ナダルを「ちゃんとおもしろい」と思ってくれる人が増えた

──昨年からYouTubeにも力を入れてますよね。テレビより素を出せる場所ができたことで感じる変化はありますか？

西野　一番の変化は、ナダルのことを“ちゃんとおもしろい”って思ってくれる人が増えたことですね。「ナダルはどうせこういうやつ」って見られ方が固まってる感じがあったんですけど、YouTubeを経てライブに来てくれる人はほんまに僕らのことを好きな人らで。僕のどんくさいところにも笑うし、ナダルがまじめなところも受け入れてて……濃いファンになった気がしますね。

──確かに、テレビとYouTubeでは全然印象が違いました。

ナダル　プライベートは、余裕で上なんでね。圧倒的に僕よりもヤバい。

西野　え、僕が!?　いやいや、そんなことはない（笑）。……（素のヤバさが）溢れ出てもうたって感じです。見せる気はなかったけど。

ナダル　素を出したら、やっぱそうなるやろなと思います。僕も“お笑い”として（ヤバいやつを）やってる部分もあるんで、ずっとその状態でいるのは無理です。テレビでは過剰演出してる部分も絶対あるんで。

西野　追い込まれたら（ナダルの）ヤバい部分めっちゃ出るけど、24時間追い込まれてるわけじゃないんで（笑）。

ナダル　エンタテインメントとしてのヤバさは僕ですけど、素の笑えんヤバさは圧倒的に西野。

西野　まぁまぁ、しゃあないですよね。のびのびやってたらそうなんで（笑）。

2冠を獲ったら、自分たちきっかけで売れる人を出したい

──『キングオブコント』と『M-1』2冠の先には、どういうビジョンがあるんでしょうか？

西野　自分らの番組は持ってみたいですね。奈良のケーブルテレビでやってる番組（『コロコロチキチキペッパーズのやっべぇぞ!!』）はほんまに自由にできてて、それが楽しくて。全国でそういう番組を持てるとしたら、やっぱ2冠獲ってからなんかなっていう。ほかにもきっかけはあるのかもしれないですけど、2冠獲ったら文句なしというか。

ナダル　僕らがもし2冠獲ったら、ネタ書いてる西野がえぐいくらい評価されると思うんですよ。そしたら西野の仕事は増えるやろうし、やりたい仕事もできるようになるやろし。あと（賞レースの）審査員とかもできるんちゃうかなと思って。若いからどうこうじゃなく、（2冠獲っているという）説得力があるんで。僕なんかは発想が“凡”なんでプレイヤーですけど、西野の幅がめっちゃ広がると思うんですよね。

──西野さんは、冠番組を持った先にどんなことを描いているんでしょうか？

西野　自分たちきっかけで売れる人を出したいですね。世間では全然注目されてなくても、僕らの番組きっかけで劇的な変化をする、みたいな。やっぱ、劇的な変化って見てておもしろいんですよ。

個人的に、ナダルの変化を一番近くで見れたのが楽しくて。組んだころの悲惨さったらなかったんで（笑）。セリフも覚えれんくて、19歳の僕に怒られて、コンビニの廃棄食って、ゴキブリの出る家に住んでたのに、今は一軒家建てて、娘も生まれてっていう。

そのドラマを相方で見れたのが楽しかったけど、ほかの人でも見れる可能性はあるわけじゃないですか。だから将来は「原石がここで見つかる！」みたいな番組に携われたら楽しそうですね。

ナダル　派手じゃなくていいんで、ほんわかした楽しい番組やりたいですね。でもやっぱ、目指すはダウンタウンさんやと思ってます。

西野　（笑）。

ナダル　せかせかせんでええから、気遣わんで自分らがめっちゃ楽しいと思う番組ができて、YouTubeは100万人くらい登録者がいて、ネタもちゃんとやって劇場チケットも売れて、という盤石な状態。テレビが全ての時代じゃないんで、多岐にわたって好きなことで固められたらいいなと。ノンストレスでやれたら最高ですね。

西野　目標、ノンストレス（笑）。

──お話聞いてると、ナダルさんはずっと崖っぷちな気持ちでやってるんですね。

ナダル　そうですね。でも、どんだけ跳ねても（満足することは）無理かもしらんけどね。「もっとできる」って思っちゃうというか……いまだに満足感を得たことがないんですよ。

西野　やからおもろいんやけどな（笑）。（ナダルがひとりで番組に出て）「全然あかんかった」ってめっちゃへこんでたんですけど、観たらいっちばんおもろかったんです（笑）。これで満足してない感じが、よさだと思うんですけどね。（イジられて笑いを取るのではなく）「俺はトークで笑いを取りたいねん」ってずっと思っててほしいというか。

ナダル　トークも絶対おもろくなってる！　失敗で笑かすみたいな感じ、やめてほしいです。

西野　それ（スタンス）がめっちゃおもろい（笑）。

──ナダルさんは、バラエティでドッキリを仕かけられたり、試練を与えられたりするのも、「乗り越えなきゃ」という気持ちで挑んでるんですか？

ナダル　まぁまぁ、そうですね（笑）。嫌な時期もありましたけど、めちゃめちゃ反響あるんで。結局、笑われようが笑わそうが“お笑い”なんで。クズだけだったら飽きられるやろうし、手を替え品を替えでおもろいことを追求して、ちょっとずつシフトしていけたらなと思ってます。

やっぱり、ずっと同じことやってたら飽きられるんで。最初は“声”で出たけどやっぱり飽きられてるし、自分の中でシフトチェンジしてるつもりです。自分もこいつも『M-1』目指してるうちにもっとおもろくなれるかなと期待してます。

西野　今のトーンとかもう、ビジネスマンやん（笑）。「自分の中でシフトチェンジして」とか（笑）。

ナダル　……1時間も取材受けて、頭おかしくなってきてん！