2021年8月8日に閉会式を迎えた、東京オリンピック2020。7月23日の開会式では、選手入場が『ドラゴンクエスト』シリーズでおなじみの「序曲」からスタート。『ファイナルファンタジー』や『モンスターハンター』など誰もが知るゲームタイトルの楽曲はもちろんのこと、ゲームファンにはたまらない『ニーア』や『グラディウス』、『サガ』シリーズといったタイトルの楽曲たちも次々と流れ、SNSを中心に大きく話題となった。
『ゲームセンターCX』(フジテレビONE)や『勇者ああああ』(テレビ東京)などのゲーム番組を数多く手がける放送作家の岐部昌幸はもちろん、選手入場曲のラインナップに胸が熱くなっていた。しかし同時に、「自分が担当者だったら、あのゲームの楽曲を選びたい」といくつもの楽曲が頭に浮かんでいたのであった。
東京オリンピック2020で使用されたゲーム音楽に思うこと
「序曲は5分で作った。しかし、厳密には55年と5分である」
これは、ファンならご存じ、国民的RPG『ドラゴンクエスト』の楽曲を手がけるすぎやまこういち先生のお言葉です(※格言風に要約)。記憶に新しい東京オリンピック2020の選手入場曲として冒頭に流れた『ドラクエ』のオープニングテーマ「序曲」の制作秘話を、かつてこのように語っていました。「この曲は5分プラス、僕がそれまで生きてきた55年分が詰まっている」。なんとも含蓄のある言葉です。

ちなみに、すぎやま先生はもともとフジテレビの社員で、『ザ・ヒットパレード』という音楽番組の礎を築いた、ゲーム業界のみならずテレビ業界においても偉大な人物です。
世界中が注目した平和の祭典・オリンピック。その開会式で演奏された数々のゲームミュージックにSNSは大騒ぎとなりました。
実は、開会式より少し前「新国立競技場からドラクエの曲が流れている」という噂を耳にしていました。「まさか……」と思う一方で、あの“リオオリンピック閉会式”の映像が脳裏をよぎりました。
ドラえもんが四次元ポケットから出した土管が、東京からリオに向けて地球を貫き、ボールを受け取ったマリオがワープしていく……。
日本の真裏がブラジル、パンフのRIOからのMARIO、もはや共通認識となった“土管を通る=ワープ”という概念……奇跡やらセンスやら日本の誇りやらが詰まったあの心躍る演出を思い出し、「これは、開会式でドラクエあるぞ!」と、(実はブラジルは任天堂ではなくセガのゲーム機が覇権を取った国なんだけどな)(2010年代にもメガドライブの新作が発売されているんだよな)という脳内のセガっ子豆知識を振り払いながら、テレビの前に正座して、運命の時を待ちました。
あとは、みなさんもご覧になったとおり。『ドラクエ』の「序曲」に始まり、『ファイナルファンタジー』の「勝利のファンファーレ」など、戦うアスリートたちを鼓舞するような勇壮な楽曲がつづきました。『モンスターハンター』のテーマ「英雄の証」なんて、オリンピックのために書き下ろされたんじゃないかと思うくらいフィットしていましたよね。
もちろん、ゲームファンとして『マリオ』や『ゼルダ』、『ポケモン』といった世界的に親しまれているゲームの楽曲も聴きたい、いや、聴いてほしいという思いもありましたが、私が訪れたことのない、そしてこれからもきっと訪れることはないであろう国の人々の耳に、日本のゲームミュージックが届いたと思うと、胸が熱くなりました。
一方で、ゲーム好きならきっと妄想したはず。「あのゲームの曲も入場曲に絶対に合う!」とか「自分が担当者だったらあのBGMをかけたい!」などなど。
今回は僭越ながら、私が考えた「オリンピックの選手入場に合うゲーム音楽」について語りたいと思います。
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