後藤真希「今が一番自分らしい」モー娘。加入から22年目で気づいたこと【前編】

2021.10.13
後藤真希

文=於ありさ 撮影=洞澤佐智子 編集=高橋千里


「10年に一度の逸材」と言われて加入し、ミリオンヒットを記録する国民的アイドルグループ「モーニング娘。」のメンバーとしてスポットライトを浴びていた後藤真希さん。

現在はYouTubeを中心にタレントとして活躍し、2021年11〜12月には約10年ぶりとなる有観客ライブ『後藤真希 Billbord Live 〜Reply〜』を開催予定。グループ加入から22年という年月を経て、今気づいた“自分らしさ”とは。

後藤真希

【関連】驚愕の充実ぶり!今こそ見返すべき「ハロプロYouTube」


オーディション前「モーニング娘。のことはよくわからなかった」

――後藤さんは「モーニング娘。第2回追加オーディション」に合格し、モーニング娘。入りを果たしました。当時は13歳だったかと思うのですが、もともと芸能界には興味があったのでしょうか。

後藤真希(以下:後藤) そうですね。母の好奇心で、6歳くらいから劇団や事務所のオーディションを受けたり、所属したりしていました。

――モーニング娘。のオーディションを受けたのは、なぜなのでしょう?

後藤 私自身は芸能の世界に入りたいというより、「歌って踊れるかっこいい歌手になりたい」という夢が幼少期からあって、それにどんどん近づいていきたいなと思っていたんですね。

でも、モーニング娘。のことはあまりよくわからなかったんです。

――そうだったんですね。

後藤 「『ASAYAN』(テレビ東京)って番組、最近学校で流行っているよな〜」と思って観た日にたまたまオーディションの募集をしていて、軽い気持ちで履歴書を出したという感じでした。

それで夏休み期間に家にいたら「第1次審査受かりました。第2次審査までに●年から●年までの楽曲を覚えてきてください」って連絡が来たんです。

後藤真希

――オーディションでは本来2名が合格する予定だったのに「ひとりだけレベルが違う」「10年にひとりの逸材」との理由で後藤さんだけが選ばれ、モーニング娘。入りが決まりました。当時、そういうふうに言われることでプレッシャーを感じたりはしなかったのでしょうか?

後藤 うーん……あまり感じてはなかったですかね。当時は子供だったこともあり、そんなに深刻に受け止めていなかったと思います。

――「期待に応えなくちゃ」とも思わず?

後藤 そうですね、期待を感じることはあったんですけど。個人的には、ただ楽しくやれたらOKだったし、チャートの順位とかもグループでの数字だから、あまり気にしていませんでした。

「ミリオン達成」も「オリコン1位」も喜べなかった理由

――モーニング娘。のメンバーになったことで生活が一変したのではないかと思いますが、「世界が変わったな」と自覚した瞬間を覚えていますか?

後藤 表参道の交差点にあるビルに「LOVEマシーン」のCDジャケットの看板が貼られていたんです。それをぼーっと見ていたときに「あれ? 私いるじゃん」って思ったのは覚えていますね。

あとは『ASAYAN』(テレビ東京)でオーディションに合格したことが放送される前に、私が事務所の出入りをしていることに気づいた人たちから「サインください」って言われたとき。当然、まだサインなんてないので、とりあえずフルネームで“後藤真希”って書いておきました(笑)。

でも、どちらかというと、“いつの間にか世界が変わってた”みたいな感覚のほうが近いかな?

――そうだったんですね。

後藤 なんか当時のモーニング娘。って「ミリオン達成した!」とか「オリコン1位!」とか「紅白に出場する!」みたいなことがつづいていたんですけど、私、それがなんなのかも、どれだけすごいことなのかも何もわからなかったんです。だから私以外のメンバーが泣いて喜んでいる横で、ポカーンってしちゃってたんですよね。

――当時の後藤さんって、少しクールな印象を持たれがちだったかと思うのですが、そうではなくて、わからなかっただけなんですね。

後藤 そうそう。うれしいことなのかどうかがわからないから、リアクションできなかっただけだったんです。

後藤真希

――ブレイクに伴う日常の変化に戸惑うことはなかったんでしょうか?

後藤 活動自体は楽しかったんですけど、自分の時間がなくなっちゃったことはつらかったですね。前までは、学校から帰ったら好きなことができたのに、家族との時間もなくなっちゃったし、早朝から何時まで働いているんだろう……という状況がつづいていました。

1日に3回ぐらい飛行機に乗って、食事を取るのも5分とかで、自分が今どこの地方にいるのかもわからない。「何やってるんだろう、私」みたいな感じで考えたことはありましたね。

――それはいつごろの話ですか?

後藤 オーディションに受かってから、半年ぐらいはつづいていたかなと。もちろんお休みもあったんですけどクタクタだったので、好きなことをしたり、自分のペースで過ごしたりするのは難しかったかな。今思えばそれだけお仕事があるのはありがたい話なんですけどね。

――ファンやマスコミから注目を浴びることで、プライベートがなくなる感覚はなかったのでしょうか?

後藤 実家はモロバレでしたし、タクシーに乗っていても、ずっとうしろに同じ車がいる……みたいな経験は何度もしました。そのたびに「ネットワーク、すごいな〜」と感心していましたね。

追いかけられていないときも、同じ車がずっとうしろにいると、自然とナンバーをチェックしてしまうようにはなっていましたね。でも、別にやましいことをしているわけじゃないし、そこまで気にしていなかったかな。

――なぜですか?

後藤 うーん……感覚的に、地元に入ると安心しちゃうんですよ。ずっと同じ場所で生まれ育ったので、仕事先から車で移動して、徐々に地元が近づくと“自分の街”感が出るので。「ついて来ている人はいるけど、地元だから安全だ」ってくらいの気持ちでしたね(笑)。

「絶対仲よくなってあげない!」から先輩と後輩のつなぎ役に


この記事の画像(全7枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

Written by

於 ありさ

(おき・ありさ)ライター・インタビュアー。金融機関、編プロでの勤務を経て2018年よりフリーランスに。サンリオ・男性アイドル・テレビ・ラジオ・お笑い・サッカーが好き。マイメロディや推しに囲まれて暮らしている。

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森⽥美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。