きっかけは三四郎
――今回の取材は街中でスマホを使ってradikoで聴く、というシチュエーションの撮影になりましたが、実際はどうですか?
奥森 本当にあんな感じですね。芸能の仕事と学業を両立していて移動が多いので、電車の中だったりとか、歩いているときとか、基本的にそういう移動の時間に聴いています。
――番組にメールを投稿した経験はあるんですか?
奥森 数回だけあります。1回、アルコ&ピースさんに読んでもらったことがあります。ラジオネームをつけて、フツオタ(普通のお便り)をこっそりと送ったんですけど、採用されてメチャメチャ興奮しました。それが最初で最後かもしれないなあ。基本的には投稿しないので。
――コラムでも書かれていましたが、お母様が家でラジオを流していたとはいえ、自発的にラジオを聴き出したのが小学4年生だと知ってビックリしました。相当早熟だと思うんですが、どういうきっかけだったんですか?
奥森 両親の影響もあって、お笑い自体がそもそもずっと好きだったんです。それまではテレビでバラエティ番組やネタ番組を観るのがほとんどだったんですけど、あるときから自分でおもしろい若手芸人さんを見つけるようになりまして。そのころ、私が一番注目していたのが三四郎さんでした。
当時はまだそんなにメディア露出もされてなかったんですけど、漫才を観て、「メチャメチャこの人たちは素敵だな」と思って。そしたら、ANN0をやっていることを知り、初めて自分から聴いてみようと思ったんです。それから急にハマって、アルコ&ピースさんのANNのポッドキャストも聴くようになりました。
「こんな大人の生き方があるんだ」と新鮮だった
――コラムで「伊集院さんがいらっしゃらなかったら今の自分もいなかった」とまで書かれていましたが、『深夜の馬鹿力』はどういう部分が刺さったんでしょう?
奥森 本格的に聴き出したのは中学に入ってからなんですが、ひとりでしゃべって、ひとりでボケて、ひとりでツッコんでいる。それを聴いて、なんておもしろい人なんだって感じました。ただおもしろいだけじゃなく、伊集院さん特有の考え過ぎちゃうところとか、深読みし過ぎちゃうところとか、私には思いつかないような考え方を日常からされていて、その視点の奇妙さみたいなところにもおもしろみを覚えました。
――奥森さんが考える伊集院さんの魅力は、ほかにどんなところがありますか?
奥森 表現やたとえのバランスが好きなんです。フリートークをしているなかで、さっきまで本当にあったことを普通に話していたのに、いつの間にか実際はなかったことを話している……みたいな。その分岐点がいつの間にか来ているのがおもしろいなって。
いろんな芸人さんのラジオを聴いて、最初はコンビでワイワイ楽しく話しているところに魅力を感じていたんですけど、伊集院さんはひとりなのに楽しそう。私自身もおしゃべりだけどひとりでいることも好きなタイプなんで、「こんな大人の生き方があるんだ」「こんな大人になりたい」っていう新鮮な気持ちになりました。
伊集院さんって、わかりにくい話もリスナーに噛み砕いて説明してくれるじゃないですか。最近だと歌舞伎の話をよくされていますけど、私にはあまりなじみがないし、観に行ったこともないけれど、わかりやすく教えてくれるし、難しい部分も簡単かつコミカルに言い換えてくださっています。その丁寧さというのは、私のような10代にも刺さると思います。
――日常の会話で伊集院さんっぽい言い回しをしちゃっているときってありますか?
奥森 「でいて」ですね。友達としゃべってるときに言っちゃいます(笑)。