4:嫌になったらやめられる
たとえば「結婚しよう」と言われて、一切怯まずに対応できる人が多くないように、「結婚」という言葉の重厚さは私を含め多くの人が認めていることだと思う。3人に1人が離婚する時代であるし、「嫌になったら別れればいい」とは言うものの、すぐに「じゃあ結婚しようか」とはならない人がほとんどではないだろうか。しかし、本当に「嫌になったらやめられる」のである。
私が話を聞いた女性は、若くして結婚して妊娠・出産をしたのちに離婚。数年後、元夫と籍は入れないものの「再結成」をし、ふたり目を妊娠・出産し、再度「解散」してシングルとなった。その後、当時未成年だった15歳年下の男性と結婚し、離婚。現在は、結婚している間も夫公認で交際していた男性とお付き合いしながら、別れたばかりの夫とも円満な関係を築いているという。
こう書くと情報量が多いように感じるかもしれないが、何か思うことがあるたびに話し合いをし、自分たちの居心地のよい関係でいられるよう、かたちを変えることはかえって自然に思えた。夫婦の関係性が変わっていくのと同様に、制度上の関係も軽やかに変えていけるのだということは、「交際」や「結婚」と、事を重く考えがちな私を解放してくれたのだった。
まとめ:愛と家族のかたちは、自分でつくっていける
私たちの社会においては、結婚、恋愛、セックス、子育ての類がまるっとひとつの箱に収められてしまっている。「実際にはそうではない」と思っていながらも、外からの、あるいは内面化された価値観に抗って生きることはそう簡単なことではない。
しかし、実際にそうした生き方を選んでいる人を見ると、たとえすべてをまねできないとしても生きやすくなるヒントをもらえたり、勇気づけられたりする。私もそのひとりだった。
先に紹介した事例、そして私の葛藤を1冊の本に収めた。手前味噌で恐縮だが、もしも気になった方はお手に取ってみてほしい。
劇的に救われることはないかもしれないが、誰とどんなふうに生きていくか悩んでいる方が生きていけなくはない程度には、希望が持てるような本を書いたつもりでいる。