ひとりでも完結するけれど、4人で集まる意味
─―WONKに対して戦略的なイメージを抱いてる人って、きっと少なくないと思うんですが、お話をうかがってると、みなさんが重んじているのはクリエイティブの質であり、なによりも自分たちが楽しめるかを大切にしてるんだなと感じました。産業的な効率性をそこまで意識していない。
江﨑 たしかに僕らって、産業への意識はほかのバンドよりもかなり高いと思うんですけど、アウトプットに関してはそこを一切意識してないですね(笑)。ある意味、ものすごく矛盾をはらんだグループなのかもしれない。
井上 最近は楽曲でチャートをハックするのが流行ってますけど、個人的にはそれってどうなのかなと思っちゃうんです。お金は儲かるのかもしれないけど。やってて楽しいのかなって。
─―いずれにしても、WONKがいま実践していることは旧来的なバンドの作り方とは一線を画していると思います。
江﨑 一人ひとりが個別にプロデューサーとして活動しながらこういうバンドを組んでいるっていうのも、わりとめずらしいかたちなのかもしれないですよね。
荒田 そもそもWONKみたいな音楽って、ひとりでは作れないと思うんですよ。僕らはそれぞれひとりで完結することもできるんだけど、いまWONKがやってる音楽はこの4人が集まらないとまず作れない。そこがおもしろいんですよね。
井上 自分ひとりでもできることはあるけど、みんなで集まったらこんなことも起きちゃうっていうね。たしかにこれはどっちかっていうと自分たちが楽しむために選んでいるやり方なのかもしれない。
江﨑 このバンドがそもそも学習環境になっているんですよ。スキルを習得するのが好きな人の集まりというか。僕も最初は打ち込みは全然できなかったので、荒田や井上の作業を見ながらいろいろ学ぶことが多かったし、そうやって相互にスキルを学び合えるっていうのは、かなり大きくて。
井上 WONKはそのやり取りが楽しくて存在している集団なのかもしれない。それは音楽以外にも言えることで、たとえば(江﨑)文武は最新のアプリやガジェット、テクノロジーのトレンドにものすごく詳しいので、「このアプリどうなの?」みたいな話をよくするし、(長塚)健斗からは美味しいレストランや料理のことを聞いたり、荒田からはいろんなビートメイカーを教えてもらったり、そういうのがすごく楽しいんですよね。
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