マスター役金子清文氏にインタビュー「タニノさんとは話してないです」

今回、4代目マスター役になった金子清文氏に、それまでの経過や撮影時の話を聞いてみた。
――庭劇団ペニノとの接点はいつごろからあったんですか。
金子 ペニノのことは昔から評判は聞いていたんですけど、僕は観たことがなかったんです。それで、今年の1月にふたつのプロジェクトの出演者募集説明会というのがあって、そのひとつが『ダークマスター』の東京と海外公演だったんです。募集しているマスター役の年代がちょうど僕ぐらいだったのと、オーディションじゃなくて説明会をやりますということだったんで、ちょっとおもしろいかなと思って、プロフィールを置いてきたんです。
――そのあとオーディションはなかったんですか。
金子 なかったんです。オーディションとか、あまりやりたくないみたいで。だから、タニノさんとも話してないんです。
――タニノさんは金子さんの芝居を観てるんですか。
金子 観てないです。
――じゃあ雰囲気だけで決めたっていうことですか。
金子 そうですね。直感で連絡くれたんだと思います。それで、海外というのはアメリカツアーだったんですけど、コロナで海外ツアーがなくなったんです。アメリカに行けるからいいなぁと思っていたんですけど。『ダークマスター VR』は、来年1月にニューヨークで上演されるみたいですけど、役者は必要ないですから。
――VRは舞台での芝居とはだいぶ違いますか。相手の青年がコロッケ食べるのは、カメラのうしろから手を回して食べるんですか。
金子 そうです、そうです。とにかくワンシーンごとの長回しなんで。
――演出のタニノさんはモニターを見てるんですか。
金子 いや、カメラのうしろから。何が映っているかは、リアルタイムではわからないんです。VRはデータが重くて、10分ぐらいのデータを落とすのに1時間ぐらいかかるんです。1時間ぐらい経ってタニノさんがVRで観て、OK出したり撮り直しになったりで。ワンミスでやり直しになるので10回ぐらい撮り直したこともあって。4日稽古で4日本番だったから、けっこうかかってます。
――どうなんですか、今までやってきた舞台の『ダークマスター』と比べて。
金子 タニノさんは、今回のが一番原作に近いって言ってますね。
VRでもナマモノである演劇のおもしろさは失われていない
映画と演劇を比べると映画のほうが好きだ。昔、アングラ演劇をよく観ていたことも影響しているのだけど、演劇はナマモノだから何が起こるかわからないという不安感がある。その点、VRは安心である。すでに起こったことを観ているわけだから。と思っていたけど、マスターに見つめられると映像だと思ってもドキッとしてしまう。
青年がマスターの指令でステーキを焼くシーンがある。そのとき、かすかにいい匂いがしてきた。気のせいかと思っていたら、金子氏に聞くと、スタッフが玉ねぎを炒めて、ウチワで扇いでブースを回っていたらしい。そういうところが、演劇的でおもしろいと思う。
この記事がアップされるのは10月17日午前9時の予定だ。公演は余すところ17日(5回上演)、18日(3回上演)のみとなっている。もちろん両日とも予約で埋まっていると思うけど、キャンセルが出ないとも限らない。どうしても観たい方は当日、東京芸術劇場シアターイーストへ。
末井昭の「クイックジャーナル」は毎月1回の更新予定です。
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