“ヲタ活”に年間15万――時間とお金を全集中させるイマドキの若者(長田麻衣)

2021.2.27

文=長田麻衣 編集=鈴木 梢


2月19日に公開された映画『あの頃。』を観てきた。この映画は、ハロー!プロジェクトに魅せられたアイドルヲタクたちの絆と青春を描いている。

ハロプロの“あの頃”が細部まで再現されていて、終始ハロプロへの大きな愛を感じ、いちハロヲタとしてエモさと共感を覚え、モーニング娘。の「恋ING」を演奏するシーンでは、愛があふれ過ぎていて涙が出た(この記事を書いている今もモーニング娘。の曲を聴きながら書いている)。

私はこの映画をふたつの視点から鑑賞した。ひとつは、先述したいちハロヲタとしての視点、もうひとつは今の若者の“ヲタ活”と元祖ヲタの実態を比較する、若者マーケティング機関の所長としての視点だ。

この2、3年で、「ヲタ」や「推し」という言葉を聞くシーンが非常に増えた。マスメディアでもヲタ活の実態が取り上げられているし、ボーイズユニット「CUBERS」の末吉9太郎くんが「それなー!」「沸いたー!」などヲタ用語を使った「アイドルオタクあるある」など、ヲタの生態やあるあるを紹介するコンテンツは若者を中心にSNSで話題になることが多い。

そして、推しが炎上することから物語が始まる宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』は、第164回芥川賞を受賞した。今女子高生だったら、夏休みの読書感想文はこの本で決まりだったなと思う。

私がSHIBUYA109 lab.の活動を始めた3年前から、若者の間では「ヲタ活」は当たり前で、誰もがしていることだった。むしろヲタ活をしていない子のほうが少ないくらいだ。

彼らと話していると、必ずと言っていいほど「推し」の話が出てくるし、推しの話をしているときの彼らは、なんの話をしているときよりも熱量を持って語るし、一番輝いている。

過去のSHIBUYA109渋谷店に来館しているaround20(15〜24歳)女子を対象とした調査では、約7割が“自分がヲタであること”を自覚しており、年間15万円以上ヲタ活に費やしている人が最も多いという結果も出ている。

元祖ヲタの皆様からすると、「年間15万だけ? ニワカじゃん」と思う方もいるかもしれないが、収入が限られている若者にとっては、けっして小さな額ではない(愛はお金では測り切れないし、ヲタ活の楽しみ方は人それぞれ、自由!!!!)。 とにかく彼らはヲタ活にお金を回すために節約に励み、アルバイトをがんばり、お小遣いを貯め、時間とお金を推しに捧げているのだ。

「○○ヲタである」がアイデンティティ


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