【アイドルの労働問題】不幸な悲劇や炎上を防ぐため、必要な「窓口」(寺嶋由芙)

2020.9.4

文=寺嶋由芙 編集=田島太陽


低賃金、不当契約、搾取構造。アイドルにまつわる問題点は、これまで何度も話題になり、議論の対象となっている。

ソロアイドルとして活躍する寺嶋由芙も、当事者として「改善のために何が必要か」を考えてきた。自身の経験も踏まえながら、アイドルという“仕事”にまつわる問題点を提起し、「窓口」の必要性を訴える。

文末には、アイドルが法律関係で困った際の相談先も掲載しているので、当事者はぜひ参考にしてほしい。

※この記事は寺嶋由芙の『note』に掲載された「Abema Prime出演後に感じたことまとめ」のテキストを再編集し転載したものです。

コロナ禍で可視化されたアイドル業界の問題

先日、『ABEMA Prime』に生出演させていただきました。

コロナ禍でオンライン化されたアイドル業界で可視化されつつある問題について、が大きなテーマでした。 アイドル、特に「地下アイドル」と呼ばれる規模で活動しているアイドルに関しては、以前より、曖昧な契約のもと働いている子が多いと問題視されていました。コロナ禍においてますます厳しい立場に置かれていることもあり、特集していただいたかたちです。

寺嶋由芙
『ABEMA Prime』出演時の寺嶋由芙

とはいえ運営側も、この突然の状況に対応しながら社員さんにお給料を払い、アイドルの面倒も見て……と、どう考えても大変な状況です。しかし「社員」ですらないアイドルにとっては、仕事ができない期間は、イコール収入がない期間となってしまうのです。 

そんな状況のなか、経済的な理由で活動を諦めるアイドルが少しでも減ってほしい、との思いで、私は5月11日、アイドルでも申請できる可能性のある「持続化給付金」についての動画をYouTubeにUPしました。

大学在学中に出会った「女性の労働問題」

私自身、アイドル活動を始めたころは収入もなく、学生生活と並行してバイトもしていて、アイドル活動を「仕事」と言っていいのか悩んでいました。

けれど、大学在学中にたまたま受講した「女性の労働問題」に関する授業の中で、働く女性の悩みと当時の自分の悩みに共通点を感じたことから、「今自分が取り組んでいる活動はきっと『仕事』になり得るんだ、ちゃんと『仕事』だと胸を張れるように、自分の労働環境を整えよう」と決意し、活動形態や所属先を変え、紆余曲折を経て今に至ります。 

環境の変化を経てアイドル1本で生きていけるようになってからは、アイドルを「仕事」だと思っていましたし、好きなことを仕事にできた自分が誇りでした。
けれどこのコロナ禍で一気に活動が制限され、収入も減り、「仕事」だと信じてきた大切なものが世間一般でいう「不要不急」の最たるもののように思えて、胸が潰れそうな思いをしました。

自分の存在価値が揺らぐというか、不安な気持ちで、なぜか世の中に対して申し訳ない気持ちになるなど、自信を喪失していた時期がありました。給付金の説明動画の後半でお話している内容は、撮影時は「蛇足かな」と思ったりもしたのですが、あの当時、自分に言い聞かせていたことだったりもします。

ライブが減り、それに代わった“自宅からの配信”

私の動画はまだまだ素人編集ではありますが、これまであまりやったことのなかった配信コンテンツに力を入れるアイドルが増えてきています。しかし、機材を自分で準備したり、照明や動画編集アプリを自分で購入したり……細かいことを言えば、配信時に着用する私服やメイク道具も自費で用意したものですし、背景の飾りつけ、通信費等もかさみます。そもそも「自宅から配信をする」ということ自体、ある程度リスクのあることです。

しかし、ライブができないなか、少しでも自己PRにつながればとの気持ちから、負担を承知の上で自力でがんばっても、配信に関する契約が曖昧だったり、そもそも定められていないために、本人にお金が入らないことがあります。あるいは入ったとしても、いただいた投げ銭の多寡に関わらず低額の固定給しか入らないなど、本人の負担に対して金銭的に受け取れるものがあまりにも見合っていないことも。

それはすなわち、「アイドルを応援したい」と投げ銭をしたファンの気持ちも蔑(ないがし)ろにされていることになります。

さらに、こうした契約上の問題がクリアになったとしても、YouTubeは相当数の再生がされないと収益にはつながりにくく、配信アプリはアプリ側への手数料もかかるなど、そもそも配信で得られる利益がそんなに大きなものではないという事実もあります。悪意があって搾取している事務所は言語道断ですが、そうでなく本当に、オンラインで得られる収入が少ないという場合もあるのです。 

アイドルが抱える「労働問題」と声を上げづらい「ジレンマ」


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