「コロナ騒動」1カ月 見えてきた人間の「業」(中川淳一郎)

2020.3.4


著名人も信じたデマ「コロナウイルスはお湯で死滅」

さらに、今回の騒動では以下のようなデマが登場した。

「医療機関に勤めている方から情報が入ったのでシェアします。今回のコロナウイルスは非常に熱に弱いことがわかりました。26~27度の温度で死滅します。なので、より多くのお湯を飲んでください」

これがLINEやSNSで多くの人に回ってきて、著名人もブログで言及するなどした。そして、「36~37度」説や「56~57度説」なども登場した。恐らく「26~27度」説から「お前、それって体温より低いからコロナは体内に入ったらさっさと死滅するだろう!」というツッコミを受けて自然と変化していったのではないだろうか。

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人が集まる風通しが悪い場所を避けるだけで、多くの人たちの重症化を食い止められる(国の専門家会議の見解 3月2日NHK報道)

東日本大震災のときも熊本地震(2016年)、西日本豪雨(2018年)のときもそうだったが、緊急事態になるとネットでデマが発生する。東日本のときは「千葉の石油工場が火災に遭い有害物質が雨になって降ってくる」で、熊本地震では「動物園からライオンが逃げた」で、西日本豪雨では「韓国人の窃盗団が登場した」というものだった。

こうしたデマには、「関係者から聞いた」というひと言が入ることもある。今回もまさにテンプレートのようなデマが登場したが、知り合いがFacebookでこうしたネタを拡散していると複雑な気持ちになる。あなたのような賢い人までなぜ騙されるのか!と。

信用を落とした「国際機関」

さて、今回明らかになったのが「国際機関」の信用度の低下だ。国連に大した能力がないことは、トランプ米大統領が「アメリカファースト」で国連をバカにしつづけてきたことにより、ここ何年かで明らかになってきたように感じるが、今回の騒動を受けてWHO(世界保健機関)も同様の扱いとなっている。

WHOが、緊急事態宣言を出すのが遅れたこと、「中国の対応を評価する、各国は参考にすべき」などと発言したことに「多額のカネをもらっている中国への忖度が激しい」という声がネットで多数あがっているのだ。

そもそもコロナ騒動の発端は、中国共産党が武漢での新型肺炎の発生を隠蔽(いんぺい)し、告発した医師を拘束したりしたからではないか。WHOのお偉いさんは何を寝ぼけたことを言っているのですか!

ネットが普及する前までは、日本人はやたらと「国際機関」に弱かった。国連とWHOもそうだが、IOC(国際オリンピック委員会)もそうである。

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中川淳一郎

(なかがわ・じゅんいちろう)ネットニュース編集者。1973年東京都出身。1997年博報堂入社、CC局(現PR戦略局)配属。2001年退社。以後無職、ライター、雑誌編集者などを経て現在はウェブメディア中心の編集者に。ひたすらネット上の珍騒動や事件を毎日テキストファイルに記録する生活を長年つづけている。

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