俳優・瀬戸康史「辞めたい時期もあった」15年間の葛藤と、新たに見つけた“自分らしい働き方”
2005年に芸能界入りを果たして以降、舞台や映像作品などで活躍する俳優の瀬戸康史。
今年2月25日に公開される今泉力哉監督と城定秀夫監督がコラボしたプログラムピクチャー「L/R15」の1作『愛なのに』主演のほか、年々役柄の幅を広げている印象を受ける。
しかし、俳優としてのキャリアを順調に積み重ねてきた裏には、パブリックイメージと現実の葛藤や、辞めたくても辞められない理由があったという。
同主演作の話と共に、今の瀬戸康史が語る働くことに悩む人へのメッセージをお届けしよう。
目次
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「すごく曖昧で、はっきりしない」今だから、観てほしい作品
──映画『愛なのに』への出演が決まったときの気持ちを教えてください。
瀬戸康史(以下、瀬戸) 今泉(力哉)さんと城定(秀夫)さんとご一緒できるのは、お声をかけていただかない限り実現しなかったことなので、とってもうれしかったです。
──脚本を読まれたとき、ご自身の役柄や作品に対してどのようなイメージを持ちましたか?
瀬戸 すごく曖昧で、はっきりしない作品だなと思いました。それは悪い意味じゃなくて、今の時代を表しているなと感じました。ただ、大衆的な作品ではないですよね。
──大衆的ではない?
瀬戸 今って、TikTokなどのSNSのような派手でわかりやすいものが好まれている気がするんです。だから、今回の作品は観る人を選ぶなと思いました。だからこそ、今観てほしい作品だなとも思いました。
多田が「嫌われたくない」と振る舞う姿に共感
──古本屋の店主・多田浩司という役の印象を教えてください。
瀬戸 はっきりとわかりやすい役を演じるだけでは、やはり物足りないですし、おもしろくない感じはするので、こういう役は非常にやりがいを感じます。
──演じる上で意識したことはありますか?
瀬戸 今泉さんとか城定さんが撮る映画のトーンって、ドラマとも商業的な映画とも全然違って、独特の空気感があります。だから、それに自分が染まりたいと思って、わざとらしくリアクションしたり、声を大きくしたりするのではなく、その場で感じたままにというところを大切にしました。
──多田に共感した点はありましたか?
瀬戸 僕だったらこうしないだろうなと思う部分はたくさんあったのですが、変に気を遣っちゃうところは似ているかなと思いました。
憧れの女性・一花(さとうほなみ)が家に来たときも、早く追い返せばいいのにって思いますけど、変に嫌われたくないのかな。人と関わる上でできるだけ、いろんな人に嫌われないようにしようと振る舞った結果、「嫌だ」と言えなくて、ズルズルいっちゃってるのかなって。彼のこういう性格は観ている人も共感するんじゃないかなと思います。
──多田以外に共感できるキャラクターはいましたか?
瀬戸 誰も共感できなかったですね(笑)。みんなおかしいですもん。たぶん友人にもならないから「おかしいよ、君」と言う関係性にもならない気がします。
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