タカアンドトシが芸人人生で諦めたことと貫き通す信念「昨日の自分たちよりウケたい」

2022.7.31
タカアンドトシ

文=浜瀬将樹 撮影=興梠真穂 編集=梅山織愛


『M-1グランプリ2004』4位、『爆笑オンエアバトル』第7・8代チャンピオンと“ネタ”でその名を轟かせたタカアンドトシ。その後の「欧米か!」ブームも相まってテレビで活躍し、レギュラー番組を多く抱える売れっ子になった。一方で、その間にも劇場には立ちつづけていて、漫才を大事にしてきた印象もある。ここで改めて、問いたい。

タカアンドトシは漫才師かテレビタレントか──。​​

タカ 1976年4月3日生まれ、北海道出身。ボケ担当
トシ 1976年7月17日生まれ、北海道出身。ツッコミ担当

近づくほどにすごさを体感した仙人たち

タカアンドトシ

──1994年にコンビを結成したおふたり。デビュー当時、理想としていた芸人活動と、現在の活動にギャップはありますか?

タカ とんねるずさん、ダウンタウンさんに憧れてこの世界に入ってきましたけど、全然そんなふうになっていないなって思います。先輩方もまだバリバリにいらっしゃるじゃないですか。

たとえば、ダウンタウンさんってずっと第一線でしたけど、今、一番勢いがあるんじゃないかって思います。昔の何も知らなかったときは、軽はずみに「あんなふうになりたい!」と言っていましたけど、30年近くやってきて、近づけば近づくほど、遠くになって……すごさがわかります。

──トシさんは、松本(人志)さんと『史上空前!! 笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ2007』(TBS)で漫才もされました。

トシ 本当に達人とやっている感じなんですよ。圧倒されるわけではなくて、こちらがいくらやれど、届かないというか。そういう領域にいらっしゃるんだなって思いましたね。共演したときも僕らがやりやすいようにしてくれて、めちゃくちゃ優しい。それでいて、テレビでは圧倒的な存在ですから。

タカ 仙人だよね。『HUNTER×HUNTER』でいうネテロ会長ですよ。

トシ ごめんなさい。私、読んでないんですよ……。『キン肉マン』でたとえてもらっていいですか? 

──(笑)。

タカ 『キン肉マン』であんな仙人キャラいましたっけ? 委員長ですかね? 違うか。ダメだ。

トシ ダメじゃねーか。委員長は大王と泥仕合やって終わりだよ。バカヤロー。

タカ 「昔とったきねづかコンビ」ね。

夢を見せてくれた中川家とやすとも

タカアンドトシ

──(笑)。芸歴30年近くになってきて仕事との向き合い方に変化はありましたか?

トシ どちらかというと、僕は変化しないようにしてきたところがありますかね。特にこいつが動く男なので、僕がジタバタしても仕方ない。動じないように努めてきました。

タカ テレビにいっぱい出させてもらうようになったあと、レギュラーをいただいて、仕事が落ち着いたときに家族ができたんですよ(2012年に結婚)。前だったら“もっと仕事が欲しい!”と思っていたんですけど、仕事が入ってこないとストレスが溜まるから、そう考えるのをやめました。家族もいて、自分の好きな仕事ができているんだから、幸せだと思おうって。諦めの境地ですよ。

トシ 悟り開いちゃった。もう菩薩ですね。

タカ あと、子供ができるまで、挨拶や会話はいらないと思っていたんですけど、子供ができてから変わりましたね。昔はタクシー運転手さんとか無視していたんですけど。

トシ 最低だな!

タカ (笑)。移動中は寝ておきたいので、話しかけられても無視していて。でも、子供ができてからは、なんだったら運転手さんに「楽しかったな」と思ってもらえたらいいなと思うようになりました。子供に「ちゃんと挨拶しよう」と言っているくせに、自分ができてないとダメですし。

──では、変わらないところはありますか?

タカ 劇場だろうが、テレビだろうが、目の前の仕事を全力でやるというのは昔からですね。劇場で昨日の自分たちよりウケていなかったらヘコんじゃうし、昨日のウケを超えようとがんばっています。

──生き物のように日々変わる劇場の空気に触れることが、ふたりの芸人としてのエネルギーになるんですかね?

トシ そうですね。コロナ禍なんて、NGK(なんばグランド花月)に20人くらいしかお客さんがいない状態だったんですけど、それでも来てくださった方を全員笑わせたいので、1000人入っているときと変わらないくらい声を張ってやっていました。そしたら、メッセンジャーの黒田(有)さんに「また今日も本気でやんの?」ってイジられるようになって。「やかましいわ!」って言ってやりますけど(笑)。そこは何人だろうが“目の前のお客さんを笑わせたい”という気持ちはデビュー当時から変わらない。それが原点ですよね。

──テレビでレギュラー番組を持ちながらも、定期的に劇場にも立たれています。そのあたりの思いを聞かせてください。

タカ 昔はタレントっぽくなりかけた時期があったんですけど、今は初心に帰って「漫才で出てきたんだから、もう一回漫才をがんばる」という時期なのかもしれないですね。アッコ(和田アキ子)さんが「あなたは何をされている方なの?」って(Mr.シャチホコ​​に)マネされていますけど、確かにそこは大事なのかなと思います。常に「漫才師としてテレビに出ています」というものを持っておかないと、タレント化してしまうというか。

トシ 僕らはもともとみなさんにネタを評価してもらったコンビなんで、肩書は“漫才師”ですよね。

──漫才にもう一度向き合うきっかけは?

タカ 中川家さんと海原やすよともこさんがNGKの看板になりましたけど、あれって吉本の中でもすごいことで。(看板の)師匠方の下に控えていた次の看板となるような師匠たちを抜いて抜擢されたから「そんな改革するんだ!」と驚きましたね。ふた組とは芸歴も近いですし「夢があるな」と思ったんですよ。意識するきっかけになりました。

タカアンドトシ

目標は120歳まで現役

タカアンドトシ

──46歳になったおふたりですが、今後はどんな芸人人生を思い描いていますか?

タカ 今までどおり目の前の仕事を全力でやる。あとはネタですね。劇場のお客さんにおもしろい漫才を届けたいです。前よりも新ネタを作るようになったので、コツコツやっていくのが一番いいかなと思っています。

──ふたりにとっても漫才は大きなものですよね。

トシ そこは吉本興業に所属している強みというか。うまみというか。劇場がたくさんある事務所なので、漫才を鍛錬させていただきたいと思っています。

──おふたりは北海道でも番組を持たれています。地元への思いも常にあるのでは?

タカ ゆくゆくは北海道に戻って……というのが夢なので、こっちでがんばれるだけがんばって、90歳くらいで地元に帰りたいですね。

トシ 90歳!? けっこうやるな! 

タカ そのあと北海道で30年くらいやりたいですね。それが一番の夢です。

トシ 120歳! そんなに生きないと思うけどね~(笑)。でも、北海道にいるときが、精神的にも落ち着くので、仕事をもらえる限りは北海道でもずっとやっていきたいですね。

──北海道といえば、同郷の錦鯉・長谷川(雅紀)さんも全国で活躍されていますね。

タカ デビューしたときから一緒にライブをしていて、ほぼ同期の仲間だしうれしいですよ。

トシ つい4、5年前まで汚い格好をして、ウロチョロしていたあいつが、テレビに出て、CMやっているなんてすごい時代ですよね。ウチの奥さんも若いときから知っていたので「不思議だね」なんて話をしていますよ(笑)。

タカアンドトシ

──タカトシさんといえば今夏開催される『LIVE STAND 22-23』のライブスタンジャー(同フェスを盛り上げる芸人)として活動されています。

タカ (同時期に)『SUMMER SONIC 2022』やっているから、そっちにゲストとして出るほうがいいかも。

トシ やめとけ、おい! 向こうは完売らしいけどさ! それに負けないようなお笑いのパワーを見せて、熱い夏にしたいですけどね。会場のあちこちでいろんな催しをやっているので、お祭り感を味わっていただきたいです。

タカ 1日はサマソニ、1日はライブスタンドに行って比べてみてください!

トシ 比べるものじゃないけどね。

『LIVE STAND 22-23』

『LIVE STAND 22-23』

【東京公演】
開催日時:2022年8月19日(金)~21日(日)幕張メッセ 国際展示場9~11ホール
チケット販売情報

【大阪公演】
開催日時:2022年9月17日(土)~18日(日)大阪城ホール、COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、TTホール、SSホール
チケット販売情報

【福岡公演】
開催日程:2023年1月14日(土)~15日(日)マリンメッセ福岡A館

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    2022年7月31日(日)〜2022年8月14日(日)
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    ※「いいね」はご応募の対象になりませんのでご注意ください。
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    当選の発表は、こちらのDMをもって代えさせていただきます。
    ※当落についてのお問い合わせは受けかねますので、ご了承ください。
    ※本景品は非売品です。譲渡・転売はご遠慮ください。
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