デビューから28年「10年で結果を出そうと思ったことはない」
“ひとりで生きること”が良いとか悪いとか、二元的な話ではない。ただ、自分を支えてくれるために、そう生きると“決めた”──その言葉だけを聞くと、どこか人生を達観しているような印象を受ける。
しかし、彼の経歴に目を向けてみると、長髪に白いヘア・ターバンを装着してネタを披露していた時期もあれば、バラエティ番組でリアクション芸を求められていた時期があり、それらを経て現在は番組MCやコメンテーターを務めている。さらには、ミュージシャンや文筆家としての顔も持っている。

1994年のデビューから28年、ひとつのジャンルだけで活動してきたわけではないのだ。そのような経歴から20代、30代のころは、自分のあるべき姿と社会的役割の間で葛藤することもあったのではないかと想像する。
そんな疑問をぶつけると、「それはありましたね」とゆっくりと語り出した。
「20歳でこの世界入って、最初の10年間はとにかく無我夢中で考えるヒマがなかったし、考える前に体動かしたほうがよっぽど健全だったんです。だから、30代前半くらいまでは“おそらくこういうものを求められている”ということを感じながら立ち回っていました。
でも、そこに本来の自分とのギャップを感じることはありましたね。だからといって、求められていることをする以外にできることはなかったですし、反省して改善を試みたところで、すぐに気持ちよく仕事できるようにはならなかった。今思えば、苦悶していた時間だったなと思います」
苦悶していたというものの、その間、焦りはなかったのだそう。
「この世界に入ったときから、60歳、70歳までつづける気持ちでいたので、10年で結果を出そうと思ったことはないんです。というのも、子供のころ、かけっこが速かったんですが、そういうフィジカル的な特技って必ず衰えが来るじゃないですか。だけど、ピアニストやお笑いのように表現する仕事は、月日が経つことが趣になり、味方になるというのを信じていたんですよね。
それに活躍されている先輩方が力まず振る舞っている姿を見て、常にものすごい力が入っていた20代のころの僕は、この力を抜くことができたら、きっと残れるんだろうなと思っていました。だから、時が経てば解決してくれると期待していたんです」
「そんな当時の自分に会えるとしたら、どんな言葉をかけたいですか?」そう聞くと、ふかわは「心配しないで大丈夫だよ。おそらく君が思ってる感じに、そっちの方向に行くから」と優しく言った。

そして、彼は乖離のある時間は大事だったと振り返り、やりたいことをつづけるための処世術を次のように話してくれた。
「もしも、当時の僕と同じように悶々としている人がいるとしたら、そういう時間はあってもいいと伝えたいですね。この世界に入って28年が経ちますけど、本当にこの仕事が自分に合っているかどうかでいうと、未だに『合っている』と自信満々には言えません。ただ、合っていないかもと思えるくらいがちょうどいい気もするんです。
もちろん、向いていると言えることが大切なジャンルもあるとは思います。でも僕の場合は、向いていると信じていたことがダメだったときのほうが、よっぽど帰ってこられなくなっちゃう気がしていて。疑念がほどほどにあるほうが、むしろつづくような気がするんです」

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書籍『ひとりで生きると決めたんだ』
著者:ふかわりょう
発売日:2022年11月17日
価格:1,540円(税込)
ページ数:222ページ
発行:新潮社
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