

山口トンボ(以下、山口) 一見すると同じような見た目のサムネが並んでる(笑)。

カツオ その筆頭が『フェルミ研究所』(※1)ですかね。前まではイラストとか画像にナレーションを入れてるだけだったけど、マンガのコマにセリフがついて、だんだんマンガ動画としての形が確立されてきた。それで、ヒューマンバグ大学(※2)が追随していって……。

※1『フェルミ研究所』
2016年3月チャンネル開設。登録者数約180万人。“面白くてためになる漫画動画”をテーマに「蚊が絶滅したらどうなるのか」「転職しすぎるとどうなるのか」など身近な疑問に答えるマンガを動画にしてアップしている。

谷田 ここからマンガ動画が乱立していきましたもんね。

白武 2019年の急上昇のラインナップは一気に変わりましたよね。『あなたの番です』(日本テレビ)とかの考察系動画とか、マンガもそうですけど他のカルチャーが入ってきた感じがします。

カツオ マンガ動画を観てて思ったのは、YouTubeを観てる人も結局、TV的なものを求めてるんじゃないかなってこと。東海オンエアとか水溜りボンドみたいないわゆるYouTuberが、実験とか好きなことをやってる動画しか受け入れられないと思ってた。だけど、ヒューマンバグ大学の「死刑囚の最後の1時間をマンガにした。」っていう動画みたいな「へぇ」って感心する企画も1000万回以上再生されてたのが意外でした。

※2『ヒューマンバグ大学_闇の漫画
2019年3月チャンネル開設。登録者数約61万人。犯罪や社会問題、ドラッグ依存など、ダークなネタをテーマに“人間は追い詰められると(バグると)どうなるのか”をマンガ化、毎日投稿を続けている。

谷田 今まではよく「暇つぶしになるような短い動画を作ってくれ」って言われてきたけど、今はそうじゃないよね。視聴者は、「YouTubeでもなにかちゃんと価値のあるものを得よう」って意識になってきてる。

白武 ヒューマンバグ大学はネタのセンスがありますよね。

谷田 そう、ちゃんとクリックしたくなるようなものを持ってきてる。

カツオ フェルミ研究所が行き着いたところですごいと思ったのが、マンガの吹き出し=文字と、ナレーション=音があることで、目でも追えるし耳でも聴けるっていう、観やすい動画になったところ。

谷田 ちょうど時代のニーズとマッチしましたよね。若い人がどんどん活字読むのめんどくさくなってきてるから、ひと目で情報が入ってくる動画が求められてる。

白武 マンガ動画は、学校で授業中に音消して観てるんじゃないですかね。

カツオ 完全に観れるもんね。

白武 そう考えるとやっぱりテロップは、打てるなら全部打ったほうがいいのかも。

カツオ でも編集が大変なんだよねぇ……。

――テロップをどこまで入れるか、というのはTVでも議論のあるところだと思いますが、YouTubeの場合はどうなんですか?

谷田 シチュエーションの差もあるよね。外で観たりするから、文字があると助かるとか。

白武 あと、YouTubeは早送りボタンをタップして飛ばしたりするじゃないですか。そこでテロップがあると、展開を追いやすい。『にけつッ!!』(読売テレビ)で「〇〇の話」ってずっと下にテロップが出てることで追えるように。

山口 長い動画も増えて、それを倍速で観るような人が増えてきてるなかで、耳だけじゃ追いつかなくなってるのもあるんでしょうね。

白武 作り手は大変ですよ。動画の評価軸が再生回数から、再生時間、維持率に変わってきたのが大きいですよね。どれだけ動画に滞在させられるかの勝負。長時間化して、テロップつけて。

谷田 視聴者へのサービスが増えてきてる。

山口 そうなると結局、チームでやらないと回らなくなるんですよね。

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原航平

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原 航平

(はら・こうへい)ライター/編集者。1995年生まれ、兵庫県出身。映画好き。『リアルサウンド』『クイック・ジャパン』『キネマ旬報』『芸人雑誌』『メンズノンノ』などで、映画やドラマ、お笑いの記事を執筆。 縞馬は青い

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