矢部浩之が語る、相方との30年(1)あのとき感じた「ナインティナインを守る」という本能


相方に対して思ってることを全部言おうと思った

――『オールナイトニッポン』復帰のきっかけになった岡村さんの失言ですが、最初に知ったときは率直にどう思いましたか?

矢部 率直に「わー! ついにやってもうたな」って思いましたね。

――『めちゃイケ』時代などにもたびたび炎上はありましたよね。それとはまたちょっと違うという感じでしたか?

矢部 そうですね。『めちゃイケ』とかは番組の企画として言ってることですし、そういう流れがあったりするんで。でもやっぱり『“岡村隆史の”オールナイトニッポン』でやってるから、もう言い逃れできないですよね。相方ひとりの責任なので。

自分で選んだハガキを読んで、それを受けて自分が考えて言ったことだから、これは今までとは違うと思いましたね。自分のせいやから。「どうする?」じゃなくて、僕も一緒に「どうしよう?」ってなってました。ピンチやなと。「来週、生放送できんの?」と思って「なんかあったら行くで」ってマネージャーにLINEしたんです。そのときも、僕からしたらラジオを成立させなあかんっていう思いが強かったですね。

――その間、岡村さんはどういう状況かというのはマネージャーさんから聞いていたんですか?

矢部 そうですね。でも、僕からは連絡はしてないし、向こうからはまさか自分がやったことやから連絡できるはずもなく。だからマネージャーを通して聞いてました。

けっこうギリギリで「やっぱりキツそうです。矢部さんお願いしてもいいですか?」っていう連絡がありました。もちろん傷ついた方への思いもあったんですが、でも……やっぱりあのときは本能的に、一番は「ナインティナインを守る」という思いが大きかった。だから生放送で、とにかく叱らなあかんなと思って、相方に対して思ってることを全部言おうと思いました。

もちろん僕がやった説教にも、いろいろ思うことがある人はいると思うんです。でも僕はやってよかったなと思う。あえて “ネタ”って言いますけど、あの“風俗ネタ”は聞いてておもろくもないんです。ラジオでの“変なおじさん”が好きなリスナーもいるからやってたんでしょうけど、僕からするともっと早くああいうのはやめて、「次」に行きたかった。

こっちが結婚して、子供もいて、いろいろ見方が変わったからとかじゃなくて。結婚すればいい、とかでもない。独身のままでもいいんです。だけど、下ネタにしても次のジャンルに行ってほしいんですよ。50の人間として、そのほうが自然ちゃうかなって。

次のジャンルの話をしたいなあっていうのを、僕はずっと思ってたんです。せっかく『オールナイト』に戻らせてもらったんで、まず怒られたことにはちゃんと向き合って、それで逃げずに「次」に行けたらと思ってます。


『QJWeb』では、結成30年を迎えたナインティナインを総力特集。矢部・岡村へのインタビュー、彼らを熟知する関係者への取材を通し、激闘の30年間と、これから始まる「ナインティナインの第2章」を考える。

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  • ナインティナインの30年

    【総力特集】ナインティナインの30年

    ナインティナインが結成されたのは1990年。
    それから30年。岡村は50歳、矢部は49歳になる。ふたりあわせて、99。

    数々の節目と困難を乗り越え、芸歴30年を迎えた「今」から新たなステージを目指す彼らは、どんな笑いを届けてくれるのか? どんなワクワクを見せてくれるのか?

    矢部・岡村へのインタビュー、彼らを熟知する関係者への取材を通し、激闘の30年間と、これから始まる「ナインティナインの第2章」を考える。

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