岡村隆史が語る、相方との30年(1)「誰かと競い合うのは40歳でやめたんです」



火曜と水曜がぽっかり空いて

岡村隆史インタビュー QJWeb
『めちゃイケ』が表紙だった『クイック・ジャパン』vol.113(2014年)。取材中、メンバー全員がそろう表紙写真を何度も見つめていた

――終わった直後は「燃え尽き症候群」のようにはなりませんでしたか?

岡村 番組が終わって、今となってはですけど……ホッとしたかもしれません。まだできるのにっていう気持ちもあったし、いろんな気持ちがあったんですけど、やっぱり次に進まんとあかんって。『めちゃイケ』が終わっても僕らは仕事をつづけなあかんし、いつまでもずっと『めちゃイケ』って言われても仕方がないので。このメンバーはみんなクールやから、そこはみんな同じやったと思います。

火曜と水曜にもうフジテレビ行かなくてええねやっていう、それがなんか不思議でした。レインボーブリッジ渡らなくてええねやって。

――習慣になっていたんですね。

岡村 そうですね。僕は収録がなくても呼び出されて、「今度こういうの考えてるんだけど」っていう打ち合わせとかもあったし、ただの世間話もたくさんして、「これは打ち合わせなのか?」っていう時間もいっぱいありましたから。でも(『めちゃイケ』総合演出の片岡)飛鳥さんのプレゼンがうまいから、やっぱり笑てまうんです。でも、それがなくなって……。しばらくは火曜・水曜は何も仕事は入れませんでした。

――スケジュールが空いた曜日には、具体的に何をしていたか覚えていますか?

岡村 何してたのかな? 「どっか行こうや」ってメイクさんとかスタイリストさんと遊んでたかな。キャンプとか、スノボとか。仕事じゃなくても何かしらで埋めてたと思います。バーベキューしたり。

――『めちゃイケ』メンバーのその後の活躍は気になりますか?

岡村 そうですね、みんなどうしてんねやろって思います。武田(真治)君とか、僕らがあんだけバカにしてた筋肉でのし上がってくるとは思ってなかったですから。ラッパと筋肉ってねぇ(笑)。でもね、やっぱり『めちゃイケ』をやってただけあって地肩が違うんやろな。どこ行っても「武田君っておもろいやん」ってなると思うし、雛形(あきこ)も「しゃべってもおもろいんやな」ってなるやろし。

ジャルジャルなんかは、もう劇場出なくてもYouTubeでじゅうぶんにごはん食べていけるでしょ。もうそんなことになってんねやなあと思いますよ。僕らが若手のころ「テレビに出たい!」って思ってた時代とは違うんやろな。自分たちなりの魅せ方をちゃんと理解してるんやっていうのを、ジャルジャルには気づかされましたね。

あとは、加藤浩次だけがひとり勝ちしたような……。エージェント契約勝ち取って、なんかひとりだけ、うまいことやってんなあって(笑)。

「相方はなんでそう思ってるんやろう?」

――矢部さんのインタビューでは、「自分は先輩に負けるもんかと思うタイプで、相方は後輩に負けるもんかと思うタイプ」とおっしゃっていました。ご自身はどうお考えですか?

岡村 どうですかね……。療養から復帰してから思うことなんですけど、誰かと競い合うとすごくしんどい感じがするんで、あんまりそういう感覚はないですね。ただ、道を作っていただいたという思いはあるので、先人へのリスペクトは確かに僕のほうが強いかもわかりません。でもボケとして「第七世代に負けたくない!」っていうのは絶対に言うタイプです(笑)。言っておきたいっていうふうには思いますね。

――矢部さんに対して負けたくないと思う部分はないですか?

岡村 職種が違うのでね。僕はツッコめないし、進行もうまくでけへんし。相方に負けたくないって、なんで相方はそんなふうに思ってるかはわからないですが、僕はそういうつもりは全然ないですね。

――弱みは見せたくない、という思いもないですか?

岡村 いや、もうじゅうぶん見せてます(笑)。休んでたときもそうやし、今回のラジオの件もそうやし。そんなん、全部相方は見てるわけやから、今さら「相方に負けたくない」みたいなのは全然思わないですよ。

僕としては、誰かと競い合うことって40歳のときにやめてるんです。笑い取らなとか、20代30代のときはそんなん思ってぐわーなってるのがずっとつづいて、40になって休んで復帰して、それはやめようと。それで、だいぶポンコツになったってみんなに言われるんですけど。

僕らが若いころは、真剣の刀を振り回してる先輩がたくさんいたものですから、そういうのを避(よ)けながら30年やってきて。僕なんかはもう、自分で自分の胸を刺してもうてますから(笑)。だから失敗もしてしまうけど、ちゃんと反省して、謝って、また改めて出直してしっかりやっていかなあかん人間なんやろなあと思ってます。


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