「リカちゃん」発売55年後の再ブーム!大人の女性が“リカ活”にハマる理由

2022.4.16

文=於ありさ 編集=高橋千里


多くの人が一度は手にしたことのある、日本生まれのファッションドール「リカちゃん人形」。1967年にタカラトミーから発売されて以来、多くの人の心を掴んできたリカちゃんが、近年再ブームとなっているのはご存じだろうか。

インスタグラムやツイッターで「#リカ活」のハッシュタグを検索すると、まるでファッション誌のモデルのようにおしゃれな洋服を着こなしたリカちゃん人形の写真が、12万件以上も並んでいる。その投稿者の多くが、20〜40代の大人女性だ。

今回は、自身でリカちゃんの服を制作し、その写真をSNSにアップするなど“大人のリカ活”を楽しんでいるryokoさん(@ryoko_licca)を取材。大人を惹きつけるリカちゃんの魅力を伺った。


コロナ禍での妊娠、切迫早産……。つらい日々から救ってくれた“リカ活”

──大人女子を中心にブームとなっている“リカ活”。具体的にはどのような活動を指すのでしょうか?

ryoko 楽しみ方はかなり多様な印象です。私と同じようにリカちゃんのお洋服を作ったり、コーディネートしたりすることを楽しんでいる方もいれば、リカちゃん人形を何体も買ってコレクションする方、一緒にお出かけに連れて行く方、リカちゃんが暮らすドールハウスやインテリアにこだわりを持つ方、人形劇のように写真や動画でリカちゃんの物語を表現する方など、いろんな方がいます。

──ryokoさんはどのような活動をしているのでしょうか?

ryoko 私の場合は、リカちゃん人形の服を作るのと、SNSへの写真投稿を中心に活動しています。投稿しているお洋服は自分で作っているもの以外に、同じくリカちゃん人形のお洋服や小物を作っているリカ活仲間から購入したものもあります。

ほかには、これからリカ活を始めたい人、リカ活初心者の方に向けたブログやYouTubeでの発信活動もしています。

──ryokoさんがリカ活を始めたのは、なぜなのでしょうか?

ryoko 最初のきっかけは、インスタグラムでリカ活をされている方の投稿を見たことです。時期としては2019年12月。ちょうど中国武漢での新型コロナウイルス発生のニュースが流れてきたころで、日本でコロナが感染拡大する前ですね。

インスタグラムで、おしゃれなお洋服を着たリカちゃんに心を奪われたんです。ただ、そのときは見ているだけで満足してしまい、自分もリカ活を始めようとは思いませんでした。

実際に活動を始めたのは、2020年2月ごろですね。第一子は2歳になり、第二子も妊娠中で出産間近のときでした。

当時は、妊娠しながら、2歳の子の育児と仕事を両立するという大変な時期。そんななか、切迫早産で入院することになったり、コロナ禍での出産に不安が積み重なったりと、つらいことがつづきました。

そのタイミングで「自分を癒やせるような趣味が欲しいな」と思うようになり、リカ活のことを思い出したんです。

座布団がジャケットに!リカちゃんのおしゃれ着は「100均アイテム」で制作

──さまざまなリカ活の中から、お洋服を作る活動をしているのはなぜなのでしょう?

ryoko 小学生のとき、夏休みの宿題の自由工作でリカちゃんの服を作ったことがあるくらい、裁縫が好きだったんです。でも、当時は同級生の男の子から「もうこんなに大きくなってまで人形遊びしてるなんて」とからかわれたのをきっかけに離れてしまったんですね。

そのことを振り返り「大人になった今なら、もっといいお洋服が作れるんじゃないか」と思い立ちました。それと同時にSNSのアカウントを整えて、自分の作品を発表することにしたんです。

ブラウン系アイテムをまとめたツイッター投稿には、約3.3万件のいいねがついた

──ryokoさんの作るリカちゃんのお洋服は、フリフリのドレスやアイドルの衣装のようなものではなく、同世代の友人が着ていてもおしゃれだなと感じるお洋服が多いですよね。どのようにインスピレーションを受けているのでしょう?

ryoko 大人の女性が着ている普段着、“リアルクローズ”をコンセプトにしています。アイデアはインスタグラムやファッション雑誌、あとはウィンドウショッピングをする中で、流行っているものを見つけて取り入れることが多いですね。自分の持っている服とのリンクコーデを楽しむこともあります。

ファッションアイテムと髪型を合わせて、リカちゃんとリンクコーデ

──これまでにたくさんの投稿をされていらっしゃいますが、ひとつの衣装を制作するのにどれくらいの時間とお金がかかっているのでしょうか?

ryoko まず費用面に関しては、人形用のトップスは15cm角くらいのちっちゃい端切れで作っている上に、布は100円ショップで買うことも多いので、そんなにお金をかけずにすんでいます。

実はこのボアジャケットは、意外なアイテムから作られていた

たとえばこのリカちゃんが着ているボアジャケットは座布団から、ミリタリージャケットはミニバッグから作っています。どちらも100円ショップで購入しました。

100均の座布団の生地からボアジャケットを制作
100均のミニバッグの生地からミリタリージャケットを制作

写真やコーディネートのクオリティを上げるために、小物にこだわることも多く、自分で作れないアイテムはほかのリカ活仲間から購入するようにしているので、そちらのほうがお金はかかっています。

時間に関しては、簡単なものだと10分程度。トレンチコートや着物のような複雑なものだと、5時間程度かかっています。

約5時間かけて作られたトレンチコート

──ryokoさんの本業はグラフィックデザイナーとのことですが、もともとお洋服のデザインなども勉強されていたのでしょうか?

ryoko いえ、お洋服は人並み程度に好きという感じでしたし、手芸に関しては趣味の範囲内でつづけてきたことでした。ここまでお洋服に興味を持つようになったのは、リカ活を始めてからですね。

ただ、オリジナルのスカーフも作っているのですが、それに関してはグラフィックデザイナーの経験を活かして好きなように作っています。


大人女性の間で“リカ活”がブームになっている理由

──今、大人の女性の間でリカ活がブームになっているのはなぜだと思いますか?

ryoko まず、コロナ禍の影響は大きいと考えています。自由にお出かけや旅行ができなくなり、おしゃれする機会が減ってしまった大人の女性の“おしゃれ欲”を満たしてくれているんじゃないかなって。その上、自宅にいながら、そこまでお金をかけずに完結できるというのも高ポイントでしょうね。

──実際にリカ活をしている方は増えているのでしょうか?

ryoko 私自身がリカ活アカウントを作ったのは2020年なのですが、コロナ禍を境に、日に日に増えている気がしています。特に「現実を生きるリカちゃん」さんが話題になった去年の夏ごろからリカちゃんが再ブレイクし、リカ活をしている方も急増している感じがします。

“OLの日常あるある”をリアルに再現した「現実を生きるリカちゃん」YouTube動画

──リカ活をされている方には、どんな方が多いのでしょうか?

ryoko 私がSNS上で知り合った方は、自分と同じような境遇の、同世代で子育て中のママさんが多いなという印象です。ただ、成人した娘さんと一緒にリカ活されている方や、学生さんでお洋服を作って販売されている方、小学生くらいの方もいらっしゃって、かなり年齢層は広いイメージです。

一方、インスタグラムのインサイトを見ると、アカウントを見てくれている方の内訳は女性が96%を占めており、女性からの関心が高いんだなと感じています。

──SNS上ではなく、ryokoさんのまわりで同じくリカ活にハマっていらっしゃる方はいますか?

ryoko 残念ながらいないんです。私のアカウントを知っている友人や職場の人も多いので、もっと広まればいいのになと個人的には思っています。

さらに、私のリカ活と共にリカちゃんデビューを果たした娘はもうすぐ5歳になるのですが、今は別の趣味に夢中のようです。私のほうがのめり込んでいて「なんだかな」と複雑な気持ちです(笑)。

──そうなんですね。ryokoさんから見て、どんな人ならリカ活にハマれると思いますか?

ryoko 個人的には誰しもハマれる可能性はあると思っています。中でも、幼少期にリカちゃんに触れてきた方なら特にハマるはず。

お洋服を自分で作れないという方でも、今は公式の大人向けリカちゃん人形シリーズ「LiccA」(タカラトミー)からおしゃれなコーディネートセットも発売されていますし、素敵な作品を販売している作家さんも多いので、安心してほしいです。

また、SNSなどで発信せず、ただ好きなお洋服をリカちゃんに着せて飾るだけでも幸せになれるので、そういう楽しみ方もありなんじゃないかなと思います。

ひとりじゃないと思わせてくれる「リカちゃん」の存在

──幼少期からリカちゃんがお好きだったとのことですが、大人になってから気づいたリカちゃんの魅力があれば教えてください。

ryoko 幼少期はお姉さんに憧れていたのもあって、ジェニーちゃん人形のほうが好きだったんです。ただ、大人になった今見ると、小学5年生のリカちゃんって、きれいさの中に愛嬌があって、すごくかわいいんですよね。人形で遊ぶお子さんが緊張しないように、あえて正面を向いていない表情も魅力的でかわいらしいなと感じます。

──「リカ活を始めてよかった」と思うことはありますか?

ryoko リカ活を始める前は、家庭と仕事だけの生活でとても視野が狭く、コロナ禍の影響もあってストレスを抱えちゃっていました。でも、リカ活を通して多くの方とSNS上でやりとりをするようになり、世界が広がったなと日々感じています。

それから、リカ活をするきっかけになった素晴らしい写真を撮られる方が、私の作品を着せて投稿してくださったときは「自分の作品はひとりよがりじゃないんだな」と涙が出そうになるくらいうれしかったです。

そういうことを積み重ねて、自信がついたり、ひとりで楽しんでるだけじゃないんだなって思えたりするようになったのもいいことだなと感じています。

──ポジティブな変化が多いんですね。

ryoko そうですね。メンタルだけでなく、時間の使い方も上手になりました。最低限の家事をしつつ、自分の時間を捻出することを意識するようになったので、以前よりも生活がうまく回っている気はしています。ぜひ何か趣味が欲しい方には“リカ活”に注目していただきたいですね。

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於 ありさ

(おき・ありさ)ライター・インタビュアー。金融機関、編プロでの勤務を経て2018年よりフリーランスに。サンリオ・男性アイドル・テレビ・ラジオ・お笑い・サッカーが好き。マイメロディや推しに囲まれて暮らしている。