COVID-19、うちで踊ろう、ネットとプライバシー…粉川哲夫×TVOD“2020年”を考える(1~6月)

2020.12.30

文=粉川哲夫TVOD 編集=森田真規


新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界が様変わりしてしまった2020年。それによってカルチャーも社会も、もちろん個々人の生活も、大きな変化が求められるようになりました。

激動の一年が終わりを迎えようとしているなか、QJWebの時事連載「クイックジャーナル」で執筆中のメディア批評家の粉川哲夫さんと、テキストユニット「TVOD」のパンスさんとコメカさんの3人に、2020年を振り返る鼎談をしてもらいました。
※粉川さんはTVODのふたりに倣って、本稿では「プシク」と名乗っています。

まずは新型コロナウイルスの脅威が及び始め、徐々に生活が変化していった1月から6月の上半期を振り返っていただきました。

《横立》の時代へ

パンス TVODパンスです。今回は2020年を振り返るということで、出来事を1月から書き出したものを見たりしていました。中国でのCOVID-19の発生が去年12月末なので、今年は本当にコロナ一色なんですよね。ただ、日本では1月時点ではそこまで大きな話題になってなかったように思います。
そしてTVODはちょうど『ポスト・サブカル焼け跡派』を刊行するというタイミングでした。

『ポスト・サブカル焼け跡派』TVOD/百万年書房

プシク はじめまして、よろず追っかけ屋のプシクです。ご本を拝読して、サブカルがアマゾンやコンビニ(比喩)でも買えるようになった「焼け跡」状態以後、今や「ポストサブカル」ができているのか、だとするとなんだろうなんて考えていました。
いろいろありましたがコロナの圧倒的なインパクトは「世界革命」でした。「世界動乱」とも言えますが、「革命」としておいたほうが先の話ができます。サブカルチャーがサブカルやポストサブカルになっても、「サブ」を引きずっている以上、「サブ」つまりメインストリームやメジャーでないという要素は残るのでしょう。今マスクはどこでも買えますが、その使い方はまだ「サブ」ですね。そのサブカルとしてのぶっ飛び方に期待しています。

コメカ TVODコメカです。年頭の段階では、まさかこんなことになるとは思っていませんでした。「70年代以降の消費社会的環境が崩壊したあとの世界」みたいなイメージで『ポスト・サブカル焼け跡派』というタイトルをつけたのですが、コロナ禍以降は本当に革命後の世界のような状況になってしまったなと感じています。
コロナ以外の話題で年初において個人的に印象深かったのは、大澤昇平氏の東京大学懲戒解雇の件でした。「中国独裁共産党は東洋文化研究所などに入り込み、東大を支配しています」など、一応世間的に認知もされている工学者が、ここまで露骨に陰謀論的・妄想的な想像を発信してしまうことに非常に驚きました。

プシク 陰謀論の歴史は古いですが、それが勢いづいたのも2020年ですね。発端は、2年ぐらい遡りますが、加速させたのはトランプです。ファーウェイの電子製品にバックドアがあって、ユーザー側の情報がバレバレだというのを「中国共産党の陰謀」にまで単純化したわけです。そんなことを言ったら、インテルのCPUにだって使用環境をトレースできる機能があるわけだから、「米国帝国主義の陰謀」もあり得るわけです。が、こういう型ができると、世界の動きがそっちに行き、中国悪者説がいまや米国とその同盟国の政治常識になったわけです。
だから、大澤先生の件も、そういう思想の手合からすれば「常識」なんでしょう。しかしですね、もう、「敵」を設定しないとやってけない時代は終わっているんじゃないんですか? 「敵」をつくるなら「敵」とは違ったコンセプトのものをつくってしまって、「横」に置く、つまり《横立》とでも言いましょうか、そういうのがサブカルレベルでは浸透していると思うんです。

コロナ禍におけるアート


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