大切なことはいつもラジオが教えてくれた。コロナ禍をタフに生き抜く視点と想像力


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トップ画像=アクリル板の設置が定着したラジオブース(写真提供:フリーアナウンサー五戸美樹。文化放送『走れ!歌謡曲』などを担当)
文=村上謙三久 編集=森田真規


緊急事態宣言の対象地域が全国に広がり、いつ解除されるかわからない外出自粛に、いつ自分が感染者になってしまうかわからない恐怖に、日本中の人々が不安な日々を過ごしています。

だけど、こんなときだからこそ、物事をポジティブに捉えていきたいもの。「ラジオはタフに生きるための視点と、それを楽しむ想像力をずっと伝えつづけてくれている」ということを、『深夜のラジオっ子』の村上謙三久がコロナ以降のラジオトピックとともに伝えてくれます。

ラジオを聴くことが、コロナ禍と向かい合う大きな助けに

新型コロナウイルスの影響はさまざまなメディアに波及している。ラジオも例外ではなく、放送局は対応に追われている。機材の消毒はもちろんのこと、ブースには飛沫感染防止のためアクリル板が設置され、中に入る人数も制限。スタッフのいる副調整室との間にある扉は通常締め切っているが、現在は換気のため、開放されているという。スタジオ付近にはパーソナリティや関係者以外立ち入り禁止。テレビと同じくリモート出演も増加しており、収録中止による再放送や出演見合わせなども一部では出てきている。

しかし、ラジオは音声だけのシンプルなメディアだけに、テレビほどの影響は感じさせない。しゃべる側としては当然、目の前に相手がいるほうがやりやすいだろうが、リスナー側からするとそうである必要はまったくない。どんな状況であろうと、聞き手は都合よく想像力で補完してしまうもの。そもそも関わっているスタッフもテレビに比べれば少数精鋭だ。あくまで「現時点では」という但し書きがつくにせよ、これまでの歴史が証明するように、ラジオはどんな状況にも順応できる頼れる存在だ。

星野源はリモート放送ができる状況を使って、2時間の深夜ラジオを自宅からたったひとりで生放送。吉田拓郎は自宅の仕事部屋で番組をひとりで収録し、後からディレクターがBGMやSEを加えるスタイルを取った。結果的にではあるが、新型コロナウイルス問題によって、物理的な距離に捉われない番組作りにつながり、ラジオというジャンルは新たな進化を見せ始めている。もちろん現場の苦労は察するに余りあるが、どこかコロナ後のラジオ界を楽しみにしている気持ちもある。

あくまでラジオ好きである私個人の感覚ではあるが、コロナ禍と向かい合う上でラジオが大きな助けになっている。単純に世の状況を伝えてくれるだけではない。海外から悲惨なニュースが殺到し、日本でも感染者が急増。自分のすぐ近くに脅威が潜んでいることを思い知らされる今、揺れ動く心のバランスを保つためのヒントがラジオにはあふれている。

物事を別の視点から捉える想像力を教えてくれる『深夜の馬鹿力』

3月2日。全国の小中学校、高校が臨時休校に入り、マスク不足やトイレットペーパーの買い占めなど徐々に問題が深刻化。しかし、東京オリンピックの延期は決まっておらず、まだ世の中が冷静さを保っていた時期だ。『伊集院光 深夜の馬鹿力』(TBSラジオ)において、伊集院は本格的なカレー作りに挑戦するべく食材を買いに行った話をしていた。

不要不急の外出を避けるよう連日報道されるようになっていたため、伊集院は「とにかく人に会わず、人混みを避けて買うこと」に挑戦。「こちらは『メタルギア』のノリになっているから、相当隠密行動として買うという感じで。前から4人ぐらい歩いてくると、それは避けて路地裏に入ったりとか。そういう意味のない極端な楽しみ方」をしたという。カレー用のインディカ米は普通の食料品店では買えず、インド人が集まるような専門店に行かねばならないが、その手の店のほとんどが繁華街にしかない。そこで、伊集院は自分の決めたルールに従い、わざわざ足立区の北綾瀬まで足を伸ばしたそうだ。

伊集院はこんなふうに自分に課した決まりに縛られてしまう日々を、いつも自嘲気味に振り返っている。だが、世の中全体に強く求められる要請を、心の中だけで自分に課したゲーム感覚のルールにすり替えるのは、精神のバランスを保つ上で有効ではないだろうか。

私自身、この当時はマスク不足に焦りを感じていたが、伊集院の話を聞き、コンビニや薬局を回ってマスクを探す行為を「RPGの宝探し」だと考えるようになった。それで不安な気持ちがすべて払拭されたとは言わないが、楽しむ余裕を持てた。『深夜の馬鹿力』はこんなふうに物事を別の視点から捉える想像力が大事だといつも教えてくれる。

大喜利とライブあるある披露が同時進行したような『三四郎ANN』


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