「ナダルの認知度は武器にもなるけど邪魔でもある」コロコロチキチキペッパーズが『M-1グランプリ』王者になるための課題

2021.10.31
コロコロチキチキペッパーズ

文=堀越 愛 撮影=長野竜成 編集=鈴木 梢


コント&漫才王者の2冠を賭け、『M-1グランプリ』優勝を目指すと宣言したコロコロチキチキペッパーズ。公式YouTubeチャンネル『よろチキチャンネル』ではテレビと異なるふたりの“素”を観ることができるが、それでもやはり、一般的に「ナダルと言えばクズ」というイメージが強い。

『M-1』に挑むにあたり、ナダルの知名度は漫才にどう作用するのか。そして、前代未聞の「2冠」達成の先に、ふたりはどんな未来を描くのか……。インタビュー中、言葉の端々に感じるのは「相方へのリスペクト」だった。

【前編】コロコロチキチキペッパーズ、実は世間のイメージと真逆。『M-1』出場はナダルが1年かけて西野を説得していた


「今の僕、チャド・マレーンさんみたいになってるやん」

──ナダルさんのことを知らない人はいないくらい、世間にキャラが知れ渡っていますよね。この「知られた」状態って、漫才を作るにあたってどう作用するんでしょうか? 活かせるのか、難しいものなのか。

西野創人
西野創人(にしの・そうと)1991年9月21日、大阪府生まれ。O型。NSC大阪校33期生

西野創人(以下、西野) それまさに、めちゃめちゃいろんな先輩や作家さんから言われてますね。スーパーマラドーナ武智さんとか、名だたる先輩に「ナダルがこういう人だって世に出た状態は、武器にもなるけど邪魔でもある」って言われてます。銀シャリの鰻(和弘)さんには「ナダルが流暢にしゃべってるのは違和感ある」って言われましたね。

ナダル この1年で、ほんまに漫才めっちゃうまなったと思いますよ。絶対うまなってると思いますけど、うまくなったらええってもんじゃない。うまなってもウケの量は変わらない、むしろちょっと減ってるくらいのときもあって……チャド・マレーンさんっているじゃないですか。

西野 新喜劇のね。

ナダル チャド・マレーンさんが日本に来たときは、片言なのも相まってえぐいくらいウケてた。でも日本語めちゃめちゃ上達して、流暢にしゃべれるようになってから最初のころほどウケへんようになって……今の僕、チャド・マレーンさんみたいになってるやんて(笑)。(キャラが知られたことは)めっちゃ武器にもなると思いますけど、めっちゃムズいと思います。普通の漫才師やったらウケるようなことも、僕やったら嘘になってしまったりとか。僕が意気揚々としゃべったり、仕切ったりボケたりしてもウケへん。

西野 この前、ニューヨークの屋敷(裕政)さんが僕らのネタを見てくださったんで「どうでしたか」って聞いたら、「“かしこまってる感”出てるなぁ」と。YouTubeでやってるような自由な感じがなくて「さぁ、ネタに入りました!」みたいな感じがするなと……。もう、今は何周目かわからんぐらい漫才のこと考えてますね。どういうかたちが合うんやろ、みたいな。絶対合うものがあるはずなんですけど。

コロコロチキチキペッパーズ_ナダル
ナダル(なだる)1984年12月23日、京都府生まれ。O型。NSC大阪校33期生

ナダル 隔月で新ネタライブやってますけど、まだ掴めてないですね。自分らにぴったりくる「あ、これや!」っていうものは。

西野 「これや」ってのが見つかったら、決勝行ける自信はあるんすよ。今の僕らには余裕がないというか、めっちゃ“漫才やってまっせ”感が出てんのかなぁと……。

──『キングオブコント』で優勝したときは「これや」っていうものがあったんですか?

西野 そのときは「ナダルがこう見られてるから」とか考えてなかったしクズキャラも知られてなかったんで、単純に役に入り切ってできたんですよ。(決勝の)1本目でやった妖精のネタなんかは、ナダルがいい声で「たかしくん」って言うだけでウケたりして。そういうのはもう、今はできない。あのときじゃないと無理やったよなって。年を重ねるごとに見せ方も変えていかなあかんねんな、っていうのを今は感じてますね。

──ナダルさんが知られたからこそ、漫才や『M-1』も難しいんですね。

コロコロチキチキペッパーズ

ナダル そうですね。これだけテレビ出て、全国区になって人間味もわかられた状態で『M-1』出るとか、ほかにおらへんですよね。

西野 全国区……ちょいちょい自慢入るな(笑)。

ナダル まぁまぁ、しゃあない。

西野 確かにレアなケースやと思います。「みんなバラエティに出たくて『M-1』がんばってるけど、お前らはバラエティ出てる。それで決勝行きたいっていうルート自体見たことない。難しいルートやな」みたいに言われましたけど、まぁ今のほうが楽しいですね。(『キングオブコント2015』優勝後の)2016年から2018年くらいが「仕事はあるけど、これって果たしてどうなんや」みたいな時期だったんで。

──「どうなんや」というのは?

西野 当時、僕はまだ26歳で。(『キングオブコント』優勝したことで)“卒業した感”出してる自分に対して、うーんっていう感じがあって……『M-1』は無理やからって逃げて、インスタ凝ってみたり飲み歩いて交友広げてみたり、そっちに行ってた時期やったんです。でも結局、今のほうが楽しい。何かを目指すってしんどいっちゃしんどいですけど、心の充実感がありますね。目標があったほうがええんやな、って最近思いました。

ナダルを「ちゃんとおもしろい」と思ってくれる人が増えた


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堀越 愛

(ほりこし・あい)フリーランスのライター。企画制作、編集、広告。お笑いとラジオと劇場と演劇が好きです。元広告代理店営業。宮城出身、東京在住。HP:https://aihrks-log.theblog.me/