渡部建、多目的トイレ不倫から私たちが考えるべきこと(小川たまか)

2020.6.22

「浮気しない男はいない」という強者のルールからは距離を取って

渡部建_多目的トイレ不倫

「不倫」というと、本妻から夫を略奪するというイメージと結びつきやすい。確かに東出の不倫や、かつての川谷絵音の不倫には、そういった気配を感じた。セックスだけではなく恋愛のトキメキを楽しんでいた気配。

一方、渡部の「不倫」相手の証言は悲しい。多目的トイレで5分とか、性交が終わったらシャワーも浴びさせてもらえず帰らされたとか、動画をつないでオナニーを指示されたとか。ひとつだけ「白ワインとおつまみ持参で現れて、少し飲んだあとにエッチをするという流れ」という証言があり、ああ射精以外のコミュニケーションもあったんだと思ったほど。

このような扱いをされていた女性たちが、一瞬でも「自分は佐々木希に勝っている」とか「佐々木希から男を奪った」とか思えたかといえば、絶対そんなことはないだろう。「佐々木希ほどの美人の夫がこんなクズでドン引き」はあったかもしれないが、そう思えば同時に「そんな男に性欲処理に使われている自分はなんなのか」を考えるハメになる。

なぜそんな扱いをされても関係をつづけてしまうのか。女性のほうは多少なりとも恋愛感情を持っているからだと思う。意地悪な見方をすれば、「有名人とのセックスに価値を感じていた」とかになるのかもしれないけれど、尊厳を傷つけられることに価値を感じていたとしたら、それはむしろ自傷の類だ。

昔、渡部的な「不倫」を繰り返す男性が、「恋愛は善悪じゃなくて強弱。結局強いほうが正しい」と言っていたのを聞いたことがある。惚れたほうが負けで、惚れさせたほうは非人道的な振る舞いをしても咎められないという意味だった。

それは世界の一部では真実なのかもしれないが、もうそういう強い者の作るルールブックから遠く離れたところにいたい。若い女性たちにも、なるべく距離を取ってほしいと思っちゃう。よけいなお世話かもしれないけれど。

「浮気しない男はいない」とか「デキる男は全員浮気する」とか言ってそっちのルールに都合のいいことを押しつけてくる人からは、走って逃げる。ツイッターでそういうこと言っている人がいたらリムーブで、「本命彼女になるためには?」の特集は半笑いで読み飛ばしてOK。令和はそんな感じで生きる人が増えたらいいと思っています。



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小川たまか

(おがわ・たまか)1980年、東京都品川区生まれ。文系大学院卒業後→フリーライター(2年)→編集プロダクション取締役(10年)→再びフリーライター(←イマココ)。2015年ごろから性暴力、被害者支援の取材に注力。著書に『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(タバブックス)、『告発..

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