夜の街で共に過ごしたすゑひろがりずの存在
───大宮セブンライブでは安部さんが中心になったり、大波さんがこっそり仕掛ける側に回ったりという印象がありますが、ご自身ではセブン内での立ち位置をどう捉えていますか?
大波 大宮セブンって、誰もポジションを考えて動いてないんですよ。ほんまにそのとき思いついたことを誰かがやって、何かが起きて、また誰かがそれに反応する。普通なら「この人は裏まわし」「この人はボケ」とか決まっているけど、それが何もない。だから、お客さん30人の前であろうと、全国ツアーするような規模になろうと変わらないのかもしれません。
安部 福井(俊太郎、GAG)さん起点でむちゃくちゃし出すというのは、お決まりではありますけどね。
大波 でもそうじゃないときもある。絶対こうというのがなくて、何も決まっていないのが大宮セブン。だからほんまに何も起こらんときもあるけど、それはそれでお客さんに楽しんでもらってるのかなと思います。
───おふたりは大宮の方々と夜な夜な交流を深める「夜の部」にも参加されていたとか。
安部 夜の街はすゑひろがりずと過ごした思い出が一番大きいですね。フィリピンパブも一緒によう行きましたし。
大波 今コロナで行けてないだけで、村氏(マヂカルラブリー村上)もすゑひろがりずも呼んだらまた来ると思う。どんなに売れようが大宮の人たちとフィリピンパブで飲む、そのへんが大宮セブンらしさやと思います。
安部 喜んで来るでしょうね。みんな義理堅いというか、恩をもらった人にはちゃんと返したいという人が大宮セブンには多いんで。
大波 セブンメンバーって、いろんな媒体で僕らの名前をすごい出してくれるんですよ。自分で言うのもなんですけど、僕らにそんな価値ないじゃないですか。「ダウンタウンさんと仲いいんです」とか「有名な俳優さんと交流があって」とかのほうが絶対食いつかれるのに、みんな僕らの名前を平気で言う。売れた人とか社員さんから相手にされないと感じることってありますけど、マヂカルさんもすゑひろがりずも同じ経験があるからか、売れても優しいんです。大宮セブンは全員痛みを知っているから、痛みをもつ人間の気持ちがわかる。
安部 売れた人って一緒に話す話題がなくなるんですよ。ステージが全然変わっちゃうから、たまに会ったとしても「最近どう?」で終わる。でも大宮セブンはいまだに一緒のライブがあるから、変わらず話ができる。
───安部さんはライブで「売れて唯一悔しいと思わなかったのがすゑひろがりず」ともおっしゃっていましたね。
大波 特にすゑひろがりずに関しては僕ら扶養に入ってるんで。同じ家の人間を恨んだりしないですよね。お父さんの給料上がったら子供はうれしいじゃないですか。
───扶養家族(笑)。
大波 勝手に養子に入れてもらってますから。
安部 僕らは夜の街でともに「百年の孤独」を飲んで育ったふた組なので。あとすゑひろがりずって僕らと同様、ほんまに全然華がある感じじゃなかった。そんな、自分たちと似たタイプの芸人があんなに売れてるの見たら、自分らもいける気がするし、勇気がわくんですよ。
野田クリスタルが教えてくれた、賞レースの秘訣
───囲碁将棋のおふたりは『M-1』で結果を残されませんでしたが、いま大きな注目を集めています。その存在は今後のタモンズの指針になるのでは? と思うのですが。
大波 囲碁将棋さんには敵わないです。
安部 うん。ふたりはずっとぼくらのお兄ちゃんです。
大波 これまでずっと、囲碁将棋さんのおもしろさに評価が全然見合ってないと思ってたんで、ようやく少し世間がわかってきたのかなという感じですね。まだまだ全然足りないですけど……。ああなれたらとは思いますけど、なれへんのやろなとも思います。とにかくめっちゃくちゃおもしろい。漫才師として破格のスケールですよ。
安部 僕ら関西出身で、大阪の漫才観て育ってきたのに東京でデビューしたんです。若いころはトガッてたので「関西から東京出てきたらすぐ目立てるんちゃうか」と思ってたんですよね。それが囲碁将棋さん観て「うわ、すご! 東京の人おもしろ!」と思いましたもん。
大波 1、2年目のころに腰抜かされたあの感覚が15年経っても抜けないです。囲碁将棋さんにはずっと尊敬と憧れを持ってますね。
───せっかくなので他の大宮セブンメンバーについても伺えますか? GAGさんは。
大波 おもしろ過ぎる。ネタのおもしろさはもちろん皆さん知ってると思いますけど。
安部 あんなバランスのいいトリオおるんかというくらい完成されてる。福井さんは人をよく観てるし、自分でドリブルもしてゴールも決めれる人。そこに坂本(純一)さんというすごい速さで切り込んでくれる人がおって、最終的にひろゆきさんが全部それを後ろでフォローできる。
大波 3人ともやさしくてハートフルなところもありますよね。年齢もあるのか、嫌なこと言ってウケるみたいなところがない。
───マヂカルラブリーさんは?
大波 僕らは迎合しにいってしまいましたけど、マヂカルさんはかっこいいですよね。結局自分がおもしろいと思うことでチャンピオンまで行った。1年目のネタもいまだに全然観れる人らなんですよ。ほんま、服しか変わってない。
安部 そう、変わったのは服と筋肉だけ。昔からやってることずっと一緒。
大波 野田(クリスタル)さんとは普段そんなマジメな話をしないんですけど、一度「賞レースに勝つ秘訣はキレること」と言ってくれて。
安部 野田さんって今まで受けてきた仕打ちを怒りに変えて、それをパワーにしてる人で。「賞レースで決勝に行きたいんだったら怒れ」と教えてもらいました。
───ジェラードンさんについても。
安部 かわいいやつらですねえ。あいつらはずっとすごくおもしろかったけど、最初のころは芸人評価が低かった印象があって。置かれてる環境とかでなんかうまいこと芸人にハマらず、それを悔しがってた。でもやり抜いて今がある。
大波 あいつらの代ってすごくて。同期に同じトリオではジャングルポケットがいて、渡辺直美というとんでもないバケモンがおって。かつてはジャンポケも出ている『トリオさん』(テレビ朝日)という番組もあった。同世代にトリオだけで番組やられたらめちゃくちゃキツいと思うんですよ。それでも腐らずやって今ブレイクした。あいつらも貫き通した感じがしますね。
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