「今はアイドルに全力」つばきファクトリー福田真琳・八木栞が突き進む夢へのステップ

2023.3.1
「今はアイドルに全力」つばきファクトリー福田真琳・八木栞が突き進む夢へのステップ 

文=羽佐田瑶子 撮影=持田 薫


一見、可憐で大人しそうなふたりは、マイクを持つとガラッと雰囲気が変わる。かっこいいもかわいいも、新人らしからぬ多彩な表現力でグループの躍進の原動力のひとつとなっている。

ハロー!プロジェクトのオーディションに参加し、つばきファクトリーに加入して約1年半。新メンバー4人のうち一般枠から加入した八木栞福田真琳は、グループやアイドルの常識にとらわれず独自の道を歩んでいるように思う。その真面目さとおかしさのバランスに、どうしたって目が離せないのだ。もっと多くの人に、見つかってほしい。そう願いながら、彼女たちがふだん考えていることに耳を傾ける。

八木 栞
2003年生まれ。愛知県出身。つばきファクトリー所属。舞台女優魂を感じる「きのこたけのこ大戦記」歌唱動画はつばきファクトリー公式YouTubeチャンネルで。

福田真琳
2004年生まれ。長崎県出身。つばきファクトリー所属。昨年8月開催の『つばきファクトリーの夏祭り2022』での「恋の呪縛」ソロパフォーマンスがファンの間で話題に。

つばきファクトリー
2015年結成。2017年『第59回日本レコード大賞』最優秀新人賞受賞。2月22日に10thシングル「間違いじゃない 泣いたりしない/スキップ・スキップ・スキップ/君と僕の絆 feat.KIKI」をリリース。インタビュー中で触れている「星が見えなくても盛り上がっている天体観測中継」は公式サブチャンネル『つばきファクトリーのhappyに過ごそうよ』にて。

※この記事は『クイック・ジャパン』vol.165に掲載のインタビューを転載したものです。

ひとつの物語にとらわれなくていい

──加入3カ月後に日本武道館、昨年はホールツアーを3回、2度目の武道館に立つなど激動の1年半だったと思います。お互いに、加入してから変化したと思う部分は?

八木 (福田)真琳ちゃんは、自分の意見をはっきり伝えてくれるようになりました。「ここは自分が引っ張っていくぞ」という強気な姿勢を感じることもあって、かっこいいです。

福田 ひゃあ、そんなふうに思ってくれているなんて! でも、(先輩メンバーの)浅倉(樹々)さんも卒業されますし、いつまでも新人じゃないと思うようになったからかもしれません。(八木)栞ちゃんはいい意味で、加入当初から揺らがない。とにかく努力家で尊敬しています。

──新人とは思えない堂々たるパフォーマンスの裏で、どんな練習をされているのか、すごく気になっていました。

福田 私はツアーがはじまる前に必ず、母と姉にパフォーマンスを見てもらうようにしています。ひとりで練習していると表現力が狭まってしまう気がして、同じ楽曲でもひとつの表現に留まりたくないのでいろいろ試したくて。ただ、アドバイスにとらわれすぎず、私のやりたい歌い方とか表情とか自分らしさも加えるようにしています。(2月22日に発売した)「間違いじゃない 泣いたりしない」は英語パートにすごく悩んで、何度も見てもらいました。

八木 私は去年の6月からダンスレッスンに通っています。ダンスが弱点かなと思って、ヒップホップやロックなどいろんなジャンルのダンスを習っています。おうちだと休みモードになってスイッチが入らないので、練習したいときはレッスンやカラオケに行ったり、自分でスタジオを借りて練習したりしています。

──そこで表情の作り込みも練習されるんですか?

八木 鏡の前で作り込むことはしないです。日常生活でも、表情を練習しないじゃないですか。なので、歌詞を読み込んで、そこから想像を膨らませて、自分の中で物語を作って歌う。歌っている中で気持ちの変化もあるので、そういうときはその気持ちで。真琳ちゃんと同じで、ひとつの物語にとらわれなくていいと私も思っています。今回だと「スキップ・スキップ・スキップ」はいい表情ができたかなと思います!

──おふたりの雰囲気が似ていて双子っぽいのは、考えが似通っている部分が多いからなんでしょうか?

福田 性格は結構違うんですけど、バレエや英語など触れてきたものや境遇が似ているからだと思います。先輩からも「雰囲気が似てる」ってよく言われますし、ファンの方もこのペアで応援してくださる方がいて。でも、全然違うよね?

八木 そうだね。真琳ちゃんはきちんと意志を伝えることができる人。私は目上の人を前にすると言葉に詰まってしまうんですけど、真琳ちゃんは凛としてますね。しっかりしてる。

福田 栞ちゃんは自分に厳しくて芯が強い。私は自分のことを全然わかっていないけれど、栞ちゃんは強みや弱みを把握して、コツコツ練習できる人だなって思います。

「今はアイドルに全力」つばきファクトリー福田真琳・八木栞が突き進む夢へのステップ
八木栞/『クイック・ジャパン』vol.165より

取り繕うことはせずありのままでいよう

──地元を離れオーディションを受けた理由は?

八木 私は幼いころから劇団四季が大好きで、いつか舞台で歌って踊りたいと思っていました。コロナ禍でハロプロにハマり、タイミングよくオーディションがあったんです。ただ、ミュージカルとアイドルは全然違って、ひとつの物語を2時間くらいかけて演じるものと、アイドルは4分ほどで物語が完結してすぐに切り替えなきゃいけないので、最初は苦労しました。

福田 バイオリンなどずっと音楽に触れてきたので、音楽の仕事への憧れがありました。ただ、芸能はまったくイメージしてなくて留学するつもりだったんです。でも、姉がオーディションの存在を教えてくれて「とりあえず一度受けてみよう」と。ハロプロなら活動の幅が広くて、かっこいいものから面白いものまで楽曲のテイストが多彩ですし、生歌を追求しているのもアーティストとして素敵だなと思っていました。

──生活が大きく変わってしまう怖さはなかったですか?

福田 すごくありました。実際に初めての経験ばかりであたふたして、仕事を終えて家に帰ると寂しくて。正直、毎晩泣きそうになるくらいでしたけど、今は楽しめるようになりました。オフの日は思いっきり寝て、音楽が好きなのでアイドル以外の曲もたくさん聴いて、別世界にとんでいます(笑)。

──八木さん、福田さんたち新メンバー4人はどんどん楽しく挑戦して、新しい風を吹かせていると感じます。12人という大所帯で、個性を出すために意識していることはありますか? 

八木 自分の意識というより、先輩やマネージャーさんが意見しやすい雰囲気を最初から作ってくださっているので、やりたいことを言いやすい環境なのは大きいと思います。

福田 ほんとにそうですね。私は加入当初からアイドルっぽくないと言われることが多くて、それがコンプレックスというか……かわいいアイドルになりたかったんです。でも、唯一無二だとファンの方が言ってくださって周りもそこをほめてくれて、個性を大事にしようと思えました。だから、取り繕うことはせずありのままでいようと思うようになりました。

──アイドル以外で憧れの方は?

福田 私は姉ですね。どんなときでも冷静で、地道に努力できるように私もなりたいので。

八木 普段は落ち着いているけれど真琳ちゃんが家族の前だとはしゃいでいて、それもかわいかった! 私は小学生のころから劇団四季の岡村美南さんが大好きで、その方の表現力に近づきたいです。

「今はアイドルに全力」つばきファクトリー福田真琳・八木栞が突き進む夢へのステップ
福田真琳/『クイック・ジャパン』vol.165より

今は夢に向かっている途中

──ステージ以外でも個性を発揮していますよね。無骨なビジュアルで話題の「八木メシ」や、星が見えなくても盛り上がっている天体観測中継など、楽しもうとする心意気を感じて(笑)。

八木 「八木メシ」は、ブログに具をなにも入れていないインスタントラーメンの画像を投稿したら、ファンの方がとても盛り上がってくれたのがきっかけで……。なんでもやってみた者勝ちだなと思いました(笑)。

福田 中継はすっごく楽しかったんです! しかも同期(一緒に中継した河西結心)といると地元の同級生と一緒にいるテンションになっちゃいますね。

──今後、おふたりがやってみたいことは?

福田 もっとBerryz工房さんの楽曲をカバーしたいです。その意思を受け継いでできたグループですし、楽曲が大好きなので、Berryz楽曲オンリーのライブとかやってみたいです。

八木 私は個人でもグループでもミュージカルをやりたいです。グループでやるなら面白い人が多いので、コメディとか合うんじゃないかなと思っています。あとはいつか、ファンのみなさんに八木メシを振る舞う屋台をやってみたいです。

──最後に、今「途中のこと」はありますか?

八木 ミュージカル女優という夢もあるので、今はアイドルに全力ですが、その夢に向かっている途中です。

福田 私は英語をもっと上達したくて、英検準一級に合格するという目標の途中です。生まれが上海で、インターナショナルスクールにも通わせてもらって、そういう経験を無駄にしたくないという思いが強いんだと思います。恵まれた環境にいたのにこのレベルでいいのかなって思うので、姉や栞ちゃんのようにコツコツ努力をして夢を叶えたいです。

「今はアイドルに全力」つばきファクトリー福田真琳・八木栞が突き進む夢へのステップ
(左から)福田真琳、八木栞/『クイック・ジャパン』vol.165より

<衣装協力>
八木 栞:ワンピース/Bilitis dix-sept ans(Bilitis 03-3403-0320)ボウタイシャツ/BELPER(03-6721-0566)パンツ/Wrangler(エドウイン・カスタマーサービス 0120-008-503)スニーカー/CAMPER(株式会社カンペールジャパン 03-5412-1844)イヤカフ、リング/Folk/N(UTS PR 03-6427-1030)
福田真琳:シャツ、トップス、ワンピース/BELPER(03-6721-0566)ブーツ/CAMPER(株式会社カンペールジャパン 03-5412-1844)イヤカフ、リング/Folk/N(UTS PR 03-6427-1030)

『クイック・ジャパン』vol.165

えなこがコスプレを辞めない理由とは──。『クイック・ジャパン』最新号は人気コスプレイヤーの生き様を読む60ページ大特集!
えなこ/『クイック・ジャパン』vol.165

2023年2月28日(火)より順次発売の『クイック・ジャパン』vol.165は、表紙登場のえなこをはじめとした人気コスプレイヤーが多数在籍するPPエンタープライズ所属のコスプレイヤーへ取材を実施。 華やかなイメージの一方、あまり語られることのない本人たちのストーリーを徹底的に掘り下げた、60ページの読むコスプレイヤー特集となった。

また、今泉力哉監督により実写映画化されたマンガ『ちひろさん』(安田弘之作)の小特集も掲載。そのほか、2021年に『万事快調 オール・グリーンズ』で第28回松本清張賞を受賞した小説家・波木銅による新連載「ニュー・サバービア」がスタート。いつも以上に読む企画がそろった。

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羽佐田瑶子

(はさだ・ようこ)1987年生まれ、執筆・編集。女性アイドルや映画などガールズカルチャーを中心に、インタビュー、コラムを執筆。主な媒体は『クイック・ジャパン』『She is』『BRUTUS』『TV Bros.』『CINRA』など。岡崎京子と女性アイドルなど、ロマンティックで力強いカルチャーや人が好き..

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