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「子供のため」を知る、実践的コミックエッセイ
3冊共に共通しているのだが、性教育は「もう少し大きくなってわかるようになったら教えよう」では手遅れである、ということをどの著者も指摘している。今まで性の話がタブーだった家庭で、子供が中学生になったときに突然セックスについて説明をするのは相当にハードルが高いだろう。逆にその年になるまで「大人になったらね」と子供からの質問をごまかしつづけていたとしたら、もうすでに子供からの信頼は回復不可能なほど損なわれているはずだ。
そうはいっても、幼い子供に突然「赤ちゃんはどうやってできるの?」と聞かれてスラスラと100点の回答ができる人は少ないかもしれない。本書は親の戸惑いをじゅうぶんに汲み取り、親側の不安や疑問に丁寧に答えながら3歳から10歳の子供にどう接するか、どう教えるかをひたすら実践用に描いたコミックエッセイだ。
精通に気づいたらどうすべきか、マスターベーションをしていたらどうすべきかと、今までぼんやりとしか語られなかった個別の問題にも、常に子供の尊厳を第一に考えた回答が用意されていて深く納得してしまう。
個人的に感銘を受けたのは、就学前の幼児期でも親が愛情表現としてお尻を触るのはNG、という考え。子供が小さいうちなら、親なら……とついやってしまいそうだ。また、出産について教えるときに母親が恩着せがましくしないことは当然としても、「素晴らしいでしょ」などと価値観をくっつけないこと、という指摘も非常にためになった。1ページ1ページが共感と発見の連続で、子供のため、という言葉の意味を真に知ることができるような一冊だ。
「性教育本」はブームではない
以上、今年刊行の特に印象に残った3冊を紹介させていただいたが、このあとも性加害の動画で話題となったシオリーヌさんの『CHOICE』など刊行が楽しみな性教育本のタイトルもある。
性教育本はいっときのブームではなく、子供を育てる人たちが当たり前に手に取るようになっていくのではないだろうか。「性教育なんてしなくても自然に覚えるものなんじゃない?」という考え方が「昭和かよ!」とツッコまれる時代が、もうそこまで来ている。
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