空気階段、Creepy Nuts、星野源──2021年印象に残ったラジオを奥森皐月と振り返る

2022.4.7


『チョコナナ』と『タダバカ』、それぞれのライフイベント

──ラジオ番組がパーソナリティのライフイベントと共に歩むケースはほかにもありますが、『空気階段の踊り場』ほど感情が乗っている番組は珍しいかもしれませんね。ちなみに、賞レース関係以外で印象的だった番組・放送回はありますか?

奥森皐月

奥森 やっぱり『チョコレートナナナナイト!』(SBSラジオ)じゃないですかね(笑)。だって、ちょっとしたラジオ史に残る出来事じゃないですか? 『チョコナナ』に関してはね……おもしろかったし、いいことだと思うんですけど、答え合わせみたいなところありますよね。ご結婚される話を聴いたときは、「そうだろうな」と思いましたもん。

──まあ……そうですよね。

奥森 正直、リスナーみんな気づいてたでしょ、勘づいてたでしょ、とは思います。酒井(健太)さんのインスタで、火曜日になると矢端(名結)さんと一緒に『チョコナナ』の告知をされてたんですけど、いつも「ち、近いな……距離、近くないか……?」と思って見てたので。

リスナーとしては、ヒューヒュー!付き合ってるんかーい!結婚するんかーい!おめでとー!みたいな気持ちです。この気持ちは、ずっと聴いてきたリスナーの特権だと思います。普通はニュースを見て「アルピー酒井、女子アナと結婚するんだ」で終わりかもしれないけど、リスナーはまったく別の楽しみ方してますからね。

──ライフイベント系は『チョコナナ』くらいですかね?

奥森 あとは、『さらば青春の光がTaダ、Baカ、Saワギ』(TBSラジオ)の「さよならブクロ荘」回ですかね? 『タダバカ』って、基本的に動機が不純じゃないですか。『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で「さよならむつみ荘」回が大きな話題になったから、こっちもやってやろうぜ的な。でもそれって、すごく正直でいいですよね。

私がなんでさらばさんを好きかって、大きな声で「これ悪ノリですよ!」って言ってる感じがあるからなんです。こちらも共犯者のような気持ちで聴いているというか。だから『タダバカ』を聴いていると、ちょっと悪いことしてる気持ちになるんですよね(笑)。とことんふざけてやるぞっていう森田(哲矢)さんの気概と、東ブクロさんが嫌がりつつまったく拒否しないところ、そういうのがさらばさんのよさですよね。

──さらばさんの悪ふざけって、ワクワクしますよね。次はどんなことをしでかすんだろうみたいな。

奥森皐月

奥森 それってやっぱり、見せ方のうまさなんだろうなと。「そんなことやって大丈夫?」と思う不安な気持ちすら楽しめる。まるでプロレスを観ているみたいだなって。森田さんを信頼しているから、ずっとついていこうという気持ちになる。さらばさんを好きになると、一生離れられなくないですか? がっちり組んで応援している感覚があります。強度が違う。

──2021年といえば『うしろシティ 星のギガボディ』最終回もありましたね。

奥森 やっぱり私は「24時台三兄弟(※)」という括りがすごく好きで。

※TBSラジオで24時台の番組『アルコ&ピース D.C.GARAGE』『うしろシティ 星のギガボディ』『ハライチのターン!』を担当する(していた)パーソナリティの通称。

QJWebの記事でも思いの丈を書きましたけど、『ギガボディ』の歴史が薄まっていってほしくないと思ったんです。番組の存在を語り継いでいきたい。クラウドファンディングで数百万円集めて、海外行って編み物して、それが海外のニュースにも取り上げられて……。日本ならまだしも、海外のニュースで取り上げられた事例なんて聞いたことなかったので! 本当に、歴史に残るべき番組だと思っています。

だからこそ、やっぱりもう一度、最終回をやってほしいなとは思いますね(うしろシティ金子学が体調不良で不在のまま最終回を迎えた)。その悔しい気持ちも含めて印象に残っているのかもしれません。でも、何年後でも待っているので、いつかふたりで最終回を迎えてほしいです。

Creepy Nutsの異質さ


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鈴木 梢

(すずき・こずえ)1989年、千葉県市川市生まれ。出版社や編集プロダクション勤務を経て2019年からフリーランスに。主に日本のエンタメ/カルチャー分野の企画・執筆・編集を行う。もちもちしたものが好き。

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