「多様性」という言葉が独り歩きして正義になるのは怖い
――誰もが自分の望むあり方を目指して、周囲はそれを尊重することが「多様性」につながるんですね。
和田 私自身は多様である社会を理想とするし、自分もその一部になることを目指すけど、人によっては自分を出すのは恥ずかしいと思う人もいるし、押しつけはできないと思って生きています。
ただ、誰かが自分のやりたいことに対して動き出す瞬間を、どんなかたちであっても、応援する姿勢でいたい。まわりの人たちもそれをサポートできるような社会になったらいいなとは思います。
ミキティー 私の場合は、たまたまゲイであることを受け入れてくれる家族、友達、バイト仲間がいて、たまたまアイドルになって、それを受け入れてくれるファンがいました。
でも、中には親にも言えない、認めてもらえない、カミングアウトをできない友達もたくさんいます。あやちょの言うとおり、自分の本音を発信するかしないかは自分で決めることだし、したくてもできない人もいる。
だから、「自分の生きたいように生きよう」と言ってしまうと、重荷になるんじゃないかと思って、普段からあんまり言わないようにしているんですね。「多様性」という言葉が独り歩きして、それが正義となっていくのは少し怖いと思います。
――新しい一歩を踏み出したいと願いながら、それが難しいと諦めている人に向けて、ご自身の経験を振り返ってアドバイスはありますか?
ミキティー 誰でも、新しい一歩を踏み出すことには不安を感じるはず。でも一歩踏み出すことで、その結果が良くても悪くても、自分のことを好きになれるかもしれない。私の場合、何もかも諦めていたころの自分は好きじゃなかったけど、新しい挑戦をするごとに、自分をちょっとずつ好きになれたんです。
つまずいたとしても、下を向いたら意外と素敵な出来事が転がっているかもしれない。人生ってそういうものなんだと思います。
和田 私は、まずは挑戦しないと何もわからないって思っています。とりあえずやってみて、突き進んでもいいし、変えてもいい。いま振り返ってみると恥ずかしいと感じる過去の発言もあるけど、やってみて初めてわかったこともたくさんあります。
自分の発信したことへの反応で落ち込むこともあるし、だからこそ自分がもっと強くなろうと思う。自分の中で確信できる言葉を持って、まわりからの反応で落ち込まないようになりたい。そのためにも、日々たくさん本を読んで勉強しつづけています。
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