緊急避妊薬の問題から考える 「変わらない日本」を変える女性たち(古田大輔)

2020.8.3

文=古田大輔 編集=谷地森 創


7月29日、NHKが放送した『おはよう日本』内で触れられた、「緊急避妊薬」に対する日本産婦人科医会・前田津紀夫副会長の見解に、女性たちから批判の声が上がった。この問題はツイッターでもトレンド入りし、署名サイト「change.org」での「アフターピル(緊急避妊薬)の薬局販売を求めるキャンペーン」にも8万件以上の署名が集まるなど、大きな注目が集まっている。

ジャーナリストの古田大輔は、女性が軽んじられてきた日本社会の根深い問題を指摘する。そして、そんな絶望的な状況を変えようと声を上げる女性たちにこそ、希望を感じる、と。


「緊急避妊薬」「アフターピル」がツイッターのトレンドに

男女格差を示す「ジェンダー・ギャップ指数」(「世界経済フォーラム」発表)が153カ国中121位(2020年)で、先進国でダントツに最下位。日本は女性が生きにくい国として、世界でも悪名が高い。

僕の友人や知人の中でも、優秀な女性が日本を離れ、グローバル企業や国際機関で働くことにしたという話を聞くことが年々増えている。彼女たちは日本の現状に怒り、あきれ、その改善を待てなくなっているのだ。真剣に。

この記事で取り上げる問題に関しても、女性たちは怒りの声を上げ、「緊急避妊薬」「アフターピル」がツイッターのトレンドに入るまでになった。発端はNHKが7月29日に放送した『おはよう日本』だ。

避妊は女性だけの問題じゃない

番組は、意図しない妊娠を避けるための緊急避妊薬を、薬局などで購入可能にする活動を紹介していた。その中での日本産婦人科医会・前田津紀夫副会長の言葉に批判が集まった。

「日本では若い女性に対する性教育 避妊も含めて ちゃんと教育してあげられる場があまりに少ない」

「“じゃあ次も使えばいいや”という安易な考えに流れてしまうことを心配している」

『おはよう日本』(NHK/7月29日放送)より

寄せられた批判はさまざまだが、このツイートでも紹介されている産婦人科医の遠見才希子氏の言葉が問題を端的に指摘している。「女性だけの問題ではなくて 日本社会全体の問題」であり、「身近な薬局で購入できる選択肢は必要」ということだ。

前田副会長は、性教育が不十分であることを懸念し、安易な考えに流れないように警鐘を鳴らしている。

性教育が不十分なのはそのとおりだ。だが、それは女性に対してだけじゃない。性やセックス、特に妊娠に関しては男女双方への性教育が重要だ。


諸外国では普通のこと。なぜ日本ではダメなのか

そしてもうひとつ重要なのは、自分の体に命を宿す女性にとって、日本以外であれば取り得る選択肢を封じられているということだ。

性の健康(Sexual Health)について日本の現状を変えようと訴えるプロジェクト「#なんでないの」のまとめによると、緊急避妊薬(アフターピル)はイギリス、スウェーデン、ドイツ、フランス、カナダ、オーストラリア、アメリカでは薬局で販売されている。

緊急避妊薬の薬局販売を求める人たちの声は切実だ。

性行為から72時間以内に服用する緊急避妊薬は、現状では医師の処方が必要。つまり、医療機関が閉まっている夜間や休日には入手しにくい。

コンドームが破れるなどの避妊の失敗や性暴力被害など、まさに「緊急」の事態で、病院に行って、医師の処方を受けて薬をもらうのはそもそもハードルが高い。

すぐに買える薬局で販売してほしいというのは、当然の願いだし、だからこそ、諸外国ではそうなっている。

産婦人科医の66%が薬局での販売に賛成


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古田大輔

(ふるた・だいすけ)ジャーナリスト/メディアコンサルタント 。 福岡県生まれ、早稲田大学政治経済学部卒。2002年、朝日新聞入社。社会部、アジア総局、シンガポール支局長などを経て帰国し、デジタル版編集を担当。2015年10月退社、『BuzzFeed Japan』創刊編集長に就任。ニュースからエンタテ..

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