『あの頃。』の松坂桃李に伝えたい、ハロヲタ「一体感」の秘密<ミラーではなくコピー>

2020.2.2

ほかのアイドルにはない「会場の一体感」はなぜ生まれるか?

松坂桃李に教えたい“ミラーではなくコピー”ハロヲタ演じる「あの頃。」
2019年6月18日 日本武道館『ハロプロ プレミアム アンジュルム コンサートツアー 2019春 ファイナル 和田彩花卒業スペシャル 輪廻転生 ~あるとき生まれた愛の提唱~』

ハロメンこそが主役としながらも、客席で“振りコピ”を楽しむのもハロヲタだ。手だけでほんのり振りコピをするヲタもいれば、体全体を使ってガンガンに踊るヲタもいる。そして、その振りコピの大きな特徴は、あくまでも“コピー”であって“ミラー”ではないということだ。

“コピー”とは左右の動きを含めダンスを忠実に再現することで、ステージ上のメンバーが右手を上げればファンも右手を上げる。一方“ミラー”とはメンバーと鏡合わせの形で踊ることをいう。

たとえば左右に手を振るダンスがあった場合、ハロヲタたちは“コピー”で踊るので、ステージ上と客席の動きは向かい合わせで互い違いになる。メンバーの動きに合わせるのではなく、ハロヲタたちもグループの一員であるかのように、まったく同じ動きで踊るのだ。

そして、“コピー”という暗黙のルールがあることによって客席の動きも統一される。すると会場の一体感が増し、コンサートはより盛り上がっていく。カラフルに輝くペンライトの動きがここまでキレイにそろう光景は、ほかのアイドルではあまり見られないだろう。「ハロプロのコンサートは観客席も含めて演出の一部だ」とはよく言われることだが、“コピー”で統一されているがゆえの結果でもある。

『あの頃。』はハロヲタを誠実に描いてくれるはず

ハロヲタには、いろいろなマナーがあって面倒くさいと感じる人もいるだろう。しかし、現場に行ってみると意外と自由でもある。最前列付近であってもいわゆる“地蔵”スタイルで見ているヲタもいるし、ペンライトを持たないヲタも少なくない。暗黙のルールがあるのは事実だが、それを絶対的ルールとして強要しているわけではないのだ。

もちろん、何をやってもいいということではないが、迷惑行為にならない限りは、自分なりに楽しめるのがハロプロ現場。そして、何よりハロメンのパフォーマンスがすばらしい! 暗黙のルールを知らなかったとしても、なんの問題もなく輝くハロメンに魅了されるばかりなのだ。

松坂桃李に教えたい“ミラーではなくコピー”ハロヲタ演じる「あの頃。」
劔樹人『あの頃。男子かしまし物語』

ここまで紹介したハロヲタの独自性というものは、あくまでも筆者の主観によるものだ。そこに明文化されたルールがあるわけではなく、100人のハロヲタがいれば、100パターンの楽しみ方がある。そして、その多様性を受け入れるのもまたハロプロなのだ。

映画『あの頃。』では当時の現場を再現することにこだわり、ハロプロやハロヲタを誠実に描いてくれるだろう。その姿に深く共感するハロヲタもいれば、同時に新たな発見をするハロヲタもいるはず。ハロプロの魅力、ハロヲタの独自性が、いかにしてスクリーン上で展開されるのか――。おしっぽグルグルで期待せずにはいられない!

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相羽 真

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相羽 真

(あいば・まこと)ライター。1975年生まれ。神奈川県出身。近年の主な執筆分野は芸能・エンタメ全般。WEBメディアの編集も担当。

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