ピンク映画、エロVシネ、ロマンポルノ、違いはわかる?城定秀夫監督が明かす「ピンク映画の舞台裏」
あなたは人生でピンク映画を何本鑑賞したことがあるだろうか。きっと、それなりの映画好きを自負していても、ピンク映画はノーチェックという人が大半だろう。
しかし、濡れ場を売りにした「ピンク映画」は、現在も新作が作られつづけて、近年はミニシアターで上映イベントも行われている。「ピンク映画の鬼才」と呼ばれる城定秀夫監督に、その知られざる舞台裏を聞いた。
撮影期間はわずか2、3日の強行スケジュール
城定 僕が話をするのでいいのかな? ピンク映画出身ではあるけど、ピンクを撮っていなかった時期も長いから……。これまで監督を担当したピンク映画は7本程度なので、業界内ではけっして多いほうではないんですよね。
──そうなんですか? 『悦子のエロいい話~あるいは愛でいっぱいの海~』や『ミク、僕だけの妹』『悦楽交差点』『女の犯罪史』などの監督作は、ピンク映画の括りではないんでしょうか?
城定 その中だと、ピンク映画と呼べるのは『悦楽交差点』だけですね。「上野オークラ劇場」などの成人映画専門の劇場でかけることを目的として制作された映画を「ピンク映画」と呼んでいます。劇場で上映せず、レンタルビデオとして扱われるエッチな作品は、一般的には「エロVシネ」。また、日活が制作した成人映画は「日活ロマンポルノ」と呼ばれたり、エッチな映像作品のすべてをピンク映画と呼ぶわけではないんですよ。
──なるほど。自分も含め、いろいろごっちゃに捉えている人は多そうです。「ピンク映画を7本撮った」と聞くとじゅうぶん多いように感じますが、もっとたくさん撮影している人もいるんですか?
城定 レギュラーでピンク映画を担当している人は、年間4本とか撮影していますよ。
──年間4本! だいたいどれくらいの予算とスケジュールで撮影されているものなんですか?
城定 僕はプロダクションを仲介して仕事を受けているので、正確な予算はわからないんですが、ピンク映画1本につき300万円くらいではないかと思います。だいたいどの監督も3日で撮影しています。僕は昔は2日でやっていましたが、2018年公開の『恋の豚』からは3日になりました。
──2、3日で撮影となると、悪天候などのハプニングにどう対応しているんですか?
城定 すべては運任せです。雨が降ったら降ったで、そういう設定にしちゃおうという感じですね。雨が降ったときに行くところは決まっているんですよ。『舐める女』にトンネルのシーンがあったでしょう? あの信濃町トンネルは、雨が降ったときの定番の撮影場所です。そういう場所は都内にいくつかあって、雨降って慌てて行くと、ほかの組がもう撮影していたりする(笑)。
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