ハリウッドザコシショウはなぜギリギリを攻めつづけるのか?リアルとエンタメの線引きを考える

2021.8.6
ハリウッドザコシショウ

文=ラリー遠田 撮影=いわなびとん 編集=鈴木 梢


『R-1ぐらんぷり2016』で優勝、リニューアルした『R-1グランプリ2021』では審査員も務めたハリウッドザコシショウ。2002年にコンビでの活動を休止して以来ピン芸人として、人物や架空のキャラクターなどの特徴を誇張した「誇張ものまね」や漫談をすることで知られている。

テレビのみならずあらゆるメディアで表現の問題が注目されている今、彼は常に表現の「ギリギリ」を攻めている。2年ぶりの有観客での単独ライブを控えているハリウッドザコシショウだが、現在のメディアの在り方や自身の芸風について何を考えているのか。


「ギリギリ」を攻めつづけるポリシー

ハリウッドザコシショウ
ハリウッドザコシショウ(はりうっどざこししょう)1974年2月13日、静岡県出身。1992年に大阪NSC11期生として入学、現在はソニー・ミュージックアーティスツ所属。『R-1ぐらんぷり2016』で42歳史上最年長王者

——単独ライブは毎年開催されていたそうですが、昨年はコロナ禍のために中止になっていて、今回は2年ぶりなんですね。

ザコシ 去年はハコ(会場)も予約してお金も払って、やると発表する直前に中止になったんです。今回は客席の50%しかお客さんを入れられないんですけど、やれるだけいいかなと思いますね。

——昨年の時点でネタはもうでき上がっていたんですか?

ザコシ いやいや、そんなことないです。やっぱり中止になるとネタ作りもストップしちゃうので。お客さんに観てもらわないと、ネタも製品として出せないですから。ライブ自体が本当に久しぶりですね。

ハリウッドザコシショウ

——最近はライブに出る機会もほとんどなかったんですか?

ザコシ ほとんどないですね。去年は単独ライブができなかったので、配信番組みたいなのをやったんですよ。でも、それもお客さんを入れているわけじゃないので、やっぱりダイレクトな反応がわからないんです。だから、この1年は新ネタみたいな感じのものがあまりできなくて。

テレビでネタを求められたときは、今までのストックの中から焼き直しみたいな感じでやり過ごしてきたんですけど、さすがにそれもなくなってきたんです。だからこそ、単独ライブは早くやりたいです。

——ザコシさんの誇張ものまねでは時事ネタもけっこうあるじゃないですか。今回もそういうネタはありますか?

ザコシ 多少はあるかもしれないですけど、最近はライブのコンプライアンスも厳しくなってきているから、そこをどうするかというのはあります。ライブだからいいじゃないかと思うんですけど。

ハリウッドザコシショウ

——テレビではそういう規制があるようですが、ライブでも同じですか?

ザコシ そうですね。もちろん、どんな場所でも言っちゃいけない、やったらダメなことはありますよ。でも演者がライブでちょっと行き過ぎた表現をしてしまったときに、言葉狩りみたいな感じで炎上するのはどうなのかなとは思っています。だから、ライブのよさというのがだんだんなくなってきているんです。お金を払って来てくれたお客さんが観たいと思ってくれているから、サービスの一環としてやっているんですけど、それが一部で叩かれてしまうのは寂しいものがありますね。

——そんななかで、ザコシさんはけっこうギリギリのところを攻めている感じはするんですけど。

ザコシ ギリギリのところを攻めますね。

ハリウッドザコシショウ

——そこはやっぱり攻めていきたいと。

ザコシ そうですね、せっかくライブをやっているわけだから。テレビとライブというのがあって、僕はどっちも好きなメディアだと思っていて。テレビはテレビでいいところがあるし、ライブはライブでいいところがある。でも、今は両方のコンプライアンスが厳しくなって、同じようになってきている感じがするんです。

だから、僕はその中で表現できるギリギリをこれからも攻めていきたいですね。全部が全部そういうふうにしたいわけじゃないですけど、100%のうち20%くらいはそういうのがあってもいいかな、とは思っています。

ハリウッドザコシショウ

——ザコシさんはメンタルが強いというか、スベっても心が折れないようなイメージがあります。ご自分ではどう思いますか?

ザコシ 昔は折れていましたけどね(笑)。「折れなくなった」という表現が適切かもしれないです。

——若手のころは心が折れていた時期もあったということですか?

ザコシ 若手のころはけっこう折れていましたよ。テレビでMCの人に「それ、あかんあかん」と言われたら、本当にダメだと思ってシュンとなっちゃうというようなことがあったんです。でも、そういうときにMCの人は「もっと来いよ」と思っていたりするんです。本当に「あかん」って思っているときもあるかもしれないけど、それで怒られたら謝ってカットしてもらえばいいだけの話だから。今はもうこっちとしてはやるしかないという感じですね。

ハリウッドザコシショウ

——そういうさじ加減がだんだんわかってきたんですね。

ザコシ だって、こっちはそれで呼ばれていますから(笑)。「ぶち壊してください」っていうことで呼ばれているのに、躊躇してどないすんねん、という。

——なるほど。俺を呼んだということはそういうことだろうと。

ザコシ そうそう、仕事してなんぼですから。壊し屋ですからね。壊しに行きますよ。

——ザコシさん自身も、そういう壊し屋的なポジションのほうがやりやすいんじゃないですか。

ザコシ ひな壇に座って普通にエピソードトークするっていうキャラじゃないですからね。それはなんか恥ずかしいです。

「ルールがない」というルールの中でこそ輝く


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ラリー遠田

(らりー・とおだ)1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わ..

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