日曜のお昼の30分間、先輩ゲストに人生相談をしたり、俳優仲間とのおしゃべりを楽しんだり、ときには自由奔放なトークでお笑い芸人を振り回したり……。
昨年公開の映画『みをつくし料理帖』で主演を務めるなど着実に存在感を増している女優・松本穂香がパーソナリティを務めるのがTBSラジオ『新米記者・松本穂香です。』だ。誠実な姿勢でゲストと向き合う彼女にとって、ラジオとはどんな時間なのだろうか。
※この記事は『クイック・ジャパン』vol.154に掲載のインタビューを転載したものです。

ラジオって、ほかのメディアよりも自由
──2020年の4月にスタートした『新米記者・松本穂香です。』ですが、パーソナリティになるにあたって準備したことはありますか?
まず、ほかの女優さんのラジオを聴きました。吉岡里帆さんとか、すごく落ち着いたラジオで素敵だなと思って。ラジオにもいろんなやり方があることを知れたのがいちばん大きかったですね。スタッフさんにも「自由にやってください」と言われまして、ラジオってほかのメディアよりも自由だなって感じてます。
──パーソナリティとしての松本さんの魅力は素直に話されているところだと思うのですが、それはラジオという自由なメディアが引き出しているのかもしれませんね。
そうですね。ただ、ラジオでも生放送だったらここまで自由には話せないです。もともと思ったことはなんでも言ってしまうタイプなので、収録じゃないと後が怖いです(笑)。
──コロナ禍で会話の機会も減っていると思うんですが、今、松本さんにとってラジオはどういう時間ですか?
たしかに、人とがっつりしゃべる時間って今はラジオくらいで、この時間に助けられている気がします。私はひとりの時間も好きなんですけど、ずっとひとりでいると、ネガティブな方向に考えちゃうタイプで……。自分の心の声ばかりになると、ふさぎ込んでしまうんです。だけど、ラジオでゲストの方とお話しすることで、人間の心を取り戻せる感覚はありますね。しゃきっと前向きに切り替えられるのは、ラジオをやってよかったことかもしれないです。
──リスナーにとっても、松本さんとゲストのトークを聴くことで、人の声に触れてリフレッシュできるんだろうなと想像します。
マネージャーさんが、私のラジオを聴いてると一緒に会話に加わってるような気持ちになって楽しい、と言ってくれたんですけど、それってラジオならではの楽しみなんだろうなと思います。

──“新米記者”としてゲストに取材している松本さんですが、心がけていることはありますか?
ゲストの方のファンが聞いても面白いお話を引き出せる質問を考えることですかね。あと、芸能人の方って普段からたくさんの質問を受けているので、退屈させないように私にしか聞けないことを聞こうと思ってます。でもそうすると、ゲストが俳優さんのときは自ずと悩み相談になっちゃうんですけど(笑)。
──個人的には石坂浩二さんの回がとても面白かったです。
石坂さんはひと言の重みがすごかったです。「松本さんも女優として、いつかポンっと一線を超えなくちゃならない瞬間が来るよ」とおっしゃっていて、ハッとさせられました。私の発声についても「声がすごくいいけど、ちょっと息が多いね」とアドバイスをいただいて。よく見てくださってるなと思って、ありがたかったです。
──60年近いキャリアの石坂さんだからこそ言える言葉ですね。
そうですね、60年か……。私はそんなに長く俳優は続けられないかもしれないです、想像がつかない(笑)。
──事務所の先輩である有村架純さんも登場されました。
ほかの人とは違うドキドキ感がありました。私の成長を見守ってくれる存在なので、お会いするときはいつも「今の私、大丈夫かな」「前にお会いしたときよりレベルアップできてるかな」って心配になるんです。でも収録が終わって、「着実に前に進んでるね」と言葉をかけていただいて安心しました。
──俳優の次に多いゲストは芸人ですが、普段ご一緒される機会がないぶん、緊張されませんか?
むしろ気張らずに、思いを伝えられていて楽しいです。私がなにを言ってもツッコんでくださるのでとても助けられてますね。チョコプラさんが来られたときも「YouTubeの動画を観させていただいていますが、チャンネル登録はしてないんです」って余計なことを言っちゃって反省したんですけど、面白がってツッコんでくださったので救われました(笑)。コロチキさんもあまり馴染みはなかったんですけど、短い時間でもぐっと距離を縮めてくださって楽しかったです。ゲストがみなさん素敵な方ばっかりなんですよね。長く活躍されてる方って、みなさん優しいです。
──『新米記者』とは違う番組ですが、TBSラジオの年越し番組『ハライチのタァァァン!!』にアシスタントとして出演された際も、グッズのポーチを「言うほど大きくない……」と、はっきり言ってましたね。
とってもかわいいポーチでしたけど、やっぱりそんなに大きくなかったんですよね(笑)。ですが、発言ひとつで売り上げに影響を与えてしまうことを実感して、注意しないとけないなって。『新米記者』ではリスナーの方から相談のメールもいただくんですが、アドバイスを求められると慎重になりますね。普段は聞けない人のプライベートな部分に触れられるのは面白いなと思いつつ、私の言葉でその人の人生が変わってしまうかも、と思うと責任を感じます。
──松本さんは、ご自身の言葉に誠実であると同時に、有言実行の人だと、ラジオを聴いて思いました。ハライチ・岩井さんとの約束を守って、翌週ヨガを習いに行ってましたよね。
岩井さんが近所のヨガに行こうか迷ってるっていう話の流れで(笑)。思わず「私もヨガやってみようかな」って言っちゃったので、言ったからにはやらなきゃと思って。
──松本さんがラジオをもっと楽しもうとして動いてるのが伺えて、いいエピソードでした。
よかったです(笑)。芸人さんでいうと、チョコプラさんとか、ジャルジャルさんが「YouTubeの更新は楽しいから続けてるんだよ」と言っていたのが印象的でした。たしかに楽しくないと意味ないよなって。『新米記者・松本穂香です。』も、楽しみながら末永く続けていきたいです。

クイック・ジャパン 154
- aiko
- 太田出版
- 価格¥1,021(2025/04/10 18:34時点)
- 発売日2021/02/26
- 商品ランキング307,482位
関連記事
-
-
長濱ねるが、嫌いだった自分を許せるようになるまで
FRISK:PR -
空気階段が大学中退ニート&バイトの苦しい日々を“転換”させた先に
FRISK:PR -
「奪われたものは取り返すつもりで生きていく」FINLANDSが4年ぶりのアルバムで伝える、新たな怒りと恥じらい
FINLANDS『HAS』:PR