外国人差別を助長し、都合のよいときだけ性犯罪を糾弾する悪(小川たまか)

2020.9.26

「敵」を攻撃するための「性被害の利用」にNO

さて、このように普段性犯罪や性暴力の問題について特に注意を払わない人たちが、ある事件を取り立てて批判するときの常套句が、「フェミはだんまり」である。この件についてもやはり、「女性への性暴力に反対するフェミ団体も沈黙したまま」「フェミニスト団体やマスコミは知らん顔なんかなぁまったく…」などという書き込みを見つけた。

この方たちは知らないのだろうか。

フェミニストたちが始めたフラワーデモのきっかけとなった4件の無罪判決のうちの1件、2019年3月19日の静岡地裁浜松支部判決の被告は外国籍の男性だった。強制性交致傷に問われたが「故意はなかった」と判断され、裁判員裁判で無罪になっている。

普段から性暴力の問題に声を上げている人たちは、加害者がどんな属性かで判断することはない。「フェミは知らん顔」と言いたがる人たちは、興味がないから目に入らないだけとしか言いようがない。

私はこのように、外国人が加害者である場合だけを取り上げて性犯罪を糾弾するような「性被害の利用」にはっきりとNOを言いたい。同時に、政権の関与があったのではないかと疑惑がある事件についてだけを「特別に重要な性犯罪事件」かのように言う人のこともまったく支持できない。

自分が「敵」認定した相手を貶めるためだけに性被害を利用する人は、案外どこにでもいる。呆れるし、そのような動きとは距離を取っておきたいと思っている。

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小川たまか

(おがわ・たまか)1980年、東京都品川区生まれ。文系大学院卒業後→フリーライター(2年)→編集プロダクション取締役(10年)→再びフリーライター(←イマココ)。2015年ごろから性暴力、被害者支援の取材に注力。著書に『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(タバブックス)、『告発..

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