“ヲタ活”に年間15万――時間とお金を全集中させるイマドキの若者(長田麻衣)

2021.2.27

推しはお守り

若者に「あなたにとってヲタ活とは?」という問いかけをすると、「息をするのと同じこと。生きる意味である」「知らない世界を知れて自分磨きができる!」という答えが返ってきた。

推しの存在は、目に見える消費だけでなく、モチベーションやマインドへの影響力も絶大なのだ。 いつかのヲタ活をテーマにしたインタビューで若者が言っていた、「普段は踏み出せないことも、推しのためなら一歩前に進める」という言葉と、それに共感している多くの若者の姿が印象的だ。

たとえばK-POPヲタは、現地の情報をいち早く仕入れるために独学で韓国語を学び、そのスキルを将来の仕事にも活かしたいと話すし、現場や推しとの接触が比較的多いメン地下(メンズ地下アイドル)ヲタは、推しに会うのに史上最強にかわいい自分になるため、自分磨きも怠らない。

普段はストリート系のファッションをしている子も、推しに会える現場では正装である量産型(ピンク・白を基調としたガーリーなファッション)や、やみかわ(ピンク・黒を基調としたガーリーなファッション)で武装をする。

若者にとって推しという存在は、「応援する人・される人」の関係だけではなく、何かにチャレンジするきっかけや、なりたい自分になるあと押しになっている、いわばお守りみたいな存在なのだと思う。

しかしこれは今の若者に限った話ではない。SNSなど、生活環境が変化したことで新たなヲタ活の定義や楽しみ方が生まれているが、推しの存在や、推しを介してつながった仲間が心の支えになっていたり、生きる活力になっているのは、今も昔も変わらないと思う。

私はずっと変わらないヲタマインドを、映画『あの頃。』を通して再確認した。

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