「東京オリンピック2020選手入場曲、自分ならこれを選びたい」ゲーム好き放送作家・岐部昌幸が選ぶ名曲たち

2021.8.26

大神、スペチャン——私が選びたいゲームの名曲たち

僭越ながら……私がまず思い浮かべたのは、『大神』「太陽は昇る」
『ファミ通』で「ゲームファンが選ぶ“ゲーム音楽最高の1曲“」第1位に輝いた、まさに神曲です。

大神
『大神』

ゲームのクライマックス、ラスボス戦で流れるこの曲は、今だにそのシーンを思い返すだけで込み上げるものがあります。「泣きながらボスと戦った」という人も少なくありません。「太陽は昇る」というタイトルも、日本のオリンピック開会式にふさわしいと思いませんか? え? まだ『大神』をプレイしていない? 大至急、残りの夏休みでプレイしてください。損はさせません。

さらに、「太陽は昇る」と同じ作曲家(近藤嶺さん)が手がけた、『ファイアーエムブレム(FE)覚醒』「宿命~炎」という曲も思い浮かびました。
『FE覚醒』といえば、作品を象徴するBGM「I~為」だったり、海外からアスリートが集まるという意味で「遠征~炎」なんかもマッチしそうですが、私は断然「宿命~炎」推しです。

ちなみにどちらの曲も、私がかつて担当したNHKの音楽番組『シンフォニック・ゲーマーズ4』で生演奏されました。『シンフォニック・ゲーマーズ』は、ゲームの名曲をプロのオーケストラが演奏する人気のコンサート番組です。おととし放送された第4弾では、東京フィルハーモニー交響楽団が『大神』『FE覚醒』『イースII&III』『ポケモンHGSS』『サクラ大戦』など、泣く子も黙るビッグタイトルの名曲を奏で、放送時にはSNSのトレンド上位を独占するなど、大きな反響を呼びました。

バラエティ番組を中心に仕事をしている私にとって、初めて担当するオーケストラ番組は驚きの連続でした。
たとえば、渡された台本が今まで見たことも触ったこともない、昭和の学校で使われていた“わら半紙”のようなフニャッとした独特の紙質。「経費削減で安価な紙を使っているのかな?」と思ったらとんでもない! 「ページをめくる音が極力出ない特別仕様」だったのです。ほかにも、随所に見られる1音1音まで妥協を許さない、まさにプロフェッショナルな仕事ぶりに、ただただ脱帽するばかり。もし、『シンフォニック・ゲーマーズ5』の放送が決定したら、改めてその舞台裏を語りたいと思います。

長年担当している『ゲームセンターCX』でも過去に、有野課長が挑戦したレトロゲームの名曲を演奏するオーケストライベントを東京オペラシティで開催。そこでは“実験的な企画”も行いました。それは“有野課長のプレイに合わせてオーケストラが演奏する”というもの。つまり、有野課長がゲームオーバーになったら、ゲームオーバーの音を即興で奏でるわけです。しかも、選んだソフトはBGMが目まぐるしく変わる『ツインビー』。有野課長が苦手とするシューティングゲーム。その予測不能なプレイに翻弄されるプロのオーケストラ集団。企画が終わるころには指揮者さんが、まるで『リングフィットアドベンチャー』をプレイしたあとのような尋常ではない汗をかいていました。

さて、妄想入場曲に話を戻すと、もうひとつ思い浮かんだゲームが。
ドリームキャストで発売された『スペースチャンネル5(スペチャン)』です。

セガがリリースしたハイセンスなリズムゲームで、続編では、セガ好きで知られるマイケル・ジャクソン氏もガッツリ登場しています(しかもこのゲームのためにわざわざボイスを収録)。それまでのリズムゲームの多くは、「表示された○×□などのボタンをテンポよく押す」という仕組みでしたが、この『スペチャン』はそうしたボタン表示がなく、音楽に合わせてダンスをキメる“ガチのリズム感”が要求されます。リズムゲームの歴史をぎゅんぎゅん変えたエポックメイキングな作品です。

そんな『スペチャン』は、主人公の「うらら」を先頭に大人数が大手を振って行進する姿が印象的で、入場曲にぴったりだな、と。テーマ曲の「Mexican Flyer」はもちろん、「Spaceport」(最初のステージ曲)なんかで世界中のアスリートが行進する姿も見てみたいな~と夢見た次第です。

まだまだ紹介したい、入場曲にピッタリの楽曲はたくさんあります。そして、いろんなゲーム好きの妄想メドレーもぜひ聴いてみたい! ということで私、ゲーム有識者が候補曲を持ち寄って熱く語る「まだまだあるよ! オリンピック開会式にぴったりゲームミュージック座談会」なる企画書を作成しました。ご興味あるテレビ業界関係者のみなさん、ぜひとも連絡を! ちなみに、ピアノもできるゲーマーの清塚信也さんが「演奏は俺に任せて!」と、口約束してくれています(笑)。

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