小田急線刺傷事件で思い出す、「ミソジニスト」による女性の搾取と甘え(僕のマリ)

2021.9.6


女性は、甘えるための対象ではない

この原稿を書いていて思い出したことがある。

わたしは小さな喫茶店で働いているのだが、男性客からの「甘え」には身に覚えがあった。話し相手になってほしいと毎日通ってカウンター席に座ったり、男性店員には言わないようなワガママを言ってきたり、最初は「よくあること」と流していたが、あまりにもそういうことが多く、自分が20代の女であるというだけでこんなにも甘えられるものなのか、と気味悪く思った。

以前からわたしのことをじっと見つめてくるおじいさんの客がいて、1年くらいは我慢していた。同僚も気を遣ってカウンター席には通さないようにして距離を空けてくれていたが、遠くの席からも懲りずに見つめてくる。

以前、おじいさんは「俺はこの店で綺麗なお嬢さん方を見ながらコーヒーを飲むのが好きなんだ」と語っていたことがある。そのことがずっと引っかかっていて、「女性店員をじろじろ見るのが楽しみ」だと言っているようなものだと思って悔しくなった。先日、ついに我慢の限界が来て、「なんでじろじろ見てくるんですか? 失礼です」とそのおじいさんに言った。彼はうろたえながら、「見てない」と嘘をつくので、過去の発言の意味も汲み取り、お店を出禁にした。

うちは喫茶店で、店員は見世物ではないのだ。「もう来ないでください」と言うと涙を流していて、今までずっと女性に甘え、搾取しつづけていたのだろうと思った。あの場では、泣くことすら加害的に思えた。そのくらい、わたしは追い詰められていた。

女性は、甘えるための対象ではない。いち個人であり、感情も意思もある。体格のいい男性にできないことは、女性にもやるべきではない。自分の不幸くらい自分で責任を持ってほしい。間違った認識を変えていくためにも、女性たちが声を上げていくことが大切だ。女性だから弱いわけじゃない。もっと強く生きられると、信じている。

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僕のマリ

(ぼくのまり)1992年生まれ、物書き。犬が好き。2018年、短編集『いかれた慕情』を発表。ネットプリントで印刷できるエッセイをたまに書いている。

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