【アイドルの労働問題】不幸な悲劇や炎上を防ぐため、必要な「窓口」(寺嶋由芙)

2020.9.4

情熱と愛情を正しくアイドル本人へ還元する

寺嶋由芙
寺嶋由芙と猫

また、アイドルが「仕事」として成立するようになり、長くつづけてくれるアイドルが増えれば、運営側も、育てるためにかけた時間やお金を回収しやすくなると思います。

そうして看板アイドルが育っていけば、そのアイドルに憧れて、質の高い新人が集まってくる。事務所としての知名度が増し、収入も安定するのではないでしょうか。 (そして、私が考えている「窓口」は、アイドル事務所を立ち上げたいけれど顧問弁護士が雇えない、契約書の作り方がわからない、という運営さんが相談できる窓口でもあってほしいです。契約書は、どこかから引っ張ってきたテンプレートではなく、活動の実態や規模に合わせて柔軟に作られるべきだと思います。)

何より、問題をアイドル業界の内部で解決することによって、ファンは余計な心配をせずに楽しく応援ができる。誰だって、好きな相手には幸せでいてほしいと思います。応援しているアイドルがいつも前向きに活動に参加できて、それに対して自分たちが支払った金銭やかけた時間、情熱や愛情が、正しくアイドル本人のためになっていく。そういう仕組みが当たり前になってほしいのです。 

アイドル業界をもっと楽しく夢のある場所にするために

また、「窓口」は、アイドル業界で働くスタッフみなさまの相談窓口として機能することも必要かなと思っています。アイドル事務所のスタッフにはお若い方も多く、保証や法律についての知識がじゅうぶんでないまま、長時間のハードなお仕事に耐えてらっしゃる方、その負担から心身に不調をきたす方もいらっしゃいます。

残念ながら、上司からのパワハラやセクハラといった問題も耳にします。アイドル側が直面している問題については、今回の『ABEMA Prime』のようにメディアで話題にしていただけることがありますが、スタッフさんに関しては取り上げられる機会がほぼないため、外部に気がつかれないまま、限界が来て急にお辞めになる方も少なくありません。

この離職率の高さも考えていかなければならないと思います。スタッフさんが長く楽しく働ける職場になれば、経験やコネクションが蓄積され、事務所全体の財産になると思うのです。 

コロナ禍において、さまざまな問題がよりはっきりと見えてきた今だからこそ、正すべきものは正して、アイドル文化をつなげていけるよう、勉強しなくてはと思っています。今回の『ABEMA Prime』、呼んでいただけてとてもうれしかったです。大変な時期ですが、今を乗り越えた先、アイドル業界がもっと楽しく夢のある場所になっているように、すみっこにいる一員として、私もがんばっていきたいと思っています。

困ったときの相談先(『地下アイドルの法律相談』より)

弁護士会 法律相談センター
各都道府県庁の所在地と主要な都市に設置されている。電話をかけるかネットで申し込んで予約することで、希望日に法律相談をすることができる。弁護士を指名することはできず、相談料として30分につき5000円(+消費税)が必要となる。

日本司法支援センター(法テラス)
弁護士のサービスをより身近に受けられるように支援してくれる団体。相談者の収入額が一定以下の場合、3回まで無料で法律相談を受けることができる。各都道府県の主要都市に設置されており、サイトから予約できる。

消費者生活センター
市民の消費生活に関する相談や苦情への対応を行っている。アイドルにおいては、不本意な契約を結ばされた場合に「クーリング・オフ」制度を活用できる場合もあり、その相談窓口として利用できる。


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