“ヲタ活”に年間15万――時間とお金を全集中させるイマドキの若者(長田麻衣)

2021.2.27

「○○ヲタである」がアイデンティティ

映画『あの頃。』では、主人公が握手会に行くシーンがあるが、そこにはネルシャツをズボンにインしてリュックを背負い、頭にはハチマキをした男性の行列があった。

皆さんが「ヲタ」と聞いて思い浮かべるのも、こんな感じかもしれない。 2000年前半に映画、ドラマで話題になった『電車男』(2005年)やAKB48など、ヲタクが注目を集めたが、そのときに描かれたヲタはニッチで閉ざされたコミュニティであり、どちらかというとネガティブなイメージを持たれていたと思う。

いらすとやで配布されている「オタク」のイラスト

しかしヲタ活が当たり前になっている今、ヲタの定義は浅く広くマス化している(そして何よりおしゃれ)。若者からは「自己紹介をするときには必ず推しの話をする」「自分からヲタクを取ったら何も残らない」という声も聞かれており、ヲタ活は彼らにとってアイデンティティであり、オープンでポジティブなものであることがわかる。

現に彼らは、自分たちのヲタ活をSNSで共有したり、SNSでヲタ友を作ったり、友達に推しを布教するなど、積極的に推しを軸にコミュニケーションを取っている。

これには、彼らの生い立ちとアイドルカルチャーブームが並走していることが影響していると考えられる。今の高校生・大学生くらいの若者のヲタ活ヒストリーを聞いていくと、ヲタ活の始まりはミニモニ。やAKB48と答える子が多い(今の大学生・高校生はモーニング娘。の7枚目シングル『LOVEマシーン』発売後生まれ)。

彼らは幼いころからアイドルを応援するカルチャーに触れており、小学生のころから友達と推しの話題でコミュニケーションを取っていたのだから、“推しがいる生活”を送る基盤があるのは自然なことだし、だからこそ隠す必要のないことなのかもしれない。

公式グッズだけじゃない自主的消費も。イマドキ若者のヲタ活消費の実態

この記事の画像(全4枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

関連記事

『乃木恋デイズ』『あの頃。』の今泉力哉<アイドルを撮る>こと

『乃木恋デイズ』『あの頃。』の今泉力哉<アイドルを撮る>ことの距離感と興味

boysgroup_3_main

JO1、原因は自分にある。、CUBERSなど、2020年代に躍進が期待されるボーイズグループ最前線

松坂桃李に教えたい“ミラーではなくコピー”ハロヲタ演じる「あの頃。」

『あの頃。』の松坂桃李に伝えたい、ハロヲタ「一体感」の秘密<ミラーではなくコピー>

ツートライブ×アイロンヘッド

ツートライブ×アイロンヘッド「全力でぶつかりたいと思われる先輩に」変わらないファイトスタイルと先輩としての覚悟【よしもと漫才劇場10周年企画】

例えば炎×金魚番長

なにかとオーバーしがちな例えば炎×金魚番長が語る、尊敬とナメてる部分【よしもと漫才劇場10周年企画】

ミキ

ミキが見つけた一生かけて挑める芸「漫才だったら千鳥やかまいたちにも勝てる」【よしもと漫才劇場10周年企画】

よしもと芸人総勢50組が万博記念公園に集結!4時間半の『マンゲキ夏祭り2025』をレポート【よしもと漫才劇場10周年企画】

九条ジョー舞台『SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記

九条ジョー舞台『SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記「猛暑日のウルトラライトダウン」【前編】

九条ジョー舞台『SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記

九条ジョー舞台『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記「小さい傘の喩えがなくなるまで」【後編】

「“瞳の中のセンター”でありたい」SKE48西井美桜が明かす“私の切り札”【『SKE48の大富豪はおわらない!』特別企画】

「悔しい気持ちはガソリン」「特徴的すぎるからこそ、個性」SKE48熊崎晴香&坂本真凛が語る“私の切り札”【『SKE48の大富豪はおわらない!』特別企画】

「優しい姫」と「童顔だけど中身は大人」のふたり。SKE48野村実代&原 優寧の“私の切り札”【『SKE48の大富豪はおわらない!』特別企画】

話題沸騰のにじさんじ発バーチャル・バンド「2時だとか」表紙解禁!『Quick Japan』60ページ徹底特集

TBSアナウンサー・田村真子の1stフォトエッセイ発売決定!「20代までの私の人生の記録」